七島い編みのカビの話

2019-08-29 | 座編みこぼれ話

七島い(しちとうい)で編み上げた椅子達を除湿乾燥中。
編む時は水分を含ませ柔らかくしてから使うので編み終わった座面は湿っています。
そのままでは湿度の高いこの季節はカビが生えるので除湿乾燥します。
経験則では、この時期にうっすらと表面にカビが生えると、がさつきが無くなりいっそう座面がパーンと張ります。と同時に艶も出て表面が強くなる感じです。
編んだ後、しっかり乾燥して使い始めても2、3年は草の生命力が残っているのでしょう、少し油断するとカビは生えます。
その後は湿度の高い閉め切った部屋等においておかない限りカビの心配はなく、座面も張りが出て、触った感じもつるっとして落ち着きます。
これも経年変化として楽しんでいただければと思います。
このように自然素材はその扱いに注意する所はありますが、それも楽しむ気持ちの余裕が暮らしを豊かにするものだと思います。
お使いの椅子にカビが生えてしまってご心配の場合、風通しの良い場所に置き、エタノールをスプレーし布や刷毛で拭い取るとすぐにさらっとします。
人も気持ちのよい風通しの良い場所でお使いいただければカビの心配はありません。

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椅子の座面の変わり編み

2018-08-21 | 座編みこぼれ話
椅子の座面をペーパーコードや草等で編む方法はいくつかあります。



ゴッホの椅子等、座編みの椅子によく使われる編み方が封筒編みと呼ばれ一番多く見られます。私の椅子もほとんどこの方法で編み込んで仕上げています。

他に平面で布を織るように縦糸をまず張り、横糸を交差させていく方法があり、鹿の子編み、カナコ編み等と呼ばれる方法が織編みとしては一般的です。

今日は、鹿の子編みを少し変化させた編み方です。
七島いを一本一本差し足しながら、結び目のない紐を作りながら座面の枠材に編み込んでいきます。
縦糸を張るまではかのこあみとほぼ同じなのですが、横糸を渡す時に、三本越して一本すくい、次の列で一本ずらしていきます。



するとできあがった座面に盛り上がった斜めの模様が浮き出てきて見た目柔らかくてかわいい感じに仕上がります。
名付けてミツコシ編みとでも呼びましょうか。

お尻の当たりは普通の鹿の子織り編みとほぼ同じです。
とにかく時間がかかるのは考えるところですが、魅力があります。座る場所も限定されないという利点もあります。
一枚織りで仕上げると裏面もきれいな模様になるので、背当てを編んで仕上げたい時にも向いています。

 

 

 

 

ペーパーコードで三越あみ。
試作椅子です。
座面の三次元形状がどこまで管理できるか試作しています。

 

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七島い座編み終わり乾燥中

2017-07-07 | 座編みこぼれ話
 

この横糸と縦糸の隙間ポケット部に乾燥した七島いを詰め込んでいきます。
クッション効果と座面のへたり防止のためです。

 

詰め込み終わり、編みすすんでいきます。
以前ある人に、編んだ椅子は座面がへこんで、枠に座らされているみたいで座り心地の悪いことこの上ないと聞いたことがあります。その通りです。
まずはきっちりパンパンに詰め込みます。
膨らんだまま編み進んでしまうと、詰め込んだ物が結局へたり、大きく座面ごと落ち込んでしまうので、
詰め込んですぐに座面に乗ってかかとでつぶすように踏みます。踏み固めた所でまた編み進みます。

 

あぐら正座椅子も編み終わり、今日は天気が良いので外で乾燥中。
料理屋さんの椅子の補修、組み直し、座面編み替えはこれで27脚目終了しました。まだまだ続きそう。こんな仕事をさせていただいて嬉しい限りです。
古くなったら捨ててしまうのではなく、直して使い続けるという文化を大切にしていきたいです。
それも意識の高い使い手のお客様あっての話なので、心より感謝しております。


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座編み椅子の裏面の話

2017-07-07 | 座編みこぼれ話
裏面の話
七島いの座編みの場合、継ぎ足す時は裏で結んでつなげていくか、太さを合わせながら数本ずつ挟み足していく方法をとります。
5〜6ミリの太さにするには、その時の草の状態にもよりますが、大体20本束ねてねじり、紐状にしていきながら椅子の枠に編み込んでいきます。
裏を見るとどんな継ぎ足し方をしているのか分かります。どちらが良いかというと、座面としての耐久性は全く変わりありません。各コーナーでかっちり止まっているので、ほどけて行くことはありません。
結び目は無くても、ひげのような草の端がピンピン細かく飛び出しているか、又はきれいにな紐状になっているけれども結び目がある方が良いか。裏なので耐久性に変わりがなければ関係ないと思われる方がほとんどです。
海外の草編みの椅子の継ぎ足し方はほとんどの場合、各コーナーで新しい草を挟むだけで、あとはねじって編みすすんでいます。裏の処理はまずほとんどしていません。
裏の美しさもこだわるのは日本人だけかもしれません。
草の一本一本も日本でいえば蒲(がま)のような太いものが多く、これならコーナーで挟むだけで十分なのが分かります。それでも平気で30年以上使われている椅子をたくさん編み替えてきました。
古い椅子の編み替えはまずこの椅子はどんな編み方をしてあるんだろうとわくわくしながらほどいていきます。何よりの勉強になります。
表側は全く同じ仕上がりなのに編み方は材料や座面形状により二十通り以上あり、自由です。今回はどの編み方にしようかなぁと、ほとんどその時の気分で楽しんで編んでいます。
たかが座編みされど座編みといったところです。

 


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