衰えて ここまで来たか 果てなのか
脳の機能は もはや戻らず By kinukototadao
& プロローグ
私は、「アルツハイマー型認知症」を発病してはや8年になる老婆。73歳とはいえ、身体はとても元気です。元気がないのは、脳の方だけ。
お医者様から薬をいただいて、毎食後に3種類の薬を飲まされているようなのだけど、「どうも効いていないみたい」と家族が言ってるらしいの。最近は、季節感もなくなってきているうえに、昼夜の区別も次第にあやふやになってきている感じなの。この間も、畑に行って大根を抜いて来ようと思って、出ていこうとしていたら、「こんな夜中に、何処へ行く気なの?」って、娘に大声で叱り飛ばされたのよね。
これは、「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで脳の機能が衰えて症状が進んだお年寄りのことを戯画風に書いてみたのですが、彼女の脳では、こんな風に考えること/或いは、自分の状況を理解することはもはや不可能なことなのです。
折々に口を突いて出てくるそれらしい言葉も、折々の場面で表面に現われる態度も仕草も、自分が置かれているその状況を理解できて発している訳のものではないのです。「前頭葉」を含む脳の異常な機能低下が故の言動だとは知らないで、施設で働く人達が、暴力をふるったりすることがあるのだけど、マスコミがそれを単なる暴力事件として報道してしまうのです。
& 「アルツハイマー型認知症」は治すことが出来ない病気と言うのは、ウソ(「治せない段階」で見つけているだけ)
このブログのN0-132では「軽度認知症」(小ボケ)について、N0-133では「中等度認知症」(中ボケ)について解説しました。今回のN0-134では末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)について解説します。色々な種類がある認知症の中でもその大半を占める認知症、私たちのデータでは90%以上を占めるのが、この「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。高齢化率が我が国全体で25%にも達している現在、このタイプの認知症を発病している人をいたるところで日常的に見かけているはずなのです。高齢化率が30%を超えた田舎に住んでおられる方なら誰でも体験されているように、役場の拡声器が「徘徊して行方が分からなくなったお年寄りを見かけたら通報してほしい」とのお願いの放送を聞くのが、日常茶飯事になってしまうのです。
高齢化率がこの先さらに高くなっていく予想の下で、発病者の総数自体も更に多くなっていくはずなのです。「アルツハイマー型認知症」は、60歳を超える年齢の「高齢者」のみを対象として発病し、発病後の症状は緩やかにしか進行していかず、且つナイナイ尽くしの単調な生活が継続されている中で(身体が持つ限り)更なる「重症化」が進行していくのが特徴なのです。
ところが、この「アルツハイマー型認知症」については、世界中の認知症の専門家とされる人達(医師、学者、製薬会社の研究者達)からは、「発病の原因もわからないし、発病を予防することも出来ないし、治すことも出来ない」とされているのです。それは以下に説明するように、真っ赤なウソ。「見つける段階が遅すぎる」ことが原因で、治すことが出来ていないだけなのです。廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎない「アルツハイマー型認知症」は、発病自体を予防することも出来るし、早期の段階で見つければ、「脳リハビリ」によって治すことも出来るのです(ここを「クリック」してください)。
「アルツハイマー型認知症」は、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、言わばナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続される「生活習慣」を条件として、60歳を超える年齢の「高齢者」だけを対象として発病する病気、廃用症候群に属する単なる生活習慣病であることを、「二段階方式」の活用により集積してきた「脳機能データ」を基礎として主張し、且つ、市町村での「地域予防活動」として実践してきた実績を有するのは、世界中で私たちだけなのです。世界中の認知症の専門家とされる人達の誰も、どの医療機関や研究機関も、「アルツハイマー型認知症」のことが少しも分かっていないのです。それでいて、(如何にも分かっているらしく)死亡後の脳の解剖所見を基礎としたアミロイド・ベータ説だとか、タウ蛋白説だとか、脳の委縮説だとかが主張されているのです。過去には、アセチルコリン説とか言うのもあったのですが。発病との「因果関係」の立証が未だに為されていないこれらの仮説も、方丈記に表現されるような「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」と同じ運命をたどることになるのです。
我が国には、65歳を超える高齢者が3000万人もいるというのに、これだけ価値のある内容のブログをこうして無償で公開しているのに、哀しくなる程僅かな人達しかこのブログを読んでくれていないのです。私たちの周りにも、「NHKが言っている方が正しいと思うわ」と面と向かって公言する人もいるのです。日本人は、権威主義的な人が多いのでしょうか。認知症の専門家とされる人達でさえ、記載内容に根本的で、且つ重大な誤りがある米国精神医学会の「アルツハイマー型認知症」の診断規定であるあの「DSMー4」の規定を、世界最高の権威があるというだけで盲信して疑おうともせず、診断の根拠にしているのですから。でも、早ければあと1年、遅くてもあと2年もすれば、私たちの主張が正しいことが、「疫学的に実証される日が来る」ことになるのです。日々の生き方、或いは、脳の使い方としての「生活習慣」を見直して、あなたの脳が、「前頭葉」が生き生きと働き活性化するような「テーマ」を是非見つけていただきたいと切に願うのです(ここを「クリック」してください)。
