覚え書き1の方に足してきたが長くなってきりがなく、
試した種類もますます増えてきたので新たに項目を作る。
Rangpur Lime (ラングプール ライム)
GOOD NATURE STATION という、高島屋の裏に近年オープンした意識の高さで新風館と争うようなショッピングモールで手に入れた。余談だが以前に訪れた時、2階の黒を基調とした薄暗い店はバリ風エステだろうとばかり思っていたが、今回よく見たら高級ステーキ屋だった。そんな。じゃあ、あのピンクの細長いベッドのような写真は?・・・近づいて行ったら肉だった。表示ははっきりしよう。
その柑橘は、下の食料品店で売っていた。姫レモンという名前で流通しているそうだ。小さなレモン形でオレンジ色。
切り口はオレンジ色で部屋数が少なく、丸い小さな種が多く入っている。皮は薄めで果肉はみかんの匂いがするが酸っぱくてそのまま食べられず。
皮の匂いはちょっと山椒。ミカンの皮の匂いの他にピリッとしてツンとくる山椒の匂いがうっすらするが、不快ではない。山椒の匂いにジキルとハイドのような側面があったとして、こちらはジキル博士の方だ。静謐で善良な粉山椒の匂いで、ふんふんと嗅いでしまう。これは自分にとって良い匂いなのではないか。
また東大和の庭に咲いていた沈丁花のことも思い出したから、花良治の要素もあるのかな。
果汁を砂糖と混ぜてみたら非常に美味しかった。しかし通常の倍ぐらい砂糖を入れたような気がする。余程酸っぱいのか。少し入れた皮の山椒の匂いがアクセントになり、キリッとしたミカンはひときわ特別なものであるような印象。ヨーグルトにかけたり炭酸で割ると美味。
植えるんだったら自分が気に入った匂いのを植えた方がいいと思う。
マイヤーレモンの強烈なチモール臭や、セトカの山椒ハイド臭(湿った木質/吸い物の新芽を間違って食べた時のような芋虫のピース)、西海のフナなど、人は誰しも嫌な臭いほど嗅いでしまうが後で落ち着いた気分になれない。
逆に、違う人が嗅いだら、姫レモンはちょっと・・・となるのかもしれない。
他の人が嗅ぐとスパイシーでSavory(燻したよう)な匂い、となるらしいから人によって違う上にネットからは匂いが漂ってこないので、こればかりはいくら通販全盛の時代でもどうしようもない。
種はとりあえず植木鉢に蒔いといた。
皮がもったいなので、1/3シロップに入れ、1/3干して、1/3肥料にしよう。乾いてもいい匂いなので陳皮のようにして七味に入れたり、紅茶に入れてアールグレイや通のオレンジ・チャイのようなことにならないかななどと思って干しておいた1/3を、う~んいい匂いとばかりにベッドサイドのテーブルに置いて寝たら布団でめちゃくちゃにし、朝起きたら全部床の上にちらばっていた。
無惨にも野望が打ち砕かれ悔しさでいっぱいだが、やったのは自分なので静かに現実を受け止めるしかない。肥料用の傷がある大きめのをちぎって流用するとしよう。負けない。
オレンジピール(皮の砂糖煮):それを煮た。非常に香り高く素晴らしい食べ物であった。
オランジェット(チョコレートがけ):まだやってないうちにピールを全部食べてしまった。味見のしすぎ。
マイヤーレモンはみかん×レモンだそうだが、こちらはみかん×シトロンだそうで、さらにもう一段階原始に還ってしまっている。せっかく人はえぐみのある匂いを避けるために改良して改良して温州ミカンにしたのに、
また戻してどうする。
年末年始の柑橘あれこれ
仏手柑:暮れの京都の商店街で、生け花で言うところの草月流のような草花ばかり売っているエキセントリックな花屋の店先で購入。ガラス戸の向こうで(仏手)「クワアァァッ」よく開いてこちらをつかもうとしている。喉から手が出そうだったが、値札などはない。これは売り物なのか、ただのディスプレイなのか。よくわからないまま用事があったので前日は通り過ぎた。
