もう10年以上前になるが、父の葬儀の時、母は心労でダウンし、
喪主代理として葬儀の一切を決定することになった。
親戚は全員東京で、当日にならないと到着しない。
(きの)「一人っ子です。葬式は3才の時にひいおばあちゃんのに出たのと、
アメリカで友人のキリスト教式に出たことしかない。」
(葬儀屋)「・・・ ・・・では、最初から詳しく説明していきましょう」
めんどくさがりもせず、仏教間の違いも交えて、長々と説明してくれた。
父は大きいので棺桶を特注にするのかとか、
白黒の幕は張るのかとか、門に提灯は飾るのかといった細かなことまで、
決めることが山ほどある。
途中で、式場の責任者だというダブルを着こなした
目つきのするどいパンチパーマが出てきた。
こちらもまた真面目な性格なのか、熱心に説明を始める。
何個目かの質問で、
(パンチ)「送辞の後で、〇✖&%$#やりますか?」
(きの)「えっ?」
(パンチ)「〇✖#$%&。」
何だろう。聞いたことない言葉だ。方言かな。
(パンチ)「お葬式の後で送り出すんです。みんなで声をかけて。
その・・・掛け声を」
(きの)「掛け声?」 せーのとか?
(パンチ)「エール?」
Yell? Yelling・・・?どなり合い?
(パンチ)「ですから・・・社葬とかでは、たまにやる時もあって・・・
みんなで・・・その、大声で叫ぶんです。」
(きの)「何て?」
彼はここで臆してはならないと思ったのか、
顔を真っ赤にして、身振り手振りも交え真剣な声で叫んだ。
(パンチ)「・・・『なんとか君!進めええぇぇ!!!』とか、
『何とか君はー永遠です!!』などです。ゼェ~ゼェ~」
(きの)「やりません」 きっぱり。
(パンチ)「ふぅ~っ、ふ~っ」
こっちは悪くないぞ。知らないから聞いただけじゃないか。
(パンチ)「ふ~っ・・・」
次行こう、次。
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