ザフスツールの座面高

2024-06-23 | 椅子


お二人の方がそれぞれ最適な座り心地を計測して作った2脚を並べてみました。
13cmの差があります。
私が座ってみると、ひとつは脚が浮いてぶらぶら、もう一方は膝が浮いてしまい座骨がごりごりです。
これは極端な例ですが、自身の体を優先した椅子を選ぶ場合には座面高はとても重要です。
テーブルの高さとの関係、デザイン等、何を優先するかで一概には言えないのですが、もしも自分の体最優先で楽に長く座りたいという希望を持って椅子を探しているとしたら、椅子の座面高はとても大事な要因のひとつになります。

この2脚はそれぞれの方から「私にぴったりです。」との感想をいただきひと安心しました。


一脚は、転勤のため数年間大町に住んでいた事があり、「いつかは木楽工房の椅子を」と名刺を大事に持っていてくれた方です。
「30年程前に直径60cmもある流木を引っ張り上げて製材したところかなり標高の高いところから流れ着いた木目の詰まった楢の木で云々」との話からぜひその楢の木でザフスツールをというご依頼、これは山梨へ。
もう一脚は「昨年の春のイベントでのザフスツールの座り心地に感動して」といって一年越しに工房までお越しくださいました。これは北海道の大地を通り越し、正に最北の利尻島へ旅立ちました。
座り心地を覚えていてしばらく経ってからのご依頼は格別嬉しいです。
本当にありがとうございました。



ザフスツールについて

坐禅をする時にお尻の下に敷く座布団のことを座蒲(ざふ)と呼びます。
このスツールに座ると、坐禅した時の上半身の姿勢を保ちやすくすることができます。
そこから[ザフスツール]と名付けました。

骨盤が起き、背筋が伸びて、深呼吸することによって心と体が整う感覚を味わえます。
堅い木の座面にもかかわらず、柔らかい座布団に座っているような感覚です。
お尻から太ももの裏側を包み込むように体重を分散し支えてくれるので長い時間座っていてもしびれたり痛くなったりしにくく、無理な力を使わず長く座ることができます。
座り心地を研究していくうちにここへたどり着きました。
座っていただいた方々からは「とても楽、背もたれはいらない!」というご感想をいただいています。
まずは深呼吸することから始め、心を落ち着け、座禅、瞑想等により自分に向き合う時間を作るきっかけとしてこの椅子に座ってみることをご提案します。
一日にたとえ10分でも自分の呼吸だけに集中することを習慣にすると必ず何かが変わってきます。
日常の食事、デスクワークなど普段使いとしてもお勧めします。

ミリ単位で座面の高さを計測、製作しお届けします。

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岩岳の栗材でザフスツール制作

2024-06-10 | 椅子
2年前の春4月、山仕事をしている友人から杉の木を伐採している中に良さそうな栗があるけどどう?と声をかけてもらい、見に行ったところすらっと5m以上ほぼ真っ直ぐな枝のない栗の樹が立っていました。
元口は直径47cmほどある立派な栗の木です。
ありがたく譲っていただいて、半分の2.7mに切り、丸太2本を早速軽トラへ積んでもらい、そのままお世話になっている製材所へ運び、ザフスツールが作れる厚さに挽き割ってもらいました。


家で桟積み天然乾燥させ2年経ったのでこの春、使える材料になりました。
ちょうどそんな経緯をお客様に話したところ「ぜひその岩岳の栗を使ってザフスツールが欲しい!」と言っていただき制作しました。
そして今日納品という嬉しい日を迎える事ができました。
とても喜んでいただき私も本当に嬉しい至福の時間をいただきました。
心よりありがとうございました。

 
山に育ち、人の肌に触れる心地良い椅子に生まれ変わる。
一連のこの栗の木のつながりは自然で無理がなく気持ち良い流れを感じます。
携われてとても幸せです。

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ザフスツールの新しい注文方法

2024-05-22 | 椅子
ザフスツールの注文をいただく時は既存の完成品に実際に座っていただき、座面高を最適な高さになるように調整しながら計りだします。
それから樹種、脚の形状、仕上げ方法、仕上がり予定日等ご希望をお聞きするという順でご注文を承っています。

 
新しい試みとして、座面の座る面だけ完成させたものをあらかじめ作っておき、仮の脚を取り付けた状態で実際に座っていただいて高さを決めます。
その座面そのものでご注文いただき、後日仕上げ、納期までに納めるという形でご注文を承ることを始めました。