3000万人にも上る第二の人生を送っている「高齢者」達が、趣味や遊びや社会活動や運動などの「テーマ」、自分なりの目標のある生活、自分なりに生き甲斐が覚えられる生活を追及してくれれば、それだけで多くのお年寄りは、「アルツハイマー型認知症」の発病を避けることが出来るのです。そうなれば、「介護保険制度」の財政面からの破たんと言う問題も回避することが出来るので、大ボケの段階にまで症状が進んだ{「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が衰えた}お年寄りを家族が介護するという政策(「家族介護」の制度化)、誤った政策を採用しなくて済むのです。
ところで、「アルツハイマー型認知症」が治せないと言われているのは、見つける段階が遅すぎることが原因なのです。米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の基準に基づいて、且つ、それに規定されている「第一の要件」(記憶の障害)並びに「第二の要件」(失語、失認、又は失行)等の症状の確認を基礎として診断するので、言い換えると末期の段階の症状が確認されないと「アルツハイマー型認知症」であるとは考えないのです。見つけている段階が「末期の段階」の症状を基礎としているから、「せっかく見つけても治らない、つまりは、治せない」のです。その上、肝心の脳リハビリを実践させないで、効きもしない薬を何種類も飲ませていることにも治せない原因があるのです。「大ボケ」では無理なのですが、本当の意味での早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階)で見つけて、更には、(「家族」の協力と支えを条件として)「脳のリハビリ」を日々密に実践させることによって、「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させることが出来るのです(「アルツハイマー型認知症」を治すことが出来るのです)。「治らない病気」と言うのは、ウソ。見つけている段階が遅すぎるだけなのです。
そのデータと実践活動の実績とを基礎として、私たちは、「東日本大震災」の被災地の高齢者たちの間で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が激増すると予告し、何等の対策も打たれないままに放置されたままで居るとその後は、「発病者数」の大規模な増加と「症状の重症化」とが同時に並行する形で進行していくことを警告し、警鐘を鳴らしてきてもいるのです。
60歳を超える年齢のお年寄り達が、その被災を「キッカケ」として、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に陥っていき、その「単調な生活」が継続されたままで居ると、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて、「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきたところで「アルツハイマー型認知症」を発病することになるからです(ここを「クリック」してください)。
震災発生後丁度4年がたった現在では、発病した人達の大半は、私たちの区分で言う「小ボケ」の段階に在る人達が占めることになるはずなのですが、この先症状の重症化が進んで「中ボケ」の段階以降に在る人達が激増して来ることになるはずなのです。その時、初めて、認知症の専門家とされている人達が、大騒ぎすることになるのです。その時期は刻一刻と迫ってきているのです(発病後の症状の各段階、小ボケ、中ボケ、大ボケの滞留年数の基準については、ここを「クリック」してください)。
(コーヒー・ブレイク) 世間で認知症の専門家とされる人たちは、皆さん、「アルツハイマー型認知症」の症状について、誰かが最初に区分した、中核症状と周辺症状という二つに区分するだけなのです(それ自体には何の意味もなく、単に区分してあるだけなのです)。しかもその中心となるのは記憶の障害という考え方なのです。私たちは、回復させることが可能かどうかという視点から三つの段階に区分しています。「小ボケ」は、脳のリハビリ(「前頭葉」を含む脳全体を活性化させる脳の使い方としての「生活習慣」の改善)によって脳全体を正常な機能レベルに回復させることが容易な段階であり、「中ボケ」は、脳のリハビリによって脳全体を正常な機能レベルに回復させることが未だ可能な段階であり、「大ボケ」は、もはや回復させることが困難な段階のことなのです。三つの区分には、このように極めて重大な意味があるのです。そして、各段階ごとに特有な症状を例示列挙しているのです。
発病のメカニズムについての理解のレベルだけでなくて、症状自体についても理解のレベルが異次元という程に異なるのです。名医の触れ込みで、或いは認知症の権威とかの触れ込みで、テレビに登場する人達は皆さん全員、分かったらしくこの中核症状と周辺症状という二つの分類を使った説明の仕方を行い、「記憶の障害」が第一義的な要件であるかの発言を繰り返すのですが、そうした発言や説明を行う人達は、肩書は置いておくとしても、「アルツハイマー型認知症」については何も分かっていない人達なのです。
そして、「中ボケ」の段階にまで症状が進んできても、単なる老化現象と勘違いしたままで居て、脳のリハビリを実践させないでそのまま放置し、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されたままの状態でいると(効きもしない薬を飲ますだけの対応を含む)、「前頭葉」を含む脳の廃用性による加速度的な機能低下が更に進行していくことになるのです。脳機能の加速度的で異常な低下の進行を直接反映する形で、認知症の症状の重症化が進んでいくのです。その先末期の段階の「大ボケ」の段階にまで症状が進んで行くとは言っても、(認知症が原因で死を迎えることにはならないので)身体が持つ限り、(大ボケの段階の症状にも、症状の重さの段階があるので)、症状が更に進んでいくことにもなるのです(「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎないので、何らかの他の病気で死を迎えることになるまで、且つ「大ボケ」の段階に区分される症状の中で、更なる症状の重症化が進んでいくことになるのです)。
