今、色いろな事が分かるとロシア軍が甚大な損失を出してまでアウデイーウカ攻略作戦を実行した理由が理解できます。
ドネツク州制圧のためです。
アウデイーウカがウクライナにとってドネツク防衛の要であったことが分かります。
これはポクロウシクPokrovskがロシア軍の砲撃範囲に入り、南ドネツクの物流(兵站)が失われると、納得できます。
「素人は戦術を考え、玄人は兵站を考える」
兵站(補給)の重要性を説明する言葉です。
兵站(補給)を失った軍隊は、必ず負けます。
古今東西変わることのない戦場の掟です。
こう考えるとロシア軍は常に兵站(補給)を考えて攻撃計画を立案していることが分かります。
ウクライナ軍は、その反対で兵站(補給)をほとんど考えません。
ウクライナ軍が今、敗勢に近い劣勢に陥っているのは、この差が大きな原因であろうと思います。何故ならほとんどの戦場でウクライナ軍は、兵站(補給)を失い敗北しているからです。
その意味で評価の高い前最高司令官のザルジニーも同じです。兵站(補給)を理解しない無能な将軍です。
ロシア軍が、アウデイーウカ攻略作戦を開始したのは2023年3月頃です。
どうやったか❓
アウデイーウカ市街の北の郊外は、かなり東までウクライナ軍が支配していました。
今はロシア軍が制圧したニューヨルクNiu-Yorkの南を、ロシア軍は西に向かって削り始めました。
この段階で気が付けばウクライナ軍は防衛部隊を増やして塹壕や陣地を建設して防衛ラインを築けばロシア軍の進撃を阻止できたはずです。
これは、ザルジニー時代のことです。
その頃は、ロシア軍がバフムトを猛攻しておりウクライナ軍が防衛に必死の時期でした。
その後はウクライナ軍は、ザポリージャ戦線に全力投球してアウデイーウカ防衛を軽視し続けました。
ウクライナ軍がアウデイーウカ防衛に本腰を入れたのは、なんとロシア軍がアウデイーウカ北の郊外を大きく西に進撃してアウデイーウカが包囲される気配が出てからです。9月過ぎですね。
つまり約半年ウクライナ軍は、アウデイーウカ防衛のために何もしませんでした。そのころは、既に遅かったと言えます。
ここでポクロウシクPokrovskの話をします。
ウクライナ軍の物流(兵站)は、西のドニプロ市から鉄道を使ってポクロウシクPokrovskに運ばれます。
北はポクロウシクPokrovskからクラマトルスクКраматорськに運ばれます。
南は、ポクロウシクPokrovskからクラホヴェKurakhoveに運ばれます。
中央は❓
ポクロウシクPokrovskからアウデイーイウカに運ばれます。
これは全部、鉄道を利用して運ばれます。
ロシア軍がアウデイーイウカの北の郊外を西に進撃したのは何故か❓
分かりましたね。鉄道路線を遮断するためです。
鉄道路線が砲撃範囲に入るまでロシア軍が進出した後は、アウデイーイウカへの補給は、脇道を使ったトラック輸送しか出来なくなりました。当然、補給量は激減します。
アウデイーイウカが陥落した理由は、兵力不足もありましたが、補給量の激減が大きな理由です。
これを、ほぼ無視したゼルジニー以下ウクライナ参謀本部は、兵站(補給)を理解しない事になります。
これはバフムトでも、考えてみると同じです。
ポクロウシクPokrovskを見ると、更にはっきりしています。
ポクロウシクPokrovskがロシア軍の砲撃範囲に入るだけでポクロウシクPokrovskの物流拠点としての機能は無くなります。
そうであるなら何が何でもロシア軍が砲撃可能な位置ま
で進出するのを防がなくては、なりません。
その時、ウクライナ参謀本部は何をやったか❓
クルスク侵攻作戦のために精鋭部隊をかなり引き抜き、兵力不足を悪化させました。
バカでしょう❓
シルスキー以下ウクライナ参謀本部はバカ者の集まりとしか言いようがありません。兵站(補給)を理解しないウクライナ軍の重症な病気と言えます。
こんな調子では、どんな戦争にも勝てるはずがありません。ほぼ軍事の素人が集まってシルスキー以下ウクライナ参謀本部を形成しています。ウクライナ軍には現場の指揮官はいても、参謀本部に必要な将軍や参謀がいません。参謀の方は、ペーパー参謀ばかりでそうです。
※理由は旧ソ連式の戦術や部隊運営を嫌ってベテランの年配の将軍や参謀を排除して、若手ばかり登用したからです。
ポクロウシクPokrovskがロシア軍の砲撃範囲に入ると南ドネツクの物流拠点のクラホヴェKurakhoveへ運ぶ鉄道路線が事実上使えなくなります。
鉄道で運んでいたのをトラック輸送に切り替えるしかありません。そんなに大量のトラックを急に準備できますか❓
南ドネツクへの輸送量は激減します。
こうして南ドネツクの東半分くらいの地域で極端な物資不足が発生しました。
補給のない軍隊は戦えません。
南ドネツクの東半分くらいの地域でウクライナ軍が、余り戦わず撤退するケースが増えているのは、これが理由です。
※ご参考
ポクロウシクPokrovsk~クラホヴェKurakhoveへの鉄道輸送を失うとウクライナ軍の補給経路は、どうなるか❓
ドニプロペトロウシク州ドニプロ市~Slov'yanka鉄道
この先は、トラック輸送
Slov'yanka~ルートT-0428~ドニプロペトロウシクNovopavlivka~ドネツクAndriivka
Andriivka~ルートT-0515~Kostyantynopil'~ルートN15~クラホヴェKurakhove
ポクロウシクPokrovsk~クラホヴェKurakhoveへの鉄道輸送で簡単に運べたのが、このように幹線道路を乗り換えながらクラホヴェKurakhoveまで運ばなければなりません。結構、距離もあります。
おそらく時間がかかる上に輸送量は鉄道輸送の20%~30%程度だと思います。
更にオマケがあり、クラホヴェKurakhoveから先は幹線道路はなく、脇道のような貧弱な道を、ウネウネと運びます。
このような運送事情があり、もうドネツク南部の東半分くらいは補給が事実上激減しています。
だからウクライナ軍は、少なくともドネツク南部では西の補給の届く地域まで撤退するしか方法がなくなりました。
このような事態を招いたのは、アウデイーイウカからポクロウシクPokrovskへのロシア軍の進撃を阻止しなかったことが原因です。
誰と誰が、そうしましたか❓
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27