認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

東日本大震災の被災地の高齢者とアルツハイマー型認知症の発病との関係(B-07)

2014-04-01 | アルツハイマー型認知症の早期診断

   

 緩やかに それとは知れず 進みゆく

   老化かボケか おみくじに聞く (7) By kinukototadao  

老化の症状なのか、ボケの症状(「アルツハイマー型認知症」の初期症状)なのか、専門家とされる人達が全く分かっていないので、揶揄して上のように表現してみたのです。

「アルツハイマー型認知症  初期症状」とパソコンに入力して、インターネットで検索してみてください。数えきれないほどたくさんのホームページが開設されているのです。それらの内容を読み進んでいくに連れて、余りのひどさに呆れ果ててしまうのです。そこに載せられている「アルツハイマー型認知症」の発病原因については「仮説」を並べるだけで、他人の説をうのみにしただけのもの、他人(特に、権威があるとされる学者や組織)が主張している内容を、その内容に重大な誤りがあることさえも知らないで単に引用したものばかりなのです。「初期症状」についても、肝心の「前頭葉」の機能レベルを精緻に測定し、判定する手技を持たないだけでなく、症状が段階的に発現してくることさえも知らないで、記憶障害に起因する症状を中心に色々なレベルの症状を言葉の遊びのように、あいまいな表現でランダムにまとめてあるだけなのです。

皆さんは、大学の先生とかお医者さんとか、或いはそれなりに名のある研究機関や団体や製薬会社が発表していることは、どんなことでも正しいことを言っていると思っているでしょう。ところが、このブログの主題である「アルツハイマー型認知症」についていうと、それとは全く逆の状況があるのです。全く信頼できないのですここを「クリック」してください)。

  

「 東日本大震災」の被災地に住む60才を超える年齢の高齢者たちの間、「アルツハイマー型認知症」を発病している人たちの年齢別の割合が、或いはその症状が更に重症化していっているお年寄りたちの人数が、被災していない他のどの地域のお年寄りたちのそれらと比較した場合にも、比較にならないほどの極めて高い発病率を示すこと及び想像を絶するほどの多くの人数となることを私たちは今から2年前のこのブログで明確に指摘し、問題を提起していました(ここを「クリック」してください)。今回のこのブログの中盤で紹介する東北大学の調査チームによる「気仙沼市」の仮設住宅に住む高齢者を対象とした、且つ「簡易な手法」による調査の結果にさえも外観とその概要とが大ざっぱながらも明確に現われてきているように、「東日本大震災」の被災地全域の高齢者を対象としたもっと大規模で、私たちの「二段階方式」に代表されるような神経心理機能テストの活用によるもっと「精緻な調査」が今後実施されるにつれて、私たちの問題提起と「アルツハイマー型認知症」の発病原因についての主張の正しいことが次第に明らかになってくるはずなのです。高齢になるにつれて、発病する割合がどんどん高くなることも確認できるはずなのです。

更には、そこで確認されることになる認知症の殆ど90%以上を占めるのが「アルツハイマー型認知症」であり、且つその症状のレベルは、私たちの区分で言えば最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階の人たちが想像を絶するほどいて、次いで「中等度認知症」(中ボケ)の段階の人たちが極めて多人数いて、最後に末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階の人たちが相当な規模での人数になる、そうした規模での「3つの段階」のひとたちがいるはずなのです(ここを「クリック」してください)。その状況をもっと詳しく言えば、「アルツハイマー型認知症」を新規に発病する人(「軽度認知症」の段階の人)が毎日多数発生してきている状況の下で、「軽度認知症」の段階から次の段階である「中等度認知症」の段階に進んでいく人たちが多数いて、更には、末期の段階である「重度認知症」の段階にまで症状が進行していっている人たちも相当な規模の数出てきているはずなのです。

  

