27日の産経新聞に、「平成の大修理」が進む姫路城大天守で屋根瓦をふく作業が始まったという記事が載っていました。
姫路城には「天空の白鷺」と名付けられた見学施設があります。大天守の南側に仮設のビルを建て、修理の様子が見学できるというものです。私も9月に「天空の白鷺」に行きました。
友人が、「今しか見られないから」というので、姫路へ行ったついでに寄ってみました。雨の日だからか、原発事故による海外からの予約客のキャンセルによるものなのか、土曜日なのに予約がなくても全く待ち時間はありませんでした。
施設の解説や、お城や建築物についての解説をできる知識もありません。ただ、この「天空の白鷺」はよく考えられた仕組みだと感心しました。
- 入城料のほかに施設入館料も取れる仕組みであること。
平成の大修理は5年間続くそうです。姫路城は大天守だけなく、他にも見どころ、見学どころがあるとはいえ、我々のような一般人にとっては天守閣に登れない姫路城は魅力がありません。つまり、お城の管理元である姫路市はこの5年間、入城者減であるはず。それを「天空の白鷺」として入城者をキープし、ふだんの入城料(400円)のほかにまだ施設見学料を取れる仕組みを考えたわけです。しかも施設見学料は200円という、非常に財布を開きやすい設定。
- 限定に弱い真理をついていること。
普通なら、「修理中で入れないんだって」と見学を諦めるところを、「今しか見られないのだから」と思わせる巧みなテクニック。大天守を外から間近に見るなんてことは一般人にはできませんからね。難なくできるのは工事業者さんか、「名探偵コナン」に登場する怪盗キッドくらいでしょうか。
- 通常のスタッフと服装も変え、イベント的なワクワク感を演出していること。
姫路市のサイトによると、「天空の白鷺」は、プロポーザルによって乃村工芸社が手掛けているそうです。なるほどと思いました。ふだんの姫路城のスタッフは割とご高齢の方が多いです。靴を脱がなければならない場所では、一人ひとりにビニール袋を渡してくれるとか…。いわば静のイメージ。「天空の白鷺」では若いスタッフたちが揃いの紺のTシャツを着て(まだ夏でしたから)、みんな無線機を持っていてと、いわば動のイメージ。ふだんの姫路城ではないワクワクを期待させます。
- エレベータは北側がガラス張りで、石垣部分から最上層までを間近に眺められる作りになっていること。
エレベータが昇るにつれ、ワクワク感を高揚させていく仕組みになっています。
- スカイホールには、南側と西側がガラス張りで、街を見下ろせること。
仮設とは思えない内装の安心感と、高いところから姫路の街並みを見下ろせる解放感が演出されています。
乃村工芸社、さすがによく考えやがったなという印象です。ただし、「今しか見られない」大天守の工事中の風景を見たからどうなんだと冷静に考えると、特に私のようなお城にも建築にも知識や教養もない者にとっては、何を見て、何を感心したらいいのかがわかりません。
そしてもうひとつ。その見学施設を出たあと、大天守内部(低層階)を見るコース設定になっているのですが、これがほとんど意味ありませんでした。通常、お城の見学に入ると、天守閣の低層には、武具などがガラスケースに収められていたり、説明書きがあって、勉強になる気がするものですが、今は工事中。みんな撤去されて、長い廊下と階段をぐるぐるさせられるだけでした。
1月にはスカイホールから見える位置で瓦ふきがされるそうですから、また見学者がふえるでしょうね。
神戸新聞Webに、同じような記事がありました。
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