先日工房に来ていただいたお客様にこの方法でご注文いただいた時に流れの良さを感じました。
今回は3脚分ご用意できました。
ミズナラ材、トチ材、クリ材です。
実際にそれぞれ座っていただいて微妙な座り心地の違いも感じていただけると思います。


今週末、クラフトスクエアに出展します。
2024年5月25、26日 10:00~17:00
イオンモール松本 空庭やまびこ広場にて
36組の作り手たちが、作品の展示販売だけでなくワークショップや実演、作業工程の分かる展示等もご覧いただけます。
私はハイスツールの枠を持って行き、太藺(フトイ)を座面に編み込む実演をする予定です。
あがたの森公園ではクラフトフェアが開催され、そのサテライト会場となっています。
合わせて回っていただければと思います。

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欅の枝でグリーンウッドワーク、ハイスツール作り

2024-05-12 | 椅子
 


欅(ケヤキ)の枝を四つ割りし、高さ56cmのハイスツール枠が組み上がりました。

47年前、私が小学校6年生の時の話、校庭の周りにはケヤキの林があり、地面からは芽吹いたばかりの実生のケヤキの子が群生していました。その頃盆栽を趣味にしていた父と一緒に数本掘りもらってきて盆栽に仕立て楽しんでいました。
両親とも還暦を迎えて信州へ移住。同時に盆栽も引越し。周りの自然に圧倒され、少ない土で生きている盆栽たちが窮屈に見えたようで全部この土地へ植え替えられました。
厳しい自然環境に順応し生き残ったケヤキは2本。実生から盆栽として13年、地植えされてからは34年経ち、今では元の太さは45cmを超え、高さは20m近くの大木に。
2階の屋根に張り出し、困った枝を友人が切り落としてくれました。直径13cm程の丸太を四つ割りにしてみたらちょうど良い反り具合。「これはハイスツールの脚だな。」勢いグリーンウッドワークの始まり。乾くとカチカチで簡単には加工できないケヤキですが、生だとサクサク削れて気持ち良い。座面は自家栽培の太藺(フトイ)を編み込み完結予定。全て身近な素材で気持ち良い椅子ができそうです。

 
もう一本のケヤキは道路沿いに、「うちを道案内する時に、大きな欅の木が目印ですよ。と言えるように」と言いながら植えていた、今は亡き父。当時は笑って聞いていた僕だったが、その言葉が本当になった。
100年後200年後もこの欅の由来が語り継がれ?人知れずでいいや、生き続ける事を願います。

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ザフスツールを鉄媒染で黒染め

2024-04-16 | 椅子
ザフスツールを鉄媒染による方法で黒染めしてみました。
鉄サビと酢と水だけで簡単に鉄媒染液を作る方法を知り挑戦。

 

 
タンニン成分を多く含む柿渋を下塗りし、乾燥後鉄媒染液を塗ると、薄墨色がみるみる真っ黒に変わり感動的。
塗りむらを心配しましたが、全く問題なく5分も経つと全体が漆黒。
拭き取る布も手もほとんど黒くならず驚きです。
自然素材で簡単に安全に黒着色できる事が分かりました。
乾いたらグロスクリアオイルで鈍い艶を出せばいい感じに仕上がりそうです。
経年変化がどうなるかまた楽しみ。
レパートリーのひとつとして黒のザフスツールも仲間入りできそう。


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ヴァルツ(Walz)のロビン工房へ

2024-03-28 | 椅子
ヴァルツ(Walz)と呼ばれる中世から続くドイツの伝統的な制度

3年間ドイツ国内での職業訓練を終えた後、プラス3年と1日間、放浪の旅する職人として世界中を回ります。
30才以下、四季を通じて常に伝統的な独特のこの服を着用、旅の間はスマホを持ってはいけない、移動は徒歩かヒッチハイク(やむを得ずの場合は公共交通機関と国間の飛行機は利用可)、旅費は自費、旅期間中は故郷に戻ってはいけない、寝食は旅先での好意を受ける等々、多くの規律があります。
旅を続ける事で、職人としての技量だけでなく、心と体、人間性を高める厳しい旅です。
ロビンはヨーロッパ各国、オーストラリア、ニュージーランド等回り、最後の旅先として日本を選び長崎、大阪、京都、兵庫、高山を経て信州大町にも回ってきました。
誠実で明るく笑顔が絶えない、覚えたての日本語でジョークも飛ばし頭のいい人だなぁと感じました。英語が全くの私は翻訳アプリに頼るしかない(泣)それでも時々ご機嫌ななめになるスマホ片手にドイツ語日本語でたくさん会話できました。翻訳アプリ様々。
同年代の息子とは同じ大ファンのワンピースで大盛り上がり、しゃべれなくても言葉を越えた若い人同士のノリで乗り切る楽しさも「いいなぁ」と感じました。

