(1)今となっては、全く無視されている戦場があります。
ハルキウ州北部にロシアが電撃侵攻を行いました。
ロシア軍がハルキウ州北部を攻撃(とのウクライナ側の発表)<ウクライナ紛争2024.05.11
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/b6114b0b3d18ccf111cf1de839b53ab0
これはウクライナ軍の不手際でロシア軍がベルゴロド州に3万5千人程度(ウクライナ側発表)集結しているのは事前に確認されていました。
突然、ロシア軍が越境攻撃を開始して短期間にかなりのウクライナ領が占領されました。ウクライナの国境守備部隊は、簡単に蹴散らかされました。
ロシア側の主張はベルゴロド州への攻撃を防ぐために緩衝地帯を設けるという理由です。予め占領するエリアも軍事ブロガーを通じて示されていました。
そしてこの時、既に建設されているはずのウクライナ軍の防衛ラインが、手抜きによりほとんど建設されていないことも判明しました。ゼレンスキーの肝いりで建設が命令された防衛ラインです。ウクライナの腐敗と汚職の構造が、防衛ラインの建設と言う戦争の大事ですら行われていたことを証明しました。防衛ライン建設の手抜きは、ここだけでなく他でも常習的に行われています。
このような事があり、ウクライナ国内ではキエフ政府と軍に対する大きな批判が起きました。
ゼレンスキーの支持率が低下し、領土割譲付きの停戦論が主張されました。
汚名を挽回するべくウクライナ軍は、予備部隊をかき集めてハルキウ北部に送り込みました。同時にゼレンスキーはロシア軍を国境の外に叩き出すことを宣言しました。
ゼレンスキーは宣言したり宣伝することは得意です。
テレビの映像を使い、まるで本当のように言います。
1か月ぐらいウクライナ軍はロシア軍を追い出すために(無謀な)突撃を繰り返しました。
しかしロシア軍が既に準備していた防衛ラインが存在し(ロシア軍は塹壕や陣地を作るのが異常に速いです)この防衛ラインにウクライナ軍は跳ね返されました。
この時期、ロシア国防省発表のウクライナ軍の死傷者数がそれまでの1日500人~1000人程度だったのが、2000人程度に跳ね上がりました。その差の分だけウクライナ軍は無謀な突撃により損害を出していた可能性を示唆する数字です。
どうやってもロシア軍を叩き出せそうもないことが1か月すると分かってきました。ゼレンスキーの宣言は実行できそうもありません。
これは、今も同じで当時の前線がそのまま動いていません。つまりロシア軍が占領した地域もそのままです。
(2)このように見てくるとクルスク侵攻作戦が計画され実行した背景が分かります。
ロシア軍にハルキウ北部の侵攻を許し占領された領土を回復できる見込みがなければ、キエフ政府と軍に対する批判はさらに高まるでしょう。ゼレンスキーの支持率は更に低下し停戦論が高まると思われます。
ゼレンスキー政権自体がジリ貧です。
これを一気に吹き飛ばす起死回生の方法はないか❓
あるでしょう❓
ゼレンスキー政権維持のためなら、何でもOK!な訳です。
ウクライナ紛争は、それを目的として引き起こされた部分が強いです。2021年10月26日、何が起きたか❓
それと同じことです。
ゼレンスキー政権維持のためなら、東部戦線を犠牲にしようと構わないわけです。
だから予備部隊のほとんどと東部戦線から精強部隊が沢山引き抜かれました。機甲部隊も多く含まれています。
こうして現在の戦力を考えるならウクライナ軍最強のクルスク侵攻作戦用の部隊が編成されたと言うわけです。
ロシア軍がほとんどいない、クルスク州の片田舎をウクライナ軍の最強機甲部隊が攻めるわけですから、クルスク侵攻作戦が最初は成功するのは、当然です。
こうしてウクライナ軍の大戦果が作られ、様々あったゼレンスキー政権の問題は、一時的には一気に解消されました。
ゼレンスキー政権や軍に対する批判は称賛に変わり、国民の戦意は高揚しました。
停戦論など、どこかに吹き飛びました。
以上が、クルスク侵攻作戦の本当の目的だろうと思います。
(3)この作戦の特徴は全体との整合性は最初から無視しています。目的がゼレンスキー政権の維持にあるからです。
後のことは、その場その場で胡麻化そうというわけです。
(4)結論、どうなるか❓
大戦のリスクが高まるウクライナ紛争<2024.05.10
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/a48d382fe071569fe5a02bac6e9180dc
とうとう出てきたウクライナの究極のおねだり(NATO派兵要請)<ウクライナ紛争2024.05.10
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/8a732539100bf0874d1216035390c403
ウクライナ単独では、ロシア軍に勝利するのは不可能です。あとは、NATOの参戦を頼むしかありません。頼んでも、さすがにこれはすんなりとは聞き入れられません。
だからゼレンスキーは、あの手この手を使ってNATOを戦争に引きずり込もうとしています。
西側の兵器をどっさり使ってクルスク侵攻作戦を行ったのも、ハイマースのミサイルでロシア領をガンガン攻撃するのも、ロシアがブチ切れてポーランド辺りにミサイルを撃ち込むのを期待してのものです。
それでもロシアがやらないから、今度は西側の長距離ミサイルをロシア領攻撃に使う許可を求めています。
これが、ロシアのレッドラインだと知っているからです。
アメリカが西側の長距離ミサイルでのロシア領攻撃を認めれば、ウクライナの希望通りロシアはポーランドを攻撃するでしょうね。
<ロシアは、それを事前に警告しています。>
西側兵器使用、ウクライナに許可すれば核戦争に=プーチン氏側近
By ロイター編集
2024年9月20日午前 5:01 GMT+95日前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/VRVOIVMXUJL2ZK5E5OV3AKVUXI-2024-09-19/
ロシア国連大使、NATOに「直接戦争」警告 長距離攻撃容認なら
By ロイター編集
2024年9月14日午前 1:14 GMT+911日前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/7LX2S6UMAVIJ7IZKZDM5YB5WQI-2024-09-13/
単なるコメントや談話ではありません。
ロシア国連大使が国連で発言していますから公式な事前警告と言えます。
つまり❓
アメリカが西側の長距離ミサイルでのロシア領攻撃を認めれば、確実にロシアとNATOの紛争に拡大すると言うことです。
<一方で、ロシアはアメリカに「飴」も用意しています。>
ロシア、米国が控える限り核実験実施せず=リャプコフ外務次官
By ロイター編集
2024年9月24日午前 2:45 GMT+91日前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/KAMFEM3TBZKTDNT7CLY6OOBOMA-2024-09-23/
アメリカが、ここで折り合うならロシアも他の部分でアメリカの顔を立てると言っています。
アメリカもゼレンスキーの世迷いごとの相手をするのは、いい加減にやめるべきでしょうね❓
戦争に負けたら停戦交渉して和平を目指す義務が負けた方にあります。
それが嫌なら最初から戦争をするべきではありません。
ロシアとの戦争を招き寄せたのは、ゼレンスキー自身です。初期に停戦合意も出来かけました。それを反故にして戦争を選択したのもゼレンスキー自身です。責任を取るべきですね❓
あるいは取らせるべきです。役目に失敗した傀儡は、もう必要ないはずです。
(5)ゼレンスキーのような見せかけの和平主張でなく、真剣に停戦と和平を仲介しようという国も少数あります。
ブラジル大統領、中国とのウクライナ紛争終結へ計画提案 国連で
By ロイター編集
2024年9月25日午前 1:36 GMT+94時間前更新
https://jp.reuters.com/world/us/UZO5IVRBWVKRNBIS3CKLKCHQ6A-2024-09-24/
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27