出会い。知る人ぞ知る道にて。
最近実感できることがいくつかあり、仕事中の癒しになっています。
駄菓子屋のおばちゃんと言っても現代っ子さんには通じないかもしれませんが、
昔は大抵駄菓子屋におばちゃんがいて、
駄菓子や当たりくじやスーパーボール、アイドルのカードなどを売っていました。
お店によっては優しいおばちゃん、怖い駄菓子屋のおばちゃんもいて、子供達はお店によって大人を見分けていました。
なので、子供達が自由過ぎたり迷惑をかけることをしていたら注意されることも多かったです。
アイスのケースの扉を開けていつまでも眺めていると
「閉めなさい!」
自転車を道にはみ出して停めていると
「並べなさい!」
などと叱られることもありました。
マニュアル化され誰にでも「いらっしゃいませ」と言うコンビニ世代からは想像できませんよね。
けれどもそういう駄菓子屋のおばちゃんとのコミュニケーションは地域住民の子育てには有効だったと感じます。
子供達は親と学校とは別の大人達にいけないことを叱られながら社会への練習をし、褒められるばかりではなく、いけないことはいけないと諭してもらいながら育つことが出来ていたのだと思います。
小さな体験を積むからプライドが過剰に高くなることを防止でき、自然と逆ギレも予防できていたのではないかと考えます
叱る立場にいたり、諭す役割を担う大人は現代ではほとんどが嫌われるハメになるため辛いものです。
逆ギレのような矛先は避けたいところで、そういうステップは現代ではなかなか難しいです。
将来大人になる子供達にとっては実はそういう体験は必要なステップだと思うけれども…という場面も数々目にします。
しかし誤解の無いように言っておきますが…もちろん諭すことを目的とした怖い駄菓子屋のおばちゃん的歯科医になりたいのではありません…
それはコミュニケーションを持ちながら"地域の子育て“ を目的に診療する歯科医という意味で、です。
街の『親とは別の大人』として、せめて緩衝材、緩衝役になれたら…という思いでいます。
「先生が歯みがきしましょうって言ってたでしょう?」
と言ってもらっていいです。笑
治療しながらお子さん達と話すのが好きで、ついいろんなことを聞いてしまいます。
最近は新入学の時期だったのでランドセルの色。
女子の最近のトレンドは水色、ラベンダーのようです。一時期はピンクでした。
男子のトレンドは2色。ベースは黒がほとんどで、サイドに赤、というもの、ポケモンなどのキャラ入りもよく聞きます。
年間を通して幼稚園や学校名、クラスを聞き、会話の切り口にすることも多いのですが、やはりこのご時世、知らない人にはいろいろな情報を言わないようになっているからか、そういう質問をすると途端に親御さんの回答を待つべく親御さんの顔をチラチラと伺いだすお子さんがほとんどです。
当院に慣れたお子さんは、自分から喋って来られます。
先日は、フッ素の味について。
当院の虫歯予防のフッ素塗布は口腔衛生学会に基づいた認定されたフッ素濃度の物を使用しているので、いろいろなフレーバーはありません。
これは本当に興味深いのですが、味はお子さん談で言えば、リンゴ、ブドウに2極し、好きだ、嫌いだ、も半分半分で2極します。
で、とある小学生男児さんの話。
低学年さん、これから中学年さんぐらいだったと思います。
「味は何味だろう?」という話をずっと質問してきていました。
味はあるのか、無いのか、あるならどんな味なのか…。
私達が親戚のお子さんと話すように楽しく会話させてもらえる瞬間です。
ひとしきり話してフッ素まで終わったそのお子さんは、
「マスカット味だった!」
と一般的なブドウ味という回答に品種をプラスして言っていました。
ブドウに詳しい…。
「マスカット?そうなんだねー、はい歯ブラシ渡すね、どうぞ」
というやりとりの後、
待合室へすーっと出ていきました。
その直後、待合室に待っていた親御さんに挨拶を促されているのが聞こえ、
戻ってきて
「ありがとっ!!」
とまたニコニコして待合室へ。
また待合室の親御さんに
「ございます、でしょ〜?」
と言われ、
「ございます!」
とニコニコ顔を出しました。
「ありがとっ!!」
「ございます!」
だなんて、自由でのんびりしてて可愛い…
歯医者のおばちゃん、キュンでした。
こういうコミュニケーションの瞬間をいつも一番期待しているのです。
桜も新緑になってしまいましたね!
知る人ぞ知る道にて。
知る人ぞ知る道にて。