愛知県一宮市、墨会館ピアノコンサートの後、
会場の近くにある、三岸節子記念美術館で、
石本正、生誕100年回顧展を見ました。
「会場、墨会館のすぐ近くにあるから、
コンサートが終わってから、寄ってみたら。」
と、招待券をいただきました。
芸術の秋、さっそく行ってみました。
日本画家、石本正さんの名前は
どこかで聞いていましたが、
「よく舞妓さん描いてる人」ぐらいの
知識しかなかったです。
チラシも舞妓さんの絵になっていました。
舞妓さん、ぱっと見、華やかなのですが、
その舞妓さんの表情が気になります。
舞妓さんって少女と呼ばれる年代なのに、
少し大人っぽい、愁いを含んだ表情…。
何か今の自分に満たされていない感じ、
深く考えているような複雑な表情…。
舞妓さんが見せた一瞬の心の動きを
微妙にキャッチして描いたのだろうか。
石本さんの描く舞妓さんは独特で、
伝統的な日本人の着物姿を描いているのに
どこか西洋風なニュアンスも感じられます。
石本さんは、西洋の美術や日本の仏像から
インスピレーションを受けて制作したと
言われているのも、ちょっと納得です。
でも、華やかな舞妓さんの群像より、
もっと衝撃的だったのは、
”ヌードの舞妓さん”です。
舞妓さんの化粧、髪飾りのままで、
着物を脱いで、寝そべっているのです!
そんな舞妓さんの裸体もたくさん
描かれ、展示されていました。
実際、舞妓さんに裸になってもらって
スケッチしたのだろうか?
それとも、着衣の舞妓さんをスケッチして
想像で描いたのだろうか?
とても奇妙なものに思えましたが、
石本さんは、ヌードの舞妓さんで
表現したい何かがあったのでしょうね。
これは画壇でも賛否両論だったそうです。
数ある作品中には、着衣の舞妓さんと
ヌードの舞妓さん、両方が描かれた絵も
制作されていたようでした。
ただ、描いている途中で、気が変わり
ヌードの舞妓さんは塗りつぶされた。
最終的に着物を着た舞妓さんだけが
絵の中に残されていました。
石本さんはヌードの舞妓さんを削除したことを
後になって、とても後悔したそうです。
ところで石本さんは、よく学生を連れて
ヨーロッパ各地を写生して回ったそうです。
その時、子供時代に戻ったように
夢中で写生に没頭していたそうです。
「楽しいから絵を描くのだ。」
と、よく語っていたそうです。
なるほどね。95歳で亡くなるまで
ずっと絵筆を握っていたそうです。
石本さんの展覧会にちょっと刺激を受けて、
帰りました。帰ってまた次のコンサートの
練習をスタートしています。
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