翌日に見ると昨日5個だったのが10個ぐらいに増えていた。小さいテーブルの上を占拠し這いまわる黄色いハンド達。これが装飾だとしたら随分思い切ったセンスだ。(きの)「ガラッすいません。これ売り物ですか?」満を持しての入店。(店)「えぇ、こちらが値札で・・・」物陰から小さいプレートを出してきた。うほほほ。どこかの道の駅で飾り物を見たことがあるだけで、手にしたことはなかった。
(娘)「・・・これを買ってどうするの?」いい質問だ。(きの)「匂いを嗅いだり触ったり、最終的には食べてみたいと思っている(興奮)!」こんな人、東京喰種にいたな。(きの)「これはシトロンの変種で木が未熟なうちは指はあまり開かない。だんだんと成熟してくるにつれてこう・・・パファアァと」聞かれてもいない説明を早口でまくしたてる。早く包んでくれないかな。
(きの)「しかも、切っても中に実はない。」(娘)「???」(きの)「そして!もしかしてこれはシトロンの変種ではなくてこちらが原種だったのではないか。それがだんだんまとまって行ってシトロンになったのでは?う~~ん。昔これを森の奥で最初に見つけた人はどう思っただろう。」さっきから何をそんなにお釣りをベラベラと数えているのだ。いつまでも蘊蓄をたれるウザい客になってしまうではないか。
やっとのことで白い高級紙にぐるぐるになったものを抱え、飛ぶように家に帰り(きの)「フンフンフン・・・さぁ?」特に何の匂いもしない。ザラザラしている。(きの)「いいことを思いついた!」だいたいろくでもない。
(きの)「これで輪飾りを作ろう。」
大丈夫だ。まだ飲んでない。一回年末の集まりで作ったことがある。確か藁(まっすぐ)と柑橘(常緑)とシダ(裏白)があれば。(娘)「全部違くない?」(きの)「もしイスラエルで新年が迎えたくなったらどうするか。ユダヤ教徒のところへ行ってエトログを分けてもらってくるんだ。」はぁそうですかとしか言いようがない。そのままそのタコの足のようなものをつかんで紙袋に入れ大雪で遅れた新幹線に乗って一路博多へ。
今回は飛行機でなくて良かった。どうせタコの足の先が折れたら嫌だとか言い出して手荷物で持って入ろうとして空港の(検査)「これは何ですか?」(きの)「いい質問だ!」もうAnnoying(迷惑)という言葉しか思い浮かばない。
博多に着いて大宰府に寄りお礼参りをして梅干しを買う。年越しの中州の店の軒先にぶらさがる輪飾りを参考にしよう。
(きの)「・・あれ?なんか違くない?」カーテンのようなものが真ん中ピラッと開いてる。「輪」は?輪っかで仲良しっていう、それが一番重要なところではないの?初めて見た。あまりのことにホテルの人に(きの)「輪は?」聞いてみた。(ホテル)「えっそんなに珍しい?」本州の他の地域も全部ああだと思っていたようだ。
もういい。自分の記憶を頼りに、確か家の庭にシダ植物が生えていたはずだ。それと山からツタを引っ張ってきて丸めブッシュ柑を固定。和風なモチの木もあるといいだろう。紙垂を添えて、静かに新年を迎える。(親戚)「あら、素敵なリースねぇ」(イトコ)「お花?」(通行人)「・・・??」何だろうあれはという顔をして通り過ぎて行った。
斬新すぎて誰もわかってくれなかった。
正月も過ぎ、パラレルワールドの輪飾りも解体し、有効に活用したブッシュ柑を食す時がやってきた。これは1本1本切り離した方がいいのだろうか。イトコにオランジェットを食べさせたいが、悪魔の指のようなものを出されたら嫌だろうか。細長いものと細切れを用意してみた。包丁で切っている間、どうもタコの足を調理しているような気がしたが。
花屋で売ってるものは食品ではないだろうから農薬がかかっているかもしれない。しかし、あの店の口ぶりでは(店)「寒さでちょっとやられた」と言っていたので、ご自宅の木になったものではあるまいか。大きさもバラバラで、確かに一か所白っぽい霜焼けのような部分がある。
