ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

バカと無知 橘玲 新潮新書

2023-05-19 19:23:34 | 読んだ本

 なかなか過激な題名。これも知り合いが読んだというので買ってみた本です。そうでなければ、本屋でこの本を手に取ることはなかっただろうと思います。それくらい、題名に抵抗を感じる一冊です。しかもサブタイトルがついています。「人間、この不都合な生きもの」
 作家の橘玲さんが脳はどのようにものを考えるかを、素人にわかりやすく解説した一冊。そんなふうに説明すればよいでしょうか。
 何度も登場するのは、社会的な生きものである人間は、共同体のなかでうまく生きていけるよう脳が帳尻を合わせてきたということでしょうか。脳はナチュラルにものを思考するのではなく、長い人類の歴史の中で生き延びられるよう思考のパターンを作ってきたということ。人間の狡さも優しさも、生き延びる術としてプログラミングされてきたことなんですね。そんなふうにひとつひとつ解説をしてもらうと、なぁんだ悩むほどのことじゃなかったんだとちょっと安心したりして。
 芸能人が浮気をしたり不倫をしたりすると、名前を名乗らない人たちによって大バッシングが起こります。もちろん、浮気も不倫もよくないことなのでしょうが、人のことはほっといたりぃや、それによってあなた方は何か不利益を被ったか?と尋ねたくなることもしばしば。なぜバッシングになるかという脳のメカニズムを解説してもらって、私はすっきりしました。近年の脳科学によれば、自分より下位の者と比べる(下方比較)では報酬を感じる脳の部位が活性化し、上位の者と比べる(上方比較)では損失を感じる脳の部位が活性化することがわかってきたらしい。生きものはすべて快楽を求め、苦痛を避けるようにプログラムされているわけですから、下方比較に喜びを感じるというのですね。その下方比較に一番ラクにたどり着けるのが、芸能人のスキャンダルに言及することだというわけです。だってこちらは何も悪いことをしていない「正義」だから。俎上に上げられた芸能人たちを罵るのは快楽になる。だからテレビ番組でもネット上でも芸能人の話題があふれて、毎日バッシングというわけです。
 科学者が脳のメカニズムを確認するために行う実験の数々も紹介されていて、こうやって解き明かしていくのかと、勉強になりました。
 読み終えてから、タイトルと内容にズレを感じるなと思って、もくじに戻ってみると、全体が5つの章で出来上がっていて、「バカと無知」はそのうち2つ目の章のタイトルなのでした。
 面白い一冊でした。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トリツカレ男 いしいしんじ... | トップ | 青酎 麦 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ本」カテゴリの最新記事