ところが、認知症の専門家とされる人達は、権威はあるが内容に重大な誤りがある米国精神医学会が定義する「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の診断規定に従って診断をおこなうがために、私たちが提唱している本当の意味での早期の段階、回復させることが可能な「軽度認知症」の段階の人たちも、「中等度認知症」の段階の人たちも見落としてしまっているのです。最近は、「軽度認知障害」(MCI)とかいう考え方が提起されてきてはいるのですが、いかんせん肝心要の「前頭葉」の機能の異常な低下という視点を持たないので、どうしても外観症状で目に付きやすい「記憶の障害」が中心になってしまうのです。「DSM-4」が見落としている(より早期の段階の症状)に目が向けられていること自体は評価すべきとは思うのですが、定義があいまいすぎる上に、「前頭葉」を含む脳の機能レベルという考えがないこと及びその働き具合を精緻に計測し判定する手技にも無関心なのでは、いつまで経っても、回復させることが可能な段階である「本当の意味での早期の段階」を見落としてしまうことになるのです。

「東日本大震災」は未曽有の大災害でした。とはいえ、未曽有の大災害で終わらせてしまってはいけないのです。「東日本大震災」の被災地に居住する60歳を超える年齢の全ての「高齢者」を対象として、「前頭葉」の機能レベルを含む脳の働き具合を精緻に計測し判定できる手法を活用して、本格的で専門的な調査を大規模に実施して、「アルツハイマー型認知症」は、(発病原因が、学説が主張しているようなアミロイド・ベータやタウ蛋白や脳の委縮などとは無関係のものであって)、廃用性症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないことを確認していただきたいのです(こうした手法を疫学的証明と言います)。但し、脳の形や萎縮の度合いしか計測できないCTやMRIでは、膨大なコストがかかるにも拘わらず何の役にも立たないのです。たとえ、fーMRIやPETを持ち出してこようとも、私たちの「二段階方式」のような精緻なレベルで、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能レベル、つまりは何かの「テーマ」を意識的に組立て実行しようとする際に確認される「前頭葉の機能レベル」(「前頭葉」の各種構成機能が不活性化しつつある状態、言い換えると、「認知度、或いは意識度、更には機能の発揮度」等の「機能レベル」)並びにそれに直接リンクした認知症の症状とを精緻に計測し判定することはできないのです。米国における最先端の画像処理の報道を見ていても、まだまだ困難だと思うのです。

その調査結果による発病原因の解明と確認を出発点として、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復とを国民的な課題として、「市町村」が保健師さんを中核として、地域住民と協働して展開する形態での「地域予防活動」を制度化することができれば、共倒れになりかねない「大ボケ」のお年寄りの家族介護の問題も介護保険制度の財政面からの破たんの問題も共に回避することができるのです。                     

   

〇 意識的な世界を支配する「前頭葉」の働きと生活習慣に基づく廃用性の機能低下

置かれている状況を判断し、その状況の中で判断に見合ったテーマを発想し、発想したテーマの内容を企画し、企画及び計画する過程で様々なシミュレーションを行い、結果の洞察や推理の過程を経て、最終的な実行の内容を計画し、脳の各部に指令を出して、計画した内容をシミュレーションし決定した手順と態様と程度に従って実行していく。これが、私たち人間だけが獲得した脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」という脳の働き方のアウトラインなのです。この司令塔の「前頭葉」の機能が、生き甲斐なく趣味なく交友なく運動もせず目標もないナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続される中で「廃用性」の異常な機能低下を起こしてくることが、言い換えると、私たちが発見した「前頭葉」自体に内在する性質である「正常老化の性質」とナイナイ尽くしの「単調な生活」に起因する「廃用性の機能低下」との相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の機能の低下が加速度的な機能低下を起こしてくることが直接の原因となり、「前頭葉」を含む脳の機能の異常な機能レベルを直接そのままに反映した症状、すなわち、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の症状が発現してくるのです(「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。

その「前頭葉」には、脳の使い方としての「生活習慣」のいかんにかかわらず、加齢とともに機能が低下していくという性質、言わば「正常老化の性質」私たち独自の命名です)が内在しているがために、「アルツハイマー型認知症」は、60歳を超えた年齢の「高齢者」だけを対象として発病してくることになるのです。「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上の割合を占めているので、高齢化率が30%を超えた市町村では、「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄りの姿が目に付くようになってくるのです。ほら、町役場のスピーカーが、家族が知らない間に家を抜け出して行き、そのまま行方が知れなくなった「お年寄り」を探す放送を流している場面によく出会うでしょう。専門の医師たちを含めて皆さんは、こんな症状が出てくるようになったお年寄りを、専門的な言葉を使うと、自分が現在住んで居る家がどこにあったのかも分からないで「徘徊」するようになった人たちを捉えて「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症を発病していると考えているのです。それ自体間違いではないのですが、こうした症状が出てくるようになった人たちは、回復させることが困難な末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで症状が進んでしまった人たちなのです。

    

〇 「大ボケ」レベルにまで症状が進んでしまうと、回復させる手立てがなくなる

実は、この「大ボケ」の段階にまで「症状」が進んでしまうと、意識的な世界を支配しコントロールしている脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含め、左脳も右脳も運動の脳までもが廃用性の異常な機能の低下が原因で機能レベルが極めて低いレベルに衰えてきてしまっているので、せっかく見つけても手遅れということになるのです。特に、脳の司令塔である「前頭葉」の機能が殆ど働かないレベルに衰えてきてしまっていることが最大の問題なのです。脳の機能レベルを改善させるには、「前頭葉」を含む脳の機能の活性化につながるような「テーマ」を、3本柱の機能である「意欲」と「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能が或る程度残存している段階で、且つそれらの機能の出番ができるだけ多くなるような「テーマ」を日々実践させることが必要不可欠なのです。ところが、「大ボケ」のレベルにまで脳の機能が衰えてきてしまっていると、そうしたテーマの実践の意味を理解することも及び活動を支える3本柱の機能自体の発揮も共に困難なレベルになってしまっているので、発病の原因である「前頭葉」を含む脳の機能レベルを元の正常なレベルはおろか、直前の段階である「中ボケ」のレベルにさえ回復させることが困難になるのですこの「大ボケ」の段階にまで認知症の症状が進んできていると、治すことはもはや困難になるのです)。(「大ボケ」の段階にまで衰えてきた脳全体の機能レベルの説明については、ここを「クリック」してください)。

   

〇 「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルと回復の可能性

3本柱の機能がある程度残存している段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階までに見つけて、脳の使い方としての「生活習慣の改善」、言い換えると「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳の活性化を目的とした「テーマ」の実践)を実行しないと、元の正常なレベルに脳の機能を回復させることはできなくなってしまうのです。極めて多数に上る私たちの脳機能データと実践によるその結果から、「アルツハイマー型認知症」の回復には、次のような基準となる「指標」があるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)で見つけると、回復させることは容易

「中等度認知症」(中ボケ)で見つけると、回復させることは未だ可能

「重度認知症」(大ボケ)で見つけると、回復させることは困難

   

〇 東北大学の研究チームによる気仙沼市の実態調査とその問題点

 先月の半ばのことなのですが、NHKのテレビ報道によると、東北大学の研究チームが宮城県の気仙沼市の仮設住宅で生活している65才以上の年齢の被災高齢者700人を対象に「簡易なテスト」を活用して実態を調査したところ、その人達のうちの36%を超える人数の人たちに「認知症の可能性が高い症状」が確認されたということでした(但し、肝心の「前頭葉」の機能レベルは計測されていないままでの、やや雑な判定と考えられるのですが)。

 認知症の専門家とされる人達を含めて皆さんは、この36%という発病割合を示す数値に驚くことかと思いますが、実態はもっと厳しい状況にあるはずなのです。テレビ画面で見ただけなので、その「簡易なテスト」の詳細は分からないのですが、その人達は、私たちが有している「二段階方式」のような、精緻に「前頭葉」の機能レベルを計測し判定する手技を持っていないので、私たちが主張している「軽度認知症」(小ボケ)の段階(「前頭葉」の機能レベルが異常値であって、且つMMSの換算値で24点以上の脳の機能レベルの人たち)は見逃しているはずであり、或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階についても前半の部分(「前頭葉」の機能レベルが異常値であって、且つMMSの換算値で23点から20点までの脳の機能レベルの人たち)については見逃している可能性が高いのではと考えるのです。