(娘)「それはペットの立ち位置じゃなかったの?あなたはウーパールーパーを買って来たら最後食べるんですか!」やりにくい。お正月の橙を最後ただ捨てるだけならうまいこと料理して食べたらいいじゃないかと思うのだが。
煮てみた。にがい。レモンの匂いがする。みずみずしかったので毎日段々砂糖をまぶして雪だるまのようにしていったら最後の方は甘いだけの固まりになった。しかし噛んでいるとやっぱり最後の方はニガい。こんなに砂糖があって尚にがいとは。さすが原種。ここまで苦労してちょっとレモン似の強烈に苦い果肉もないような指を食べる必要があるのか。
「縁起物だから」
この一言でどんなに奇矯な風習も許される。
京都に戻り、夜にきどった花屋の店先を通ったら、入り口の上に飾ってあった!やっぱり同じことを考えるやからがいるんだ。仏手柑の向きは真横一文字で、左が取っ手で丸まった足が右側だった。尾頭付きの鯛のようなものか。ウチは斜めからサーッと裾をはらうブローチとか礼装のサッシュのイメージだった。橙やミカンは丸いので左右の向きはない。上か下かぐらいだ。
そういえばエトログ(シトロン)の使用方法はどうなんだろう。Youtubeでラビが仮庵の祭具について説明しているのを見てみたが、ヤシ(まっすぐ)に、マートル(3つ葉が対生/3本)、柳(互生/葉っぱの裏白いね)2本はちょっと低めに束ねて市松模様の繊維状のもので包み、根元にエトログ(常緑)を足して部屋の四隅で振るらしい。葉っぱが左で柳が右だそうだが、これは自分から見てであって、正面はこれと逆か。エトログも本来実がなる時の方向(すなわち上下逆)か。橘の家紋のような状態だな。ふむふむ。Oneness とtogetherness とharmony を現しているそうだ。ふぅん。門松と輪飾りとお祓いを兼ねている。
マドンナ:プレミアムみかんだそうな。暮れに隣人から贈答品用のを2つもらったが、ホームセンターで知り合いの知り合いの店員から個人的に店の台車を借りて家までレンガを運んでこっそり返す時にお礼として渡してしまったから食べてない。少し固そうな小ハッサク?白いあみあみの入れ物に一つずつ入っていた。
スィートスプリング:次の日、裏隣りの隣人から2つもらった。ミカンは出て行きもするがまたやってくる。話に聞いていたが食べるのは初めてだ。手で剥きにくい。酸っぱい。青い内でも食べれると言っていたがうそだ。上に一段輪っかがある。ハッサクとの違いがわからない。内皮の実離れも悪い。
まるみ金柑:これも裏隣りから。琵琶のような形。なんだろうこれは。金柑にしては大きい。食べてみたら皮が甘かった。うちの種ばかりの原種のような金柑とは大違いだ。取っ手のような茎が付いていてつまんで玄関でアイスのように食べていたらクロネコヤマトが来たのでそのまま出たら若いドライバーが「何だろう?」という感じで見ていた。ミカンの皮を齧る家というイメージがついてしまったか。
本ユズ:これももらった。では他は何ユズなのか。傷だらけで痛みやすく、皮が実と離れている。果汁はある。丸い大きな種がたくさん。香りが良いらしいが、そんなに際立つほどでもなかった。
父の幼馴染のおじさんのミカン畑:
もう今は夫妻とも死んで次世代は他県にいるので、誰も世話をしに来る人はいない。夏に見たらツタにまみれていた中から何かのオレンジ色の実がなっているのが遠くから見えた。あれは何の種類だろう。十数年前に種の多い文旦をもらったことがあったが、その木はどれだったのだろう。冬の草が少ない時期に入って行って地面から伸びて幹にからみついている太いツタを何本か切ってまわった。そのついでに落ちていたミカンを拾って食べてみた。法的には「地域のあぜ道近くの環境保全活動のかたわらゴミ拾い」と。決して拾得物の横領ではない。
いよかん。小ぶりなオレンジ色。皮を剥いてみたら匂いがいよかん。普通に食べれた。ただし売ってるのほど皮が厚くない。黒い点々があって見栄えも良くない。
安政柑?黄色い姫レモンのような真円に近い皮の張り。剥いてみたら緑!?どう見ても中身がライムのように緑がかっていると思うのだがどうしてだろう。そして案の定写真には黄色っぽく写る。自分は色覚に自信があったが、少し揺らぐ。しかしよく熟していたと思う。緑・・・。
不明のみかん?皮の薄いはっさく?橙?扁平ではない。特に何の匂いもしない。強いて言うならうっすらピーマン臭。よく熟していると思われるが酸味が抜ける気配はなし。酸っぱくてそのままでは食べれない。皮は貼り付いているが薄皮は実離れが良いので砂糖をまぶして食べると普通のみかん。橘はこんなに大きくない。果汁多め。しわしわした種が数個。
ハンドボール大の文旦 種が多かったやつはこれだろうと思う木はあったが、実はなってなかった。ひたすら葛と格闘。
結論:
みかんは落ちているのが一番おいしいという事実に行きあたった。落ちているものは食べれる状態なのだろうけど(法律的にではなくready to eat の意)、いくら完熟でもそんなものを集めたビジネスが成り立つとも思えない。木の近くに居る人だけの、傷だらけの超プレミアムみかんだ。
ついでに他の知り合いの独居老人の放棄地の雑木も切っておいた。正月だというのに通りかかる地元民もいない。誰か通りかかって「ご精が出ますね」とかねぎらってほしい。
おーい、ここに人がいますよー。あまりに寂しいからって大声を出してイノシシが来たりすると良くないので早々に引き上げる。
おじさん、またね。
マイヤー再び:
知人の知人がくれた。(きの)「フンフン・・・これはマイヤーです!」高らかに宣言。ゼッタイそう。このほんのり防腐剤のような黒カビ・チモール臭。恐ろしいことに最近は慣れてきた。(知人)「は?まいやー?」何?興味がある?知っている限りの説明をまくしたてておいた。
後日、(知人)「あれ、なんとかっていう・・・向こうに伝えたら喜んでましたよ」わかってくれる人がいたー!という心境か。(知人)「酒にしぼるといいですね。食べてみたら少し甘い」(きの)「えぇ、それレモンとミカンの中間ですから。」なぜ食べようと思ったのか。一応レモンだぞ。
砂糖で煮てみた。マイヤーレモンの匂いがするオレンジピールのようなものができた。もう自分の中では珍しくも何ともない。安定の墨汁液だ。
ついでに他のも煮てみた。おじさんの畑にあった正体不明のミカンは、搾って三ツ矢サイダーで割ってみたら橙の匂いがした。橙だったのか。輪飾りに最適なのが近くにあった。生で食べれるとは思っていなかったが畑に長期間置いておくと酸味がほんの少し和らぐようだ。
しかし、皮は薄く、煮てみたが柔らかくはならない。そして、グニグニ噛んでいると世にも苦手なあのフナのような匂いがしてきた。これってもしかして、古い油の匂いなんじゃないのか。畑に長時間置いておくと表皮の油が酸化するのでは。だったら、セトカや西海プリンセスはそのものが元からそんな匂いではなく、木にいつまでもぶら下げておいたから甘いのか。
タンゴ:
トルコ産だそうだ。皮の橙色が濃いところといい、固そうなところといい、これはタンジェリンだ。いよかんのような照りもある。名前のタンゴももしかしたらタンゴールから来ているのかもしれない。
2月に売ってた。種はなく、ほんのちょっとの酸味と、あとは水分の多くない甘味。むきやすい。内皮は薄くはない。普通のみかんのような多少しっかりした白。小さい。
河内晩柑:
隣のおばさんが「これ何だろう」と言いながらくれた。どっかの畑に生えてて持ち主の本人も知らないらしい。もう少し銘柄に関心を持とうよ!
尖っている。黄色い。大きい。中身はオレンジ。皮が薄くスィートスプリングなんかよりよっぽど実ばなれがいい。皮の匂いは・・・ん?どうも柑橘の木に付く常世様のツノの匂いがほんのり。まぁエッセンスを凝縮したということで納得しよう。
瀬戸内柑橘王国にて
黄金柑:パール柑だったっけ?この黄色い柑橘は1ジャンルあるが特にそんなに大好きでもない。すっきりとした、苦くないグレープフルーツ。
(きの)「このシリーズで湘南ゴールドというのもある。」イトコが前に送ってくれた。(娘)「湘南?」ギラギラした氣志團のような連中のことではない。あの辺りが柑橘栽培の北限だろう。
タロッコ:中身にところどころ赤いスジ。パサパサして別に美味しとも思わなかった。
普通のスーパーに売っていた。他にも「はまさき」「アンコール」など名前を聞いたことしかない品種がゴロゴロ。
探求のし甲斐がある。
木頭ゆず:旅の途中で見かけたシリーズ①ホットで甘い飲料を飲んだ。ユズはユズだが、その地域のものは品質が良いらしい。買ってホテルの部屋に持ち帰るときに、サラッと漂ってきた匂いはいい匂いだった。
ゆこう:②柚香と書く。徳島の土産物屋で絞った果汁を売っているのを見た。ユズと橙の交雑したものらしい。まだ味わってはいない。
すずか:③ユズとスダチの雑種。ホテルのデザートで出てきた。悪くはないが特徴的な香りもないような。夏に収穫できるのかな。
宇和ゴールド:さっぱりしているのだろうなと思って買ったら、これは河内晩柑ではないのか??この形。この色。皮をむいた時のほのかなアオムシ臭。
瀬戸内柑橘王国II(瀬戸内海には向こう岸もあるのだよ)
百年樹:なじみのスーパーで売ってた。見るなりスムーズなしぐさでカゴに入れ後のものは適当につかんでレジへ。
品種的には普通のネーブルだが、100年以上年経た木になったものをいう。プレミアムみかんの一種だろう。味は普通より甘いらしいが、たとえ多少酸っぱかったとしても、同じ木を100年維持してきた心意気に敬意を払い、やはり買うだろうと思う。
産業樹木は数十年で伐採したりするから、どんなに希少か考えてみただけでも夢が膨らむ。以前はよく売っていて、これを見てから柑橘の探求というか、タンジェリンへの偏執が始まった。帰ってさっそく皮を剥き、みごとな薄皮にうなりながら一句詠む。
百年樹 値段も見ないで 買うミカン
ひょうかん:
オープンしたての意識の高そうなスーパーで買った。ヒョウタンのような柑橘という意味らしい。長い。最初レモンを売っているのかと思った。弓削ひょうかんと書いてあった。産地だろうか。台湾から来たそうだ。文旦の一種なのだろうな。
剥いてみた。何か一瞬独特の匂いがして、その後グレープフルーツの匂いに変わった。何の匂いだろう。柑橘と全く関係のない何かの匂い。例えばスペアミントの最初の方に人参の種のようなアニスシード臭がするような感じだ。どうしても思い出せない。
クッキー?
あのクリスマスに食べるレモンのアイシングがかかった・・・レモン?甘いレモンの匂い?
