ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

灘校 なぜ「日本一」であり続けるのか 橘木俊詔 光文社新書

2010-06-30 07:30:16 | 読んだ本
  灘校の卒業生であり、京都大学名誉教授である筆者、橘木俊詔(たちばなきとしあき)氏が、「日本一」の灘校を切り口にしてこの国の教育を考える一冊。こん なふうに紹介できるでしょうか。
  灘校(灘中、灘高を合わせてこういうらしい)では東大京大、その他医科大学への進学が多数派で、それらの仲間に入れない生徒は肩身が狭いらしい。1学年お よそ200名のうち、150人ほどが国公立大学へ進学するというとんでもない化けモンみたいな学校が世の中にあるんですね。それまでみんなに羨望のまなざ しで見られて鼻高々だったのに、入学してみるとそんなヤツばっかりだったということでしょう。天才とか英才とか呼ばれていたのに、いきなり「ふつう」の人になっ ちゃうわけですね。筆者もまた名だたる大学の名誉教授ながらも、灘卒業後に進学した大学は少数派で、コンプレックスだったと書いています。
  灘校の状況やエリート校であり続ける理由の説明にも興味深いものがあります。6年間同じ教員集団が持ち上がるというのも工夫なんだそうです。また、灘校の 卒業生の活躍にも十分触れてありますが、話題はそこにとどまらず、国内のほかの名門校、さらには世界のエリート校の様子にまで広がっています。世界のエ リート校を眺めると、必ずしも学力や進路といった切り口だけではない学校もあるのですね。例えばジェントルマンの育成とか。それからいうと、日本の学校は モノサシがひとつしかないように見えます。
  そして最後は、中・高一貫教育の将来を筆者は予想しています。灘校みたいな学校は私に はまったく縁のない世界だと思いますが、中・高一貫教育となれば場合によっては何かかかわりがあるかもしれません(自分の子どもは手遅れとしてもやがて は…)。筆者は学歴社会がその程度を弱めていくだろうということ、それから少子化によって受験競争が弱まるのではないかと見ていて、その結果、中・高一貫 校を含めて中等教育は変化するだろう、大学進学だけを売りにする学校は存在意義をやや失うかもしれないと書いています。つまるところ、将来持つ(ことがで きるかも知れない)、私の孫の時代にはそんなに厳しい受験戦争がないのだとしたら幸せなことではありましょうが、なかなか思惑通りにはいかないように素人 は思います。そして灘校は灘校として、やはり燦然と輝いているんじゃないですかね、橘木さん。

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2 コメント

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灘校 (ini)
2010-07-01 07:36:42
兵庫出身の私にはやはり開成とかより、灘高ですね。灘高すなわち東大に行く高校なんて感じで。
私の出た高校なんて10年にひとりぐらいは東大行くんでしょうか(笑)
でも中高あわせて「灘校」と呼ぶのははじめて知りました。
最近は昔ほどあまりエリート校とか話題にならなくなったような気がしますが、そうでもないのかな?
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iniIさまいつもありがとう (きすけぐみ)
2010-07-02 20:57:40
iniさま、いつもありがとうございます。

ぼくは田舎モノですから、こういう学校の存在を知ったのはオイルショックの後だったように思います。
よくはわかりませんが、受験熱っていうのは驚くべきモノがあるみたいですよ。しかし、いつも思うのですが、ロクに勉強もしなかった、できなかった私でも立派に?社会人、大人をやっているぞという気持ち。お利口さんばかりになるとどんな社会がくるんだろうって思いません?
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