 

 

 
工房では去年自家栽培したフトイを使ってスツールの座編みを体験してもらいました。ロビンも初めての座編み作業を体験できるという事で夢中でした。ドイツでは自然の草を編み込んだ椅子を見た事がないそうです。終始「いい経験をしている、素晴らしい!」などなど感想を言ってくれて嬉しくなりました。全面応援したくなる人柄で大好きになりました。元々の素質もあるのでしょうが、27才とは思えない威厳まで感じさせる面も見られて、旅も終わり近くになり、より増してこの人間性が身に付いたのだろうなあと感じました。
ロビンとは親子のような年の差はあれど、それを全く感じる事なくお互いを尊重し合う関係ができました。刺激的で本当に楽しかった。

 
お昼ごはんの時、旅中肌身離さず大事に持っていた伝統の職人柄のハンカチーフに日付とサインを入れて「あなたへ」と渡してくれました。もらってしまっていいものだろうか?
感動もありがとう!


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ペルヴィス(骨盤)サポートチェア納品

2024-03-21 | 椅子

4月から始まる学習塾での椅子が完成し納品させていただきました。
間に合ってほっとしています。

 


ペルヴィスサポートチェア
山桜材、座面アクリルテープ張り
骨盤(ペルヴィス)を支える設計の椅子です。
お尻から腰にかけ、骨盤部分をしっかり支えてあげると良い姿勢を保ちやすく、上半身が自由で肩の力が抜けます。
逆に背もたれに寄りかかれないので、自分の姿勢を意識できます。

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朴の木(ホウノキ)ザフスツール納品

2024-03-13 | 椅子
朴の木(ホウノキ)ザフスツール

 
座面・ホウノキ材、丸ノミ叩き仕上げ
脚材・オニグルミ材、紡錘形銑削り出し仕上げ
オイルフィニッシュクリア

「まず座り心地が良い!独特な色と木目、艶が気に入った。」
と工房に展示していたザフスツールに座っていただき即ご購入いただきました。
高さをぴったりに合わせ納めました。
展示品の場合、座面を高くする事はできませんが、低くする分には調整しすぐにお渡しできます。


安曇野の田園風景が広がる大きな窓、木、和紙、左官の塗り壁と自然素材をふんだんに使った気持ち良い空間にうちのザフスツールもすぐに溶け込んでくれました。
座面高もぴったりで良かったです。
ありがとうございました。

 


ペルヴィスサポートチェアの進捗状況は、組み上がり、調整、塗装が終わって座面にアクリルテープ張り完成です。

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[グリーンウッドワークで椅子を作る]

2023-12-29 | 椅子
[グリーンウッドワークで椅子を作る]
久津輪雅著



椅子づくりに役立つ本が出版されました。

日本には身近に木があります。
この木を伐り、まだみずみずしい(柔らかく加工しやすい)うちに加工し、生活道具を作り出す技術がグリーンウッドワークです。
生木だからこその性質を活かしてしなやかで丈夫、そしていろいろなデザインの椅子を作る事ができます。
そんな椅子を作るための本です。
道具の使い方から木の性質、作り方のコツ、座編み材料から仕上げる方法等々詳しい説明と豊富なカラー写真で綴られています。

木工を覚えたての頃にこの本があったら穴が空くほど読んだに違いありません。
わくわくしながら、紹介してある椅子を次々作ってみただろうなぁと思います。
趣味の木工家からプロまで椅子づくりに興味のある方へきっと役に立つ内容になっています。


「グリーンウッドワークの椅子づくりを体験できる場所」として巻末に紹介欄もあり、
木楽工房の座編み教室も紹介していただいております。
ありがとうございました。

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七島い編みロングベンチ納品

2023-12-28 | 椅子
天然乾燥ケヤキ材、銑による削り出し仕上げ
オイルフィニッシュクリア仕上げ
七島い編み
幅1600×奥行370×高さ450(ミリメートル)
今日はいつも丸太の製材でお世話になっている工務店さんの事務所にベンチを納品させていただきました。