我が国ではすでに、「老老介護」とか、「認認介護」とかの言葉が社会的に認知されてきている状況にありますが、(治すことはすでに困難な)大ボケの症状が発現しているお年寄りを、「家族」が介護するというような政策の愚だけは、絶対に避けていただきたいと願うのです。
& 末期の段階、回復させることが困難になる「大ボケ」の段階とは
「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えた場合に発現してくる認知症の症状は、以下のようなものになります【私たちが類型化している「重度認知症」(大ボケ)に特有な症状を列記しておきます】。
☆この段階になると、脳の機能としては、「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が加速度的に衰えてきたことによる「前頭葉」の各種個別機能の更なる衰えにより、「前頭葉」の機能がわずかにしか機能していない(殆ど機能していないような状態)に加えて、「左脳」や「右脳」や「運動の脳」の機能も更に異常なレベルに衰えてきています。「大ボケ」の段階で発現するその症状は、トータルの「脳機能」レベルのアウトプットとしての「症状」を示しているのです(「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定することが出来る「二段階方式」のような神経心理機能テストによって、「前頭葉」の機能が異常なレベルであることが確認されることを前提としてのことになりますが、「3つ以上」に該当していると、「大ボケ」のレベルとなります)。
□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている
□ 風呂に入るのを嫌がる
□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする
□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする
□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう
□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)
□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる
□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)
□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる
□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)
□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)
□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする
□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ
□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする
& 「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状として発現するもの
「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症は、肝心の脳の働きが持たないのに、身体が持つのが特徴なのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病に過ぎないので、他の何らかの病気が原因で死を迎えることになるまで(言い換えると、身体が持つ限り)、症状は進んでいくのです。
「前頭葉」を含む脳の機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状となって発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」と言う病気なので、出番が極端に少ない生活状況の下で「脳の機能」が衰えていくにつれて症状が重くなっていくのです(「前頭葉」を含む脳全体で考えて、「意識的に何かをする」ことが次第に困難になっていくのです)。考えることだけでなくて、身体を動かすことさえも出来なくなっていき、最後は、植物人間のようになっていくのです。「アルツハイマー型認知症」と言うのは、「前頭葉」を含む脳全体の「機能レベル」(働き具合)それ自体の直接のアウトプットが認知症の症状(脳の機能レベルに応じた段階的な症状)として発現してくるのが特徴なのです。
その場合、最初に脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」だけが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていき、その状態が同時進行しつつ、左脳、右脳、運動の脳の順番に機能低下を進行させていくのです。更に詳しく言うと、「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する「生活習慣病」を本質とするので、脳が衰えていく順番があるのです(実は、MMSのテストを何万例も実施して解析してみると、「下位項目」のできなくなっていく「明確な順番がある」ことが分かるのです)。
