航空万能論 2025.01.21
『ヴェリカノボシルカを巡る戦い、ロシア軍が市内に侵入して足場を築く』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-for-velika-novosilka-russian-troops-enter-the-city-and-gain-a-foothold/
記事は、ヴェリカ・ノボルシカを中心に取り上げていますが日記ではクピャンスク方面を取り上げます。
最近の傾向としてロシア軍が活発に活動するエリアが増えました。
①クピャンスク方面
②スバトボСватове方面(クピャンスク南東方向)
③リマンЛиман~クレミンナ方面(スバトボ南西方面)
クピャンスク~リマンに至るエリアです。各方面ともこれまで活動はしていますが、どちらかと言うと控えめでした。
それが、最近は活発化していてクピャンスクでは、これまでとは違いオスキル川北方面でウクライナが支配する西岸に渡る動きが出てきました。②と③は、今回は省略。
大体、活動しているのはクピャンスク市街からオスキル川沿いに北に約10kmほど行ったドヴォリチナ(Dvorichna)付近です。
2か所で渡河して、そのうち北側の方はウクライナ軍が追い返すことに成功しました。
ところが、南側の方はロシア軍が足場を築くことに成功してドヴォリチナ(Dvorichna)市街を攻撃中です。
それが、航空万能論の記事の略図です。
TASS通信の記事を見ていたら、22日のロシア国防省の発表が報道されていました。
ロシア国防省の発表によると、ドヴォリチナ(Dvorichna)から南西方向に下ったところにあるザパドネ(Zapadne)を制圧したと言うことでした。約オスキル川から約3kmほど入り込んでおり、ドヴォリチナ(Dvorichna)と合わせると面的に広く制圧しており、ロシア軍のオスキル川渡河作戦は成功したと評価できます。
こうなってしまうとクピャンスクのオスキル川西側の市街地は、これまでとは違う北側から攻められることになります。
東と北の二方向から攻められることになりますから、ウクライナ軍は苦しくなります。
ここまでは、現在の戦況です。
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記事タイトル
Russian army’s foothold on Oskol River’s right bank growing, expert says
1月22日 20:53
(日本語訳)専門家によると、ロシア軍のオスコル川右岸での拠点が拡大している
この記事にロシア軍のザパドネ(Zapadne)制圧が出てきます。ロシア国防省の発表ですから、多分事実でしょう。
実は、他にも重要な情報がさりげなく書いてあります。
「ソロヴィヨフ・ライブTV局」
2022年からウクライナ紛争を見ていた人は、ソロヴィヨフ氏の名前を知っているかもしれません。ロシア:イケイケ番組の有名な司会者です。ロシアの人気番組の司会者と言ったところです。
ロシア軍が調子が悪かった秋頃は、西側がこの番組を取り上げて笑いものにしていました。「ソロヴィヨフが、何を言った」とか「ソロヴィヨフが、どうした・・」とか結構、話題を提供してくれました。趣味人日記の2022年秋の記事を探すと、ソロヴィヨフ氏の話が出てきます。
それは、いいのですが軍事専門家、ヴィタリー・キセリョフ大佐の話が出てきます。
『「オスコル川右岸では、我々は北西方向に進軍し、足場を強化している。・・・・・・例えば我々がオスコル川に近づくことすらできなかった3、4か月、半年前とは似ても似つかない。今日、我々はオスコル川を突破した」と彼は語った。』
最近、ウクライナ軍はこれまでロシア軍の突破を阻止してきたエリアで守り切れずロシア軍の進出を許すケースが出てき始めました。それはロシア軍にしても同じ印象を持っていることが、記事から分かります。複数方面でほぼ同時期に起きていますから、おそらく1~2か月前頃からウクライナ軍の弱体化が進んでいることが、ロシア側の記事からも見て取れます。
これが、最近ウクライナ軍があちこちでロシア軍の進出を防ぎきれない理由の一つであろうと思います。
もう一つ推測できるのは、ウクライナ軍は大量に中・大型のドローンを投入してロシア領の越境攻撃を激化させています。ウクライナのドローン製造能力が、それほど拡大したとは思えません。生産できる量が同じだとすれば、中・大型のドローンの製造を大幅に増やした分、前線の兵士が死ぬほど必要な小型ドローンの製造を減らしているであろうと考えられます。全部の部隊ではないですが、ウクライナでは政治力のない部隊は武器や装備を十分に獲得できない構造があります。部隊によっては、ドローン不足が深刻化しているのかもしれません。特に偵察ドローンです。拠点から遠く離れたドローンでしか監視できないようなエリアでロシア軍の突破が目に付くのが、その根拠です。
兵士不足、ドローン不足などが相まってウクライナ軍の弱体化が一部の部隊で進んでいることが伺えます。つまり、2025年は去年以上にロシア軍とウクライナ軍のトータルの意味での戦力格差が拡大していくことが予想されます。
この差は、沢山の事柄の積み重なりと、ウクライナ政府とウクライナ軍の組織上の構造的な欠陥が原因です。おそらくこの欠陥を改善するのは、無理だと思います。何かをどうしたから、この戦力差が埋まる・という性質のものではありません。
あるいは、シカゴ大の教授の指摘する通りウクライナ軍の継戦能力は去年の12月から数えて6~7か月程度なのかもしれません。やはり今の差を見ると、それが根拠のない推測では、ないように思います。
『ウクライナの継戦能力について(シカゴ大ジョン・ミアンシャイマー教授)<ウクライナ紛争2025・01・08』
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/f7f1c10bf204015297f9f06378b3f7a1
※関連日記目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑧
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27