古い柑橘ほど由来が不明で判明しないらしい。そういう時に鼻のいい人を連れてきてかいでもらい、ヒントを探るのはどうだろう。そんな方式でやるなら橘の片方の親はピーマンだ。
夏津海(なつみ):
その意識高スーパーで次の週に行ったら売ってた。名前は聞いたことあったが、どうせ温州みかんの一種だろうと思って今まで特に注目もしていなかった。しかし、変なフルーツばかり食べるユーチューバーの青年は、日本の夏津海が一番おいしかったと言っていた。
見たところ、普通のミカンのようだが。とりあえず買ってみた。むいてみたら、うん、これはタンジェリンだ。中の薄皮も、味の濃さも、ほんのり赤みがかったオレンジ色も。カラマンダリンとポンカンか。言われてみるとカラマンダリンのくすんだ外皮にそっくりだ。古くなったら姫レモンのようなエスニックな雰囲気がした。
なつみ・・・かんとは関係がないのか。夏に食べれるタンジェリン。
この人は日本の名前が付いているが、外国の方だと思う。確かにおいしい。が、しかし彼女の個性と名前がマッチしていない。ラボで理論で作られたようなカラマンダリンと元々外国産の品種のポンカンでは、夏津海と名乗れるだけの由来も歴史もない。ドーベルマンに太郎と名付けるようなものだ。そういえば、うちの愛猫もそうだった・・・。う~~ん。ミスマッチ。ミスマッチなのか。別の問題が浮上して悩み始める。
ひょうかん&夏みかんオランジェット
夏みかんは裏の方に住んでる旧知のおばさんがくれた。甘夏だとか言ってたけど、この黄色いゴツゴツの表皮!これは真正夏みかんではあるまいか。さっそく皮を煮てみた。あっという間に透き通った。なぜ昔から人々は夏みかんの皮を加工しようと思うのかわかる気がした。
ユズの次ぐらいに早く煮える。あんなに分厚くて固そうなのに。そして、甘い。生の時の酸っぱいだけの味が、砂糖と混ざるとこうも香り高いデザートに変わるとは。
ひょうかんジェットは苦かった。こんなことをしてみたら匂いが際立って最初に何の匂いがしたのかわかるかもしれないと思ったが、ただのグレープフルーツの砂糖煮だ。
ジャンドゥーヤ(チョコとナッツとカラメルと)
まず、始まりは高知の黄金生姜だった。豚の生姜焼きにした後、余ったショウガをジロジロ見ていた。何かに使えないかと画策していたところ、オランジェットの残りの砂糖汁が目に留まった。
ショウガの砂糖漬けもいけるな。
しめしめとばかりにスライスして煮始めて、ショウガは固いのでどこまで煮たら柔らかくなるのかもわからず、焦げてもいけないので数日かけて15分沸騰させたり冷蔵庫で冷やしたりを繰り返したらどうにかなるかもしれないと思い、気長に作っていた。ある日、また出してきて沸騰させている間にちょっと冷蔵庫の中をあさっていて、振り返ったら茶色い泡が吹いていた。
しまった。水分が臨界点を突破し、飴化を通り越してカラメル化してしまった。急いでショウガを取り出したが、こりゃ何だろう??というものが出来上がった。さすがに焦げ臭いまではいかないが、香ばしいベッコウ飴に包まれ、絶妙な角度で体をひねったショウガ達・・・。ガリガリする。
こんなお菓子あるだろうか。しかし昔からの名産ですとか言いながら堂々とアイスのてっぺんに挿したらどうだろう。ジャリジャリ。
そして、どうするこの残った大量のカラメル。そうだ!ジャンドゥーヤを作ろう(良からぬことを思いついてしまった)。どちらかとうとプラリネかな。どこかにピーナッツがあったはず。ガサガサ探し出してきて全部ぶち込んで、うん!チョコレートも入れるといい。パンに塗るやつを1瓶投入。まぜてみた。
あれ?
なんか全体がうまくまとまらなくて個別の曇った麦チョコみたいになった。何だろう、この豆菓子は。まあいい。むしゃむしゃ。後は鍋のフチにこびりついた残骸に牛乳を入れて溶かしホテルでもらったインスタントコーヒーを足し(きの)「キヤラメルマキアーートぉぉ!!」オレンジのエキスとキャラメルと、チョコにナッツの複雑なフレーバーだ。
気持ち悪い。
ココア飲みすぎた時みたいな感じになった。おぇぇ。
負けない。次!
