棋楽庵の九州将棋ふまわり日記

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■「由太郎ノートNO.020-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:高段者編」

2009年11月21日 | ◆由太郎ノート
★「由太郎ノートNO.020-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:高段者編」
 ▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)

                 棋譜解説:平成21年全日本アマチュア将棋名人 山崎由太郎
                 編集責任:棋楽庵


▲県名人 早咲誠和
△挑戦者 神品和男





【山崎の結論】
▲早咲 誠和
疑問符:63手目▲6六同歩
    67手目▲6五飛

△神品 和男
疑問符: 38手目△7二飛
     42手目△7五歩
敗着:  96手目△4一角


=第1譜=


(指し手 1~20)
▲2六歩  △3四歩  
▲2五歩  △3三角  
▲7六歩  △4四歩  
▲4八銀  △4二銀  
▲5八金右 △5四歩  
▲6八玉(第1図)
      △4三銀  
▲9六歩  △9四歩  
▲1六歩  △1四歩  
▲7八銀  △3二金  
▲7九玉  △8四歩(第2図)

勝率9割3分の真相に近づくカギ
 ふう~。いよいよ高段者編ですね。
ここからが本音タイムです。ここまで
の棋譜を見た感じ、早咲さんは将棋よ
り勝負を考えて指し手を進めていると
考えられます。明らかに、決め打ちを
していると考えられるからです。おそ
らく、事前に神品さんという人、棋譜
を調べられたのでしょう。

 ▲6八玉は3三角型なので、攻撃型
雁木は可能性として低いものとして指
したものと考えられますが、▲9六歩
▲1六歩▲7八銀の組み合わせは相手
が振り飛車党ならばしないものと思う
からです。特に▲1六歩は△5二飛と
指されると最悪、緩手になりそうです。

 おっと、これは現時点での僕が思っ
ているだけですよ。正しいかどうかは
わかりません。あまりにくどいと嫌が
られそうなので、これで最後にします
が、僕は一生懸命に書きます、といっ
ても僕が正しいと思って読むのだけは
やめてください。

 さて話しは変わりますが、アマはプ
ロと違い差が激しい領域だと思うので、
一流アマが勝率7~7.5割、超一流
アマが7.5~8割と考えています。
早咲さんが持つ9割3分という数字は
実力でとっていたら人間ではないと思っ
ています。つまり、+1割は技術的な
ものではないと考えています。その+
1割の中身の1つが上記した、相手を
見て手を選ぶということと、どんな相
手にも手を抜かないということです。



=第2譜=


(指し手 21~38)
▲4六歩  △6二銀  
▲4七銀  △5三銀  
▲5六銀  △5二金  
▲3六歩  △4一玉  
▲3八飛  △8五歩  
▲7七角  △7四歩  
▲3五歩  △同 歩  
▲同 飛  △3四歩  
▲3六飛  △7二飛(第3図)

相手を見た▲3八飛
 ▲3八飛のところではいろいろ手が
考えられるところです。3手角は△4
五歩があるので、やりづらいですが、
▲4八飛、▲2六飛は考えられそうで
す。▲2六飛から考えて見ましょうか。

 ▲3八飛に変えて▲2六飛△8五歩
▲7七角△7四歩▲3七桂△3一玉▲
1五歩△同歩▲3五歩△同歩▲4五歩
△同歩▲同桂△7七角成▲同桂△4四
銀右▲2四歩△同歩▲同飛。

 ここで△5五歩か△2三歩だと思う
のですが、△5五歩は▲2二歩△同金
▲2三歩△1二金▲7一角△7二飛▲
4四角成△同銀▲同飛△5六歩▲6一
銀△6二飛▲5二銀成△同飛▲4一金
△3二玉▲4三銀△4一玉▲5二銀不
成△同玉▲3二飛△6一玉▲4一飛成
以下詰み。

 一応、早咲さんと神品さんと条件を
同じにするために頭の中だけで読んで
いるので途中重大な見落としがあるか
もしれませんが、その時はすいません。
ただ、級位者、有段者編なら途中図を
入れて、盤に並べて間違いがないか確
認という作業が必要ですが、高段者編
は図面いらずの間違いは読者が気が付
いてくれるので、書く方としてはかな
り楽になります。