 

高橋林業木づくりの家
天然乾燥の原木製材から設計施工までトータルデザインされています。
自然素材にこだわり、深呼吸したくなる空間を提案
自然との共生、人も木も生きていると実感できる家づくりを目指しています。
@kizukurinoie
www.kizukurinoie.jp


冬の光溢れる、まさに深呼吸したくなる気持ちの良い空間の、事務所の大テーブルのベンチとして作らせていただきました。
大人3人が楽に座れ、七島い編みでというご依頼でした。
欅材はご用意いただきました。

 

 
200kg以上を支える座面枠材は通しのため、幅広材をお願いし、脚は85ミリ角から加工、銑により削り出し。

 

 
天然乾燥の欅のため、よく研いだ銑、のみ、切出しで削る時はものすごく硬いのですが刃物がキュッと入るような粘りを感じ、艶々の表情を見せてくれました。
そして七島い編みで仕上げ、香り、座り心地とも上々でした。

とても気に入っていただいて嬉しく、至福の時間をいただきました。
ありがとうございました。

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2023年座編み教室納め

2023-12-26 | 椅子
今日は今年収穫したフトイを使いスツールの座編み教室をしました。

今は職業訓練校に在校中で冬休みに入ったとのことです。
来春からは木工所に就職が既に決まり、もうひとつ技術を身につけたいと座編みを勉強に来てくれました。
フトイ編みは初めて挑戦するには難しいですが、これを覚えてしまえばペーパーコードや他の植物素材でも応用が利くため一番勉強には良かったと思います。

 

 
元々器用な方なのでフトイの扱いや手順など覚えが早く、朝から始めて、夕方4時頃には編み終わりました。
あとは自分なりに工夫しながら数をこなし編んでいけば身に付いてしまうと思います。
若い方に座編みを覚えてもらえてとても嬉しいです。
ありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。
息子と同じ若さだ、ぜんぜん疲れてないかぁ〜(笑)


一緒に編んでいるのは、太藺(フトイ)にてアンティークの椅子座面編み替え。
これを編み終えれば仕事納めです。

今年も楽しく、やりがいのある仕事ができました。

ありがとうございました!
全てに感謝です。

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栗座面のザフスツール仕上げ二種

2023-12-01 | 椅子
どちらもオイルフィニッシュクリア仕上げですが
木地にそのままオイルフィニッシュクリア仕上げしたものと、下処理として砥の粉にて目止め後オイルフィニッシュクリア仕上げする場合があります。

右は砥の粉下処理後乾燥中です。

 
砥の粉処理したものはクリ材の木目が一層引き立つため、経年変化した風合いが出ます。

 
オイルフィニッシュクリアのみで仕上げたものは数年かけて木目が浮き出てくるので、艶と共により自然な経年美化を楽しめます。
どちらが良いかは好みで選んでいただいております。


この3脚はご夫婦の2脚が砥の粉オイルフィニッシュクリア仕上げ。
もうおひと方の1脚がオイルフィニッシュクリア仕上げです。

今年の9月に納めたものですが、先日東京からまたご夫婦でお越しいただきました。
この椅子に座り始めてから、いつも体を見ていただいている先生から、「腰回りの筋肉がしっかりしてきている。」とほめていただいた事、「なるべくこの椅子に長く座っていたい。」とご自分でも姿勢良く座れるようになったことを実感されている様子を話していただきました。
何より嬉しくありがたいお言葉をいただきました。

もう1脚の方は、2階で使う事も多くもう1脚追加で欲しいと、そしてご主人も、背が高く姿勢から来る腰痛もあり、ぜひこの椅子に座りたいとご依頼いただきました。
ザフスツールは座面の高さがとても大事なので工房で採寸しその人専用になります。
心を込めて作らせていただきます。
本当にありがとうございます。


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クラフトピクニック10月14・15日に参加します

2023-10-09 | 椅子
秋の野外イベント 
クラフトピクニックに参加します。

 
10月14、15日 10時〜16時
あがたの森公園 芝生の広場
今年もペーパーコードをスツールの枠に編み込み仕上げていただくワークショップをします。


テーブルで使える高さ大きさのスツールから高さ30cm・23cmの低めのスツール、あぐら正座いす等できるだけ準備していきます。

今はスツール枠を作る毎日です。

 
小径木スツールはオニグルミとリョウブで木取りました。
貫のホゾは太目に加工してから熱を加えて強制乾燥し縮んだところで組み立てると緩みの無いがっちりした椅子になります。