小ボケ、中ボケ、大ボケと症状が進んでいく中で、それぞれの段階では、どの脳の機能がどれくらいのレベルに衰えてきているかと言うことが極めて重要なのです。外観から、記憶障害の症状を観察して診断しているだけでは、何の役にも立たないのです。回復させることが困難になる末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してくる場合には、その視点が特に重要となります。「前頭葉」の機能がらみの状況の判断も理解も出来なくなっていて、「左脳」の機能がらみの言葉の理解も表現も、言葉を介した意志疎通が困難になってきている状態の下で、感情の脳である「右脳」と運動の脳だけが未だそれなりに働く脳の機能状態での言動や態度を深く理解した対応が求められることになるのです。「施設」等で介護の職に従事している人達には、「大ボケ」の段階にあるお年寄りの取扱上、この視点と知識と理解とが不可欠のものになるのです。この視点と理解が足りないと、「介護する側」の人までもが感情的な対応をするようになって、「暴力沙汰」が起きてしまうことになるのです。
○ 「小ボケ」の段階における脳の働き具合
「アルツハイマー型認知症」は、日常生活を送る中で出番が極端に少ないため(使われる機会が少なすぎる)「廃用性の機能の低下」が起きてくることが原因の病気であって、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化が起きてくることが原因の病気ではないのです。私たちは、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化は、「廃用性の機能の退化」の進行の副産物(「結果」)だと考えています(ここを「クリック」してください)。
認知症の初期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)は、「左脳」と「右脳」と「運動の脳」は機能が全て未だ正常なレベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。
そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」或いは「前頭葉」の各種個別機能の「発揮度」を左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が的確、且つ十分に働かなくなっているのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対する認知機能が正常なレベルで働いていないのです。更には、認知している各構成要素の内容について、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮も不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々のテーマを実行するのに必要となるレベルでの認知機能が十分機能していないのです。こうした条件下で行われるため、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断等が的確にできなくなるのです。こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて、チューブに空気を送り込む働きをするポンプの部分の機能がちゃんと働いていないせいなのです(ここを「クリック」してください)。
○「中ボケ」の段階における脳の働き具合
「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになっています。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、(4~6歳児)のレベルと考えて下さい。
意識の認知度を左右する意欲、注意集中力と注意分配力が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなります。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきています。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」にトラブルが起きてくるようになります。「家庭生活面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。
「中ボケ」になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「重度の記憶障害」の症状が出てきていないと、家族が病院に連れて行っても、認知症とは診断されないのです。
☆「中ボケ」のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに、口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。
○「大ボケ」の段階における脳の働き具合
「中等度認知症」(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送っていると、脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいきます。「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)は、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が残っている程度である上に、脳の司令塔の「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。そのため、意識の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」がほとんど働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、(3歳児)以下のレベルと考えて下さい。「前頭葉」、左脳、右脳の機能の衰えが進行していく中で、MMSの得点が一桁の点数になってから、「運動の脳」も異常なレベルに衰えてきて、重度認知症の症状が更に進行していくのです。