 △2三歩の変化を忘れてました。△
2三歩だと、▲4四飛~▲7一角でな
んとかなるのではないでしょうか。す
いません、書くのが疲れてきました。
(^-^; ここらで、ご容赦下さい。

 ですが、2六飛車型を作ったからと
言って、先手が良いというわけではな
いと思います。例えば、仕掛けられて、
▲4五歩の時に、シカトして△7五歩
や△3四銀。もしくは、もっと前に△
6四銀型で攻勢を築くとか、△8五歩
▲7七角の交換を入れなければ、王手
飛車の筋が残りますから。ひとまず、
2六飛車型もあったでしょう。▲4八
飛も有力そうです。

 ここで知りたいのが早咲さんの消費
時間です。▲3八飛に時間を使って指
していれば、その他の手と比較したの
だなとわかるのですが、時間を使って
なかったら、相手を見て指した可能性
が高そうです。

 ▲3八飛の局面では将棋的な最善手
などわかるとはとても思えませんから。
つまり、早咲さんは神品さんが第3図
のように△7二飛と指してくる可能性
が高いと経験的にまたデータから読み
取ったのでしょう。そして、△7二飛
は僕としては疑問符です。次の手が厳
しい。



=第3譜=


(指し手 39~64)
▲3五歩  △同 歩  
▲同 飛  △7五歩  
▲3四歩  △5一角  
▲6六角  △7六歩  
▲8五飛  △8二歩  
▲4五歩  △3三歩  
▲2四歩  △同 歩  
▲3七桂  △3四歩  
▲4四歩  △同銀右  
▲2二歩  △同 金  
▲4五銀  △5五銀  
▲4四歩  △6六銀  
▲同 歩  △3二銀(第4図)

 △7五歩の時の本当の後手の態度は
ゴメンナサイと△8二飛だと思います。
将棋ってお互いつっぱちゃうとすぐに
勝負がついてしまいます。経験上、ゴ
メンナサイと謝っておけば、戦力は変
わらないのですから、そんな悪くなる
はずがないのです。

 ただ、▲6六同歩は謎です。▲4三
歩成で先手勝ちだと思いましたが。結
構、うっかりしがちなんですけど、先
手の美濃囲いって7七を突破されても、
結構耐久力があるのです。あと、7七
ぶち込みには▲68金直という手もあ
るので、この美濃囲いの耐久力の認識
ミスで僕が過去にどれだけ、右四間に
痛い目にあったことか。

 さて指し手を見てみましょう。▲6
六同歩で▲4三歩成…すいません。訂
正します。やっぱり、▲6六同歩は冷
静かもしれません。理由を説明します。
▲4三歩成△7七歩成▲5二と△同玉
▲7七桂△同銀成▲同銀△同飛成▲7
八金△7二竜。この局面どうやっても
寄りだろうと思いきや、よくわからな
いですね。直感▲5四銀や▲4四銀な
のですが、持ち駒の銀・銀・金と後手
玉の4一と6一、6二のルートが複雑
に絡み合ってよくわかりません。どう
も2三の空間が邪魔です。まさか、▲
7七歩で勝てるわけもないし。

 ▲5四銀あるいは▲4四銀に△7七
歩が痛いのです。逃げると、△7六桂
馬が7八清算後の△8八桂成以下の詰
めろになってますから。

 また、今の変化のときに△7七銀成
が詰めろじゃないからということで、
▲6一銀はありそうですが。以下△8
八角▲8九玉△9七桂▲同香△同角成
…この局面は▲7七銀か▲5二銀成で
先手勝ちそうとはいえ、なにか怪しい。

 ということで、結論が出ないので実
戦的に▲6六同歩は冷静かもしれませ
ん。失礼しました。



=第4譜=


(指し手 65~87)
▲6一銀  △9三桂  
▲6五飛  △7四飛  
▲3四銀  △6四歩  
▲2三歩  △1二金  
▲3五飛  △3三歩  
▲5二銀成 △同 玉  
▲4三銀不成△同 銀  
▲同歩成  △同 玉  
▲4四銀  △同 玉  
▲4五飛  △5三玉  
▲4一飛成 △8四角  
▲4五桂(第5図)

 ▲6五飛は疑問符。これは、▲8六
飛が明快でしょう。△7二飛が縦に逃
げれば、飛車成。横に逃げれば7六歩
が取れますから。▲6五飛で神品さん
にチャンスが巡ってきました。



=第5譜=


(指し手 88~95)
      △6三玉  
▲6一竜  △7三玉  
▲7二金  △8三玉  
▲6三竜  △7三銀  
▲5三桂成(第6図)

 △6三玉で△6二玉だと▲4二竜△
7一玉▲5三桂成△6六角▲6三成桂
が一例でおそらく先手勝ち。△2六角
の王手の筋には気をつけなければいけ
ませんがこの変化は大丈夫でしょう。

 したがって、△6三玉は仕方ない感
じ。以下、お互い仕方ないを繰り返し、
▲5三桂成。次の△4一角を僕なりの
敗着としたいと思います。受けの手筋
としては△8一銀▲同金△7二銀があ
りますが、△8一銀の時に▲6二成桂
があるので無効。この局面は受けだけ
という手は指せないみたいです。ただ、
どこかで△9二玉は切り札として残し
ておきたい感じ、ただ、すぐに指すと
▲6一竜△6六角▲6三成桂で負け。

 考えた結果、第6図は△3四角で難
解と見ます。



=第6譜=


(指し手 96~133)
      △4一角
▲6一竜  △6六角  
▲6三成桂 △8八銀  
▲6八玉  △7七歩成 
▲5九玉  △8四銀  
▲9一竜  △7六飛  
▲7七銀  △同銀成  
▲4一竜  △6七銀  
▲同 金  △同成銀  
▲5六角  △6五銀  
▲6七角  △5七角成 
▲7六角  △同 銀  
▲5八銀  △7五馬  
▲4三竜  △3七角  
▲4八歩  △同角成  
▲同 竜  △同 馬  
▲同 玉  △4三飛  
▲4七角  △5六金  
▲8二金  △同 玉  
▲7二飛(投了図)  
まで、133手で早咲さんの
勝ち

 個人的な将棋観としては、第6図は
実戦的には先手勝ちやすいですが、後
手が将棋的には勝ちであって欲しい局
面と考えます。4枚の攻めは切れない
といわれる中、先手の攻め駒は3枚で
すから。

 △4一角に▲7三金△同角▲6二銀
は△7二銀で千日手仕方なしと見ます。
千日手打開の権利が先手にあるという
ことは、第6図は先手がいいのかな?

 難解といった△3四角に対し、▲5
六歩をはさむかどうかはわかりませが、
▲6七金型の受けには△9二玉(△3
四角の効果で▲6一竜がない)か△7
五飛か。はじめは、▲6七金型は△8
八銀で寄りかと思いましたが、(先に
角切りは角を渡すと後手玉は詰む)▲
同玉(ここは変化として▲6八玉もあ
るのでややこしい)△6七角成▲7三
金△同角▲7二銀△8四玉▲7四竜△
同玉▲6三銀打△8五玉▲6七銀で負
け。ということで、なんか手渡しと思
い、△9二玉か△7五飛だったのです
けど、△7五飛はないかもしれません。

 △7五飛は次に△7四銀打の狙いだっ
たのですが、その瞬間7三清算後▲6
二角△7二玉▲7三銀△8一玉▲7一
角成以下詰みです。しかし、途中、△
8三玉なら詰まないから工夫すれば…。
でも、△9二玉なら難解ですか。▲9
五歩△同歩▲同香△同角▲9四歩がど
れだけ厳しいかです。△8五桂は飛車
捕られてアウトなのでシカトでしょう
が。

 う~ん すいません。頭痛くなって
きました。中途半端ですがここらへん
で勘弁してください。(苦笑)

 さて、いよいよ最終決戦ですね。





 


 


◆関連リンク
「由太郎ノートNO.015-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:級位者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
「由太郎ノートNO.016-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:有段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
「由太郎ノートNO.017-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:高段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
「由太郎ノートNO.018-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:級位者編」 ▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)
「由太郎ノートNO.019-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:有段者編」 ▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)
「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.1(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)
「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.2(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)

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