夏みかんのマーマレード
性懲りもなくまた創作料理を始める。だって国産無農薬の夏みかんは昨今なかなか手に入らない。大丈夫だ。作り方は知ってる。前に叔母に教えてもらった。同量の砂糖を入れればいい。叔母は見た目で大体同じ感じの砂糖を袋から手でつかんで入れていた。糖分が50%を超えると細菌は繁殖できないらしい。
煮てみた。中の薄皮が苦そうなので、中身をしぼって果汁だけ入れた。薄皮を入れないとペクチンがなくて固まらないそうだが、どうせ絞った中ににじみ出ているだろう。表皮も数枚薄切りにして入れた。おおっと種も入った。前に作った時は砂糖を入れて七輪の弱火でかき混ぜたが、最初から砂糖を入れたら焦げるのではないか。
だったら果汁だけ濃縮しておいて後で砂糖を加えたらダメなのか。グラグラ煮て1/3以下になったところで砂糖を投入し、しばらく弱火で恐る恐る煮てみる(何を恐れているのか)。搾った当時はうす黄色であった液体が煮詰まってくると赤みがかった濃いオレンジ色になってきた。おぉ!これが橙色だ。夏みかんの正式名称は「夏代々」。夏にも食べれるダイダイ。萩藩の武士が維新後もいつまでも家が続くようにと願って植えたダイダイ。実に奥深い。
そもそも、最初に同量入れて煮詰めたら糖分80%とかのジャムができるのではないか?もはや砂糖汁に夏みかんフレーバーを付けただけの強烈に甘い代物ができあがるだろうな。くひひ。ぺろり・・・(きの)「なにこれ!にがっ!!」なんだこの苦渋に満ちた液体は。おかしい。前はあんなに簡単にできたのに。
それは家庭科の教師が横で監視していたからではないのか。もっと砂糖を入れればいいのか?もう散々入れたと思うが。オランジェットの端から剥がれ落ちた余りの砂糖を足してみる。萩の人たちはどうやって作っているのだろう。これは体にいいのか悪いのか。
そして固まらない。なぜだ。全然できない。こうやってはダメという失敗例をことごとく踏襲したのか。今さらだけど、前は実を全部むいてから入れたような気がしてきた。出来上がりも粒々だったような。それではペクチンが足りないかもしれないと叔母が言い出して、煮ている途中で薄皮の塊を1つ入れて後で引き上げて回収していた気がする。やはり搾ったら苦みも一緒に出てしまうのか。しばらく冷蔵庫で寝かしてみたがサラサラしている。こんなんではトーストから流れ落ちる。
もう一度煮てみよう。低温でもはや温めるに近い状態で30分以上放置。上からのぞき込んだらあったかい夏みかんの匂いがした。30年前にかいだ匂いだ。できたのかもしれない。水分も飛んでいい感じ。しかし、まだ苦い。もう上から追加のスティックシュガーをかけまくる。
そのまま置いておいたら砂糖が下に落ちないで表面で固まっている。液体は熱いのに。急にペクチンが効いてきたのか。まとまった時間煮なければ作動しないようだな。ふうん。今何%だろう。もう夏みかん飴のようなものだろうか。いや、考えない方が良い。
明日の朝これを食べるのだから。
胃酸グミ
夏みかんのゼリーを作ろうと思った。前にどっかの菓子屋で売っていたのを買ったら、シャリシャリして不思議な食感であった。うん、あれがいい。ゼラチンを買ってきて作ってみた。
嫌な予感がしたが、案の定固まらない。タンパク質分解酵素はオレンジにもあるのかな?酸は・・・煮たからってどうにかなるものでもなさそうだ。原液ではさすがにと思って全部で250mlになるようにして水で薄めたのに。ゼラチンは沸騰させたらダメと書いてあったからグツグツしなかったのがいけなかったのか。もう1回煮て激しくかきまぜてみたが、固まらないものは固まらない。炭酸で割って飲んだ。
では、次はすごく煮た上で、どうしたんだっけ?あ、そうだ。2倍のゼラチンを入れて作ったら固まった!ホラ見ろできるじゃないか。ぶにんぶにんに固まった奴をナイフで切って一口(きの)「あ!」砂糖入れるの忘れた。固まるかどうかばかり考えてた。
ものすごい味だが固まった。へー。貯蔵してある夏みかんシロップをかけたら不思議なあん蜜みたいになった。でも最後の方(きの)「ぎゅにゅぅ~」顔がゆがんでいく音。こんな安らかな顔で食べれないデザートはダメだ。
次。
ちゃんと薄めて、ちゃんと煮て、砂糖を入れたら(きの)「パラアアァァーッ!!」完成した。おいしい。これは普通のゼリーだ。しかし、前に店で売ってたのはもっとスプーンで削ったらシャリシャリと崩れてきた。ゼラチンではないのかな。アガーとか、もしかして寒天?
結局、三ツ矢サイダーに搾って入れるのが一番おいしいということがわかった。
あとこの1箱ある夏みかんをどうやって消費したらいいんだろう。