木楽工房はエリアEにブースを準備します。
開始時間は二日間とも10時からと13時からの2回です。
少し早めにブースへ来ていただきお気に入りのスツール枠を選んでください。

指が痛くなったり結構大変な作業ですが大変なほど完成した時の充実感満足感は最高ですよ。
ぜひ、ご参加、挑戦お待ちしております。

事前予約もいくつかは受け付けております。
クラフトステーション(0263-34-6557)へお問い合わせください。


先週金曜日10月6日アルプスが雪化粧しました。
朝晩冷え込みが厳しく、一足飛びで冬になってしまうの〜?
もう少し秋を満喫したいです。


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1880年代スペインの椅子の補修と座面編み替え

2023-10-02 | 椅子
1880年代スペインの椅子の補修と座面編み替え

アンティークを扱っているお店からのご依頼です。

1880年代といえばゴッホの生きていた時代。
そんな時代に作られた椅子なんだと思うと感慨深い気持になりました。
約140年間どこで使われてきたのだろう。時代ごとに渡り歩いてきたのか?
そして今、日本の信州の山奥に流れ着き、具合の悪いところに手を入れられ、座面を編みかえる事で生まれ変わり、この先もどこかで人に座られるのだなぁ。

 
脚や貫などの部材は旋盤で装飾されていますが、足を掛ける部分は擦り切れ、削られ、まるでおびんずるさんのようにつるつるです。


古い座面を取り外し、その枠になっている材料を見ると、芯持ちのせいぜい15年生くらいの枝でした。
それも枝分かれした節も使われていて、それがまだまだ丈夫でしっかりしています。
ケヤキなど硬く粘りのある木で、芯持ちの枝は強い。と実感していましたがこれでまた確信を持てました。
補修や塗装、座面の編み替えは何度かされてきたでしょうが、ホゾの緩みはほとんど無くしっかりした作りです。

 
水拭きクリーニング、緩んだ枠は分解後接着剤を入れて組み直し、床面とのガタつきをとりました。


アンティーク感を残すため、新たに塗装は施さず、蜜蝋ワックスでやわらかい艶を出しました。


そして座面が真っ新になり生まれ変わりました。

当時の職人さんと会話しながらの時を越えた至福の時でした。
また大事にされて長く使ってもらえますように。

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今年収穫した太藺(フトイ)にてスツールの座編み

2023-09-17 | 椅子
今年収穫した太藺(フトイ)にてスツールの座編み

盛夏に刈り取り、乾燥、保存した太藺、まだ青みが残り、太藺特有の何か香ばしい野菜のような香りも残っています。
カサカサに乾いたフトイをお湯で蒸らして柔らかくしなやかな状態にし、椅子の座面に編み込んでいきます。

 
5.6本を束ねねじると約5ミリ程の太さになり、一定の太さを保つよう座面裏で1本ずつからめ足してつないでいきます。
このつなぎ方はヨーロッパで古くから使われている手法で外国の古い椅子の編み替えをするとほとんどこの方法がとられています。
裏面はほぼねじる事なくひと巻きするだけで継ぎ足され、表側(座る面)だけきれいにねじっています。

 
椅子の座面裏好きとしてはこの状態を見ると嬉しくなってしまいます。

 
自分の手で刈り取った太藺を使ってこの編みができて、静かな感動の時間でした。

この椅子は、来客時に補助として。
姿勢良く座れるように。
自然の曲りを活かした細めの丸太(枝)を脚に使って軽い感じでフトイ編みがいい。
色は濃いめが好み。
というようなご希望でしたので、ご相談の上

座面の高さは40cm
脚は細めのナラの小径木(枝)、貫はケヤキの枝。数年間乾燥済み材使用。
細めで軽い椅子として丈夫にするため、粘り強く硬い丈夫な木を使っています。
座骨(板に座った時にこりこり当たるお尻の骨)がしっくり納まるよう、交点を後ろへずらす編みで調整。
骨盤を起こしやすくするために座面の後ろ側を上げています。
柿渋を下塗り後オイルフィニッシュクリア仕上げし、時間と共に艶のある茶褐色に変化していきます。
座面をしっかり乾燥し完成です。
気に入っていただけますように。


 

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