おそらくは、「中等度認知症」の後半のレベルの人たち(MMSの換算値で、19点~15点の機能レベルの人たち)と「重度認知症」(大ボケ)のレベルの人たち(MMSの換算値で、14点以下の機能レベルの人たち)だけで、それだけの発症割合となっているのではないかと考えているのです。或いは、「軽度認知障害」(MCI)を主張する学説と同じような基準も動員して判定しているとしたら、「中ボケ」の前半までが入っている可能性はあるのですが、以前のこのブログで種々の問題を指摘してあるように、軽度認知障害の基準にはあいまいな要素が多すぎて、いい加減というか、雑多な概念の基準の下で、且つ外観を基礎とした判定になってしまう危険が高いと言わざるを得ないのです。

   

〇 「アルツハイマー型認知症」の正体は、廃用症候群に属する「生活習慣病」

これまでに何度も指摘してきたように、アミロイド・ベータ(アミロイドベータ仮説)やタウ蛋白(タウ蛋白仮説)や脳の委縮(脳の委縮仮説)が「アルツハイマー型認知症」発病の原因ではないのです。それらは、原因ではなくて「結果」に過ぎないのです(発病の副産物)。原因であると誤解して、いつまでもそれらを追いかけ続けている限り、いつまで経っても発病の原因或いは発病のメカニズムを探り当てることはできないのです。時間の無駄であり、コストの無駄であり、有為な才能を活用する機会の無駄になるだけなのです。

「発病の原因もわからないし、治すこともできないし、発病を予防する方法もわからない」と日本だけでなくて世界中の認知症の専門家達から言われ続けてきている「アルツハイマー型認知症」は、私たちが集積した極めて多数例の「脳機能データ」の解析と「地域予防活動」の実践の成果が示しているように、「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」に過ぎないのです。これまでに何度も指摘し問題提起してきたように、「東日本大震災」の被災地の60歳を超える年齢の「高齢者」たちの間に現在起きてきていて、これから先も続くことになる極めて高率での「アルツハイマー型認知症」の発病という事実が、私たちの主張が正しいことを、疫学的に証明してくれることになるのです。

  

〇 「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動を国民的な課題に

アミロイド・ベータやタウ蛋白や脳の委縮とやら、或いはマウス等を追いかけ回す暇と資金と人の戦力とがあるのなら、気仙沼市だけでなくて「東日本大震災」の被災地の60才以上の年齢の「高齢者」全員を対象として、「簡易版」やらCTやらMRIとかではなくて、「二段階方式」のような精緻な「神経心理機能テスト」を活用して、肝心の「前頭葉」と左脳と右脳の機能レベルを同時に計測し判定してみていただきたいのです。左脳も右脳もま未だ正常な機能レベルにはあるが肝心の「前頭葉」の機能がすでに異常なレベルに衰えてきている人達(私たちの区分で言う「小ボケ」の人たち)及び「前頭葉」だけでなく左脳も右脳も異常なレベルに機能が衰えてきている人達(私たちの区分で言う「中ボケ」の人たち)が、驚くほどの高い割合で発見されることになるはずなのです。その発病の割合は、日本の他のどの地域にも例がない、比較できない程極めて高い割合であって、且つ世界にも例がない極めて高い数値になることが確認されるはずなのです2年前の予告に加えて、今回再度問題を提起しておきたいのです。東日本大震災の被災地に居住する60歳を超える年齢の「高齢者」達に確認された状況は、(年齢別の発病の割合の高さとその絶対数の規模とが異なるとはいえ)、日本全国の市町村の60歳を超える年齢の「高齢者」たちに現実に起きてきている状況に対する「重大な警鐘」でもあるのです。「アルツハイマー型認知症」は、早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけると治すことができるし、発病を予防することもできる、廃用性症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないのです。発病の予防のための何等の対策も打たないで、更には回復させることが困難な末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけているだけ、言い換えると「蛇口を開きっぱなしなし」のままに放置していて将来に禍根を残すことにならないのでしょうか。

上述の実態を確認すれば、認知症の専門家とされる人達だけでなくて、厚生労働省を含む政府関係者も、更には国民のみなさんも、膨大な費用が加速し続けていて財政面からの破たんが目に見えている「介護保険制度」を守り、維持する上でも、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期発見による回復というテーマ、特に市町村の保健師さんたちによる「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の展開が不可欠という私たちの主張に、目が向くようになる日が来ると思っているのです(「地域予防活動」については、ここを「クリック」してください)。種類ばかりが数多くある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちの数は、認知症全体の90%を超える割合になるのですから。

