「北の山・じろう」日記

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最近ロシア軍が多用しているランセット(実はScalpel)⇒攻撃型ドローン<ウクライナ紛争2024.05.11

2024-05-11 22:13:37 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

最近、航空万能論のコメント欄を見ていると「ランセット」の名称がよく出てきます。
「ランセット攻撃」などとも言います。
ランセット(Lancet)は以前からあるロシアの攻撃型ドローンです。ただし価格が約450万円で高くはありませんが、攻撃型ドローンの価格としては安いとも言えません。
そこで❓

2024.03.5
圧倒的に安価なLancetの類似品、ロシアは2024年末までに数千機を生産
https://grandfleet.info/russia-related/by-far-the-cheapest-lancet-analog-russia-will-produce-thousands-of-units-by-the-end-of-2024/
2023.03.5
ロシア軍の徘徊型弾薬が戦場で効果を証明、攻撃ヘリの代替手段として活用
https://grandfleet.info/russia-related/russian-loitering-ammunition-proves-battlefield-effectiveness-can-be-used-as-attack-helicopter-alternative/

ランセット(Lancet)の型落ち品の「Scalpel」をロシアのメーカーが開発したのが3月の始めです。
性能と価格は❓
「弾頭を除く調達コストは30万ルーブル=約3,200ドル」
スペック(最大重量10.5kg/弾頭重量5kg/巡航速度120km/航続距離40km)
「Scalpelの制御システムは扱いやすく急降下で狙いを定めるの容易だ」
「量産タイプのScalpelには10倍~30倍のズーム機能を備えたカメラが搭載」

と言うことで約45万円とLancetの10分の1の低価格を実現しました。性能は高級機のLancetに劣るものの使い捨ての攻撃ドローンとしては、十分な性能があります。
3月の時点で量産が始まっていますから、この「Scalpel」が大量にロシア軍の前線に供給され、ランセット攻撃と呼ばれるほど威力を発揮しています。
実際には「Scalpel」攻撃と呼ぶべきです。

アウデイーイウカ戦線のベルデイチBerdychiを守っていたウクライナ軍の第47機械化旅団は、防衛のために虎の子のM1エイブラムス戦車を投入しましたが2月後半からこれまでに確認されているだけで7両破壊されています。
この攻撃に使われているのが「Scalpel」です。

もちろん「Scalpel」の破壊力では戦車を完全に破壊することは出来ません。「Scalpel」が攻撃して戦車を動けなくして砲兵部隊が砲撃して留目を刺します。

M1エイブラムス戦車に効果があると言うことは、他の兵器全部に効果があります。

ここにきてウクライナ軍が劣勢になっているのには、二つ理由があると思います。
一つは、滑空爆弾です。
これが大きな陣地のような動かない目標を破壊します。

戦車や歩兵戦闘車、各種大砲やミサイルのランチャー(発射装置)を、「Scalpel」が破壊します。
これにより兵力で劣勢のウクライナ軍は火力においても弱体化します。
こうしておいてロシア軍歩兵が攻撃します。

これまでