認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

MMS下位項目の衰え方とその規則性(A-39)

2012-05-14 | アルツハイマー型認知症の早期診断

「コロンブスの卵」という言葉をご存知ですか。人が見つけた後でそのやり方をまねるのは誰にでもできるが、最初にそのやり方を見つけることは難しいという意味で使われます。今日の報告のテーマは、私達がそのやり方を最初に見つけた、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に極めて有用な「コロンブスの卵」の話しです。

世間では、DSM-4の定義以外には「アルツハイマー型認知症」に特有な特徴とされる「指標」が何ら知られていません。然も、DSM-4の定義には重大な欠陥があることは前回の報告で指摘したとおりです。従って、「アルツハイマー型認知症」の診断に際しては、他のタイプの認知症や認知症と紛らわしい病気の特徴とされる要因がないことを一つ一つ丁寧に確認していく方法によってそれらを順番に消していき、最後まで残ったものが「アルツハイマー型認知症」であろうと言う診断がなされているのです。そのために、側頭葉性健忘症や、感覚性失語症や老年期うつ病や緩徐進行性失行などの病気が「アルツハイマー型認知症」と誤診されることが意外と多いのです。テレビによる「アルツハイマー型認知症」の特集番組でも、出演している専門家によるそうした間違いを良く見かけるのです。

       

認知症を疑わせるような症状を示している人が、「アルツハイマー型認知症」なのか、アルツハイマー型認知症以外のタイプの認知症なのか、認知症と紛らわしい病気なのかを診断(判定)する上で、提示する「コロンブスの卵」は新大陸の発見に匹敵する(筆者の誇大妄想癖)とは言わないまでも極めて有用で大きな発見なのです。

私達が提唱している「二段階方式」の場合は、以下に概説する「コロンブスの卵」という絶対的な指標があります。「アルツハイマー型認知症」の場合は、「廃用性の機能低下」により「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が加速度的に衰えていくことが原因で発病し、症状が進行していくので、神経心理機能テストの「MMS」で測定される高次機能の衰え方に特有で厳格な「規則性」が認められるのです。その「規則性」を指標とすることによって、「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が客観的に、且つ精緻に行えるのです。

        

その卵とは???

下図に示すのは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「MMSで測定される左脳と右脳の機能の衰え方には、衰えていく順番が認められる」、言い換えると脳の機能に衰え方の厳格な「規則性」があるというその順番のことです。ここに言う「衰えていく順番」とは、脳の機能にとって「高度なものから順番に出来なくなっていく」という「規則性」のことなのです。その概要をグラフと表とで説明します。

       

以下は、MMS各下位項目の「項目困難度」を示す指標である完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSの総得点)のグラフを示しています。

50%の横軸とクロスする点が、右に行くほどその項目は難しく、左に行くほどその項目は易しいことになります。下記のデータは、18000例の脳機能データを解析したものです。

 

上に示したMMS下位項目の「項目困難度」のグラフを整理し表示方法を変えたのが、下記の表です。上述の「 項目困難度の順番」は、次の表のようになります。その意味するところは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳の機能がこの項目の順番に衰えていく(項目が、この順番にできなくなっていく)という「規則性」を示すのです。このように脳の機能に衰えて行く順番があると言うことは、重大なことを意味するのです「アルツハイマー型認知症」の正体が、廃用症候群に属する生活習慣病であるからこそ、「機能が高度なものから順番に衰えていく」というこの規則性があるのです。老人斑を生成するアミロイドベータや神経原線維変化をもたらすタウ蛋白がアルツハイマー型認知症を発病させる原因だとすると、このような規則性を説明できないと言うことなのです。言い換えると、アミロイドベータやタウ蛋白が原因だとする学説は、間違っているということになるのです。

「二段階方式」による鑑別の方法としては、被験者のMMSのテスト結果を調べるだけで十分なのです。MMSの総得点から減点を算出します。その減点を構成している項目が、この「項目困難度」の順番の通りになっていることを確認すればいいのです。但し、MMSの下位項目は満点が1点から5点まであり均一でないので、減点を構成する「項目とそのパターン」を管理データと照合する作業が必要になります。

「二段階方式」の活用により、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)が、容易に且つ高い確率のもとで行えるのです。その作業手順の概要は、次のようになります。

○ 前頭葉の機能レベルを「かなひろい」テストで判定する。

○ 左脳と右脳の機能レベルをMMSで判定する。

○ 生活実態の聞き取りから「30項目問診票」により生活の自立度を確認する。

○ 脳の機能レベルと生活の自立度との一致を確認する。

○ MMSで測定される下位項目の「衰え方の規則性」の確認を減点を構成する項目とそのパターンのデータと照合する。

○ 「キッカケ」となった「生活状況」を確認する。

○ 「キッカケ」から現在までの過去数年間のナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続とその内容を聴き取る(「生活歴」の聞き取り)。

       

「アルツハイマー型認知症」であることが確認されると、「脳の機能レベル」と脳の機能レベルに対応した「生活の自立度」が確認できるので、「軽度認知症」(小ボケ)、「中等度認知症」(中ボケ)及び「重度認知症」(大ボケ)の三段階に区分された段階的症状が判定されます。そして、「二段階方式」の管理ソフトによる個人別のデータ管理のもとで、定期的に健診(判定)の機会を設けることにより、早期診断(判定)による回復とさらなる症状の進行の防止並びに予防が可能となるのです(ここをクリックしてください)

更に、管理ソフトにより「個人別」、「グループ別」或いは「地域別」にデータを管理することが出来るので、半年或いは1年等一定の期間を対象として、対象期間の最初と最後との比較による脳の機能レベルの変化を判定(改善、維持、悪化)することにより、対象期間中に実施した脳を活性化する「生活改善」のための諸施策(Ex.個別の生活改善指導、或いは脳イキイキ教室参加者に対する脳活性化のための生活改善指導の施策)の効果を判定評価することが出来るのです。

 注)本著作物(このブログA-39に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)






 

 

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