古き良き時代のアメリカのような、
「探偵」と「バー」という黄金の組み合わせが現代で再現できるのか、
と疑問に思い映画を見てみたら、
ギリギリありですねといったところだった。
これ以上カッコつけても白けるだろうし、それ以上ダサイともはやハードボイルドでもなんでもない
世も末の便利屋顛末記のようになるだけだろうから。
同じ探偵が出てくるのでも、推理ものとは違う。
そんなに奇想天外な犯人像もないし、ロープを使った密室トリックもない。
では、何が物語をハードボイルドたらしめているのだろう。
やはり、無頼でこだわりを貫く探偵の生き様を見てみましょうということなのか。
この話の場合、殴ったり殴られて埋められそうになったり、
保険なんていう体制的なものには加入しないで全部現金払いだそうだから、
無頼という点では申し分ない。
捜査方法は特にこだわりもなく、行き当たりばったりで抜けが多くて、
何か才能があるようにも思えない。
むしろこだわりがあるとすれば、なぜかわからないが持ち物などを
「使わない」というポリシーを貫いて生活しているところだ
(カッコ悪いからだろうか)。
傘もスリッパも使わないし、腕時計もしないし、車の運転もしないし、携帯電話もない。 吉幾三かよ。
モモヒキはわかる気がするが北海道でねぇ?凍死しないの??
それで日常業務がこなせてる内はいいけど、
段々まわりに手間をかけさせるようになってきて、
緊急の場合など困るのでは。
しかし、お人よしというか義憤にかられて命も顧みずに動いたりするので、
それで好かれているからいいのか。
次々シリーズが出ているのを知って、全部読んでしまった。
(数字)は出た順番。本編:
1. 「探偵はバーにいる」 女子大生が帰ってこないという同棲相手からの依頼。 結局グダグダな理由で現実的な相談だった。
2. 「バーにかかってきた電話」 こっちが映画「探偵はバーにいる」の原作。まぎらわしい。コンドウキョウコ(小雪)からの放火を調べてほしいという怪電話から始まる。
3. 「消えた少年」 重苦しい話で実写化はできないと思う。しかも犯人がコワい!
5. 「探偵はひとりぼっち」 映画の2作目「ススキノ大交差点」の原作。マサコちゃんというオカマが殺されて孤立無援の捜査をする。
6. 「探偵は吹雪の果てに」 親友の見舞いで行った病院で会った昔の彼女にどこかの遠い町に封筒を届けてくれと頼まれる。地方のしきたりと戦い雪の中を走り回る。もし映画化して撮影するとなると大変そうだけど北海道ならでは。
7. 「駆けてきた少女」 刺されて入院。サンドラ(森野元組長)の窮地?を救おうと、その彼女である女子高生と一緒に頑張る。
8. 「ライト・グッドバイ」 キモチの悪い奴と飲み友達になり犯罪を暴こうと努力する。そいつが最高に気持ち悪いので実写化は誰にも耐えられないと思うが、アンジェラは見てみたい。
9. 「探偵、暁に走る」 アル中イラストレーターの行いに感動した探偵がひとりで死の真相を探る。荻原さん(だっけ?)がいい悪役。「♪オレの話を聞けえぇ~」って歌ってる人が演ればいいと思う。
10. 「旧友は春に帰る」 旧知のモンローが助けてくれと言ってきた。こちらも雪の中を逃げ回る。モンローに味のある素敵な役者を持ってくれば見ごたえあると思うけどなぁ。
12. 「猫は忘れない」 知人の猫の世話を頼まれたところから事件に巻き込まれて行く。これも犯人が怖い。近年は依頼ではなく付き合いで無償で調べるのが多いが、一体何で生活資金を得ているのか謎。
今冬12月公開の映画の3作目は、オリジナルストーリーだそうだ。
番外編のようなものもあるらしい。:
4. 「向こう端に座った男」 短編集。探偵の通常業務。
11. 「半端者」 若い時。桐原組長との出会いが書いてあった。立ち退きのジャマをするとは。しかし行動の動機が金儲けでもなく職務でもない、趣味だったら、そんな人最強だと思う。
「残光」 全く別のシリーズにゲスト?出演。同業種の他人目線。証言者をつれて一緒に逃げ回る。ハッキリ言って足手まといだった。主人公が有能なので、よけいおっちょこちょい度が目立つ。何しについてきたのか。
「ボーイズ・ビィ・アンビシャス」 これも別シリーズ。若い人から見た探偵。もうこんな大人おしまいだ。
皮下脂肪をたくわえだしたあたりから、
次に読んだらホームレスになっているのではないかと心配で。
読者に心配されるハードボイルドって。
もうないだろうね?
追記:「疾走」と「サイドストーリーズ」というのもあるらしい。
「フリージア」、「残光」、「疾走」という榊原という探偵の3部作。
サイドストーリーズは、何だろ?短編集?オムニバスかな。
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