医師達が「アルツハイマー型認知症」の初期と考えている段階、それは私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の中での前期(「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、 MMSの得点が換算値で14点以下10点までの範囲)では、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」がほとんど寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては、理解することも対応することもできないのです。そして、MMSの得点が換算値で10点を切り一桁の得点になってくると、(この段階になって初めて)「DSM-4」が「第二の要件」として規定する失語や失行や失認などの症状が確認されるようになるのです。「DSM-4」が規定する「第二の要件」が権威を持っている限り、回復させることが可能な早期の発見はあり得ないのです。医療の現場で、認知症の専門家とされる医師達が、せっかく見つけても回復させることが困難な段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることが出来ないのは(見つける段階が遅すぎるのは)、この要件が医師達の間で今もなお、権威をもっているからなのです。
医師達が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「認知」それ自体と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない為に起きてくるものなのです。脳の司令塔の「前頭葉」は、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」は、その初期の状態であっても自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになるのです。「記憶の障害」を診断の第一の要件に規定し、「失語、失行又は失認」の症状の確認を要求する「DSM-4」の規定は、根本的な過ちを犯していることがお分かりいただけるでしょうか。権威は世界最高なのかもしれないけど、規定の内容には誤解に基づく重大な過ちがあることを強く指摘しておきたいのです。
先に列記した「大ボケ」の症状を詳細に観察し、「前頭葉」を含む脳の機能及びその機能レベルと言う視点からこれを見れば、及び深く分析してみれば、私たちの指摘が正しいことを理解できるはずなのです。その本質は廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であり、脳を活性化させる自分なりの「生活習慣」(その「テーマ」を自分なりに実行/或いは実践することによって、意欲や注意の集中力や注意の分配力の機能を使う機会が多くなり、ひいては達成すべき「目標」の設定と実行とにつながり/或いはそうした「生活を継続」する中で、自分なりの「生き甲斐」を覚えることができるような日々の生活の継続を言います。あなたが「第二の人生」を送っていて、且つ60歳を超える年齢の「高齢者」であれば、「仕事」とは無関係なはずです。趣味や遊びや人付き合い、運動、或いは社会活動や社会奉仕と言った分野で自分なりの「テーマ」を見つけるのです。)を構築し実践することによって発病自体を「予防」することが出来るし、早期発見(私たちが区分する早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)によって、且つ「脳のリハビリ」を実践させることによって、「治す」ことも出来る(「前頭葉」を含む脳全体の機能を正常なレベルに回復させることが出来る)病気なのです(ここを「クリック」してください)。
但し、「大ボケ」の段階にまで症状が進んでしまっては、もはや手の打ちようがないのです。もはや治すことは困難であって、身体が持つ限り症状はさらに進んでいくことになるのです。とは言え、この「大ボケ」の段階にまで進んでしまった人達こそ、介護する家族の人生をなくしてしまうような「家族介護」に頼るのではなくて、「介護保険」で対応すべきだと私たちは考えるのです。
最近は、認知症のお年寄りの介護の相談を無償で実施するようなコンビニが出現してきています。「アルツハイマー型認知症」の発病の「予防」を目的とする「地域予防活動」を市町村が小さな地域単位で実践し、「早期発見と脳のリハビリの指導」を調剤薬局やコンビニが実践する社会を実現することが超高齢化社会を支える重要な施策となると考え、その実現に向けて微力ながら尽力していきたいと考えているのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルを精緻に判定するには、「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用が不可欠となるのですが、神経心理機能テストの使用は「保険点数」が極めて低くて必要な規模の売り上げ確保に貢献できないので、医療機関が使用したがらないのです。医療機関は、「前頭葉」の機能レベルの精緻な判定には役に立たなくても、保険点数が極めて高くて売り上げの確保に大きな貢献ができるCTとかMRIとか、果てはPETとかまでを使用したがるのです。その上、回復させるうえで必要不可欠である「脳のリハビリ」を指導しないで、(治すことは出来ないが、症状の進行を遅らせる効果を期待できるかもしれないとかいう)効能が疑われる「薬」を何種類か処方するだけなのです。医療機関/医師の社会的責任/或いは社会的使命というプライドは、何処かに置き忘れられてしまったとでもいうのでしょうか。あー、哀しいかな。
注)本著作物(このブログB-34に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。
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脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)
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