  

 東日本大震災の被災地の高齢者たちに早期診断と回復及び発病の予防対策の実施を

被災から3年が経過しているだけなので、通常のケースでは「小ボケ」の期間が終わってそろそろ「中ボケ」の期間に移行している程度の段階のはずなのですが、「東日本大震災」の場合は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が開始される前提条件としての「キッカケ」となる事象の重層性、輻輳性、或いはその程度や態様や困難さの度合いが他に例がない程の大きさであること等の問題が複雑に折り重なっているがために、「前頭葉」の3本柱の機能である「意欲」を喪失させるマイナス効果が極めて大きかったと考えられるのです。被災後の混沌とした真っ暗な闇の中から立ち上がるために、何かを考えようとしても、何かのテーマを発想して計画しようとしても、肝心の「意欲」自体が出てこないのだと思うのです。それに加えて、復興の足音が全く聞こえてこない、或いは遅々として復興が進んでいかない現実の状況からくる喪失感、或いは絶望感が、立ち上がろうとする意欲を更になえさせてしまうのでしょう。

こうした状況は、「前頭葉」を含む脳の廃用性の異常な機能低下を加速させてしまう大きな要因になってしまうのです(脳の機能にとって、機能レベルを更に低下させる大きな「マイナス効果」がある要因)。その結果、通常のケースで言えば、「キッカケ」の発生から5~6年はかかるはずの「大ボケ」への移行期間が短くなってしまうのです(移行が速くなって、重症化が進んでしまう)。既に、(せっかく見つけても、回復させることが困難な段階である)「大ボケ」の段階にまで症状が進んでしまっている人たちも相当数確認されるのではないかと危惧しているのです(通常のケース事例における発病後の症状の進行具合とその期間については、ここを「クリック」してください)。

     

 (コーヒー・ブレイク)このブログのNー33で例示し、説明した「生活状況」の発生が「キッカケ」となり(ここを「クリック」してください)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まってから半年から3年の間が「小ボケ」の期間、次いで「中ボケ」の期間が2~3年で、発病から5~6年が経つと「大ボケ」になる」というのが通常の生活環境下での「大原則」であり、判定の標準的な「指標」となります。

 「小ボケ」や「中ボケ」のレベルの間であれば、「前頭葉の三本柱」の機能である「意欲」や「注意の集中力」や「注意の分配力」の働きが異常なレベルに衰えてきているとはいえ未だそれなりに機能することが期待できるのです。「前頭葉の三本柱」の機能の出番が増えたり減ったりする個別の具体的な「生活習慣」の影響により、脳の機能レベルの「改善」や「維持」や「悪化」の状態が見られるのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されているように見えてはいても、実際の生活実態を詳細に聞き取ってみると、個別の生活ではそれなりに「プラス要因」の生活が入り込んでいたり、逆に「マイナス要因」の生活が入り込んでいたりするものなのです。上述の基準に適合しないケースは、そうした「プラス要因」と「マイナス要因」の「生活習慣」の具体的な質と量とが脳に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の更なる進行やその維持、或いは改善に影響を与えているのです。

     

〇 回復が期待できない「大ボケ」レベルの人たちの「介護」上の注意点

 ところが「大ボケ」の段階になると、正常レベルへの脳機能の回復を期待することはもはや困難となります(とりわけ、「前頭葉」の機能の回復が困難となるのです。施設で、回想法や歌を歌うなどの試みが実践されているのはそれなりの効果と意味があると思うのですが、自分の置かれている状況を判断するのに不可欠な機能である「前頭葉」の機能を回復させることは極めて困難だということの理解が必要だと思うのです)。

その「大ボケ」のレベルの中で、運動の脳や右脳を刺激するテーマの個別的な実践により(「生活改善」)、或る程度の改善或いは症状の維持(進行の停止)がみられることはありますが、「中ボケ」レベルへの改善の見込みさえも極めて低いものになってしまうのです。とはいえ、「大ボケ」レベルで、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」を試みることもなく(但し、左脳の活用は期待できないレベルにあることを理解することが大切であり、必要でもある)、本人の介護をしているだけでは、症状はさらに重いものになっていくだけなので、それなりに「右脳や運動の脳」に対する働きかけを目的とした内容の「脳のリハビリ」(「生活習慣の改善)に取り組む努力をする必要と意味とがあるのです。

「右脳や運動の脳」に対する働きかけさえもせず、いわば何も対策を講じないままでいると、身体が持つ一方で脳の働きは更に衰えていくばかりなのです。実態としては同じ「大ボケ」のレベルといっても、大河の幅のようにその幅は極めて広く症状の発現の程度や態様が次第に複雑なものになっていくのです。「前頭葉」の機能が更に加速度的に衰えていく中で、同時進行的に「左脳」の機能が加速度的に衰えていくにつれて「言葉」を介した相互の意思疎通が次第に困難になっていくのです。また、「右脳」の機能も同時進行的に衰えていくのですが、デジタル機能(左脳)の衰え方よりもアナログ機能(右脳)の衰え方の方が進行が遅いので、介護してくれている人に対する一定のレベルでの感情を抱いたり、或いは一方的な感情を発露したりする機能だけは未だ残っているのです。その結果、何かをきっかけとして介護者に対して悪い感情を抱くようになると、粗暴な行為や不潔な行為などが時として表出してきたりするのです

   

〇 更なる問題の提起

私たちが集積したデータを基礎とした推計によると、「小ボケ」と「中ボケ」とを併せた数は、「大ボケ」の4倍にもなるのです。「二段階方式」のような「前頭葉」を含む脳の機能レベルをもう少し精緻に計測し判定できる神経心理機能テストを活用して、この「小ボケ」と「中ボケ」の前半のレベルの人たちを調査すれば、「アルツハイマー型認知症」を発病している人たちの割合は、実はもっと大きな数値になるはずなのです。                                                                      

最後にもう一度問題を提起し、指摘しておきたいと思います。陸前高田市や山田町や南三陸町などのように、気仙沼市と比較した場合に同等或いはそれ以上に被災の程度が激しく且つ復興が遅々として進んでいない市町村の仮設集宅に住んで居るお年寄りについても調査の範囲を広げ、且つ「二段階方式」のように精緻な「神経心理機能テスト」を活用して「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれにリンクした症状とをより精緻に計測し判定する調査を実施すれば、それら市町村の被災「高齢者」たちが、この気仙沼市の数値よりももっと高い割合で「アルツハイマー型認知症」を発病している事実に遭遇することになるはずなのです。

  

然も、比較的に早期の段階の人たち、具体的には私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階にあると判定される人たちには、アミロイド・ベータの異常な量の蓄積も、タウ蛋白の異常な量の蓄積も、脳の異常な程度の萎縮も確認されないはずなのです。その根拠としては、「前頭葉」を含む脳の活性化という視点からの「生活習慣の改善」という意味での「脳のリハビリ」を実践することにより、「前頭葉」を含む脳の機能を正常な機能レベルに回復させることが可能であることに鑑み、「軽度認知症」及び「中等度認知症」までの段階であれば、「前頭葉」を含む脳の病的で異常な「機能の低下」は起きてきていても、脳の病的で異常な「器質的変化」は未だ起きてきていないと考えられるからです。

「アルツハイマー型認知症」の発病原因について、上述したそれぞれの学説(仮説)を主張している人達は、東日本大震災の被災地のどこか一か所の市町村で十分なので、ここに提起した問題の調査と確認を実行していただきたいと切に願うのです。あなた方には権威があるので、社会に与える影響はとても大きいからです。どこかの大学の先生が、それらの仮説に基づいて、市町村の保健師さんに、「アルツハイマー型認知症」は治すことも予防することもできないなどと声高に言い立てると、それだけで、保健師さんたちは「地域予防活動」の実践や拡大展開を躊躇してしまうことになるのです。

注)本著作物(このブログB-07に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

 http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アルツハイマー型認知症の回... | トップ | 前頭葉の異常な機能低下とア... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アルツハイマー型認知症の早期診断」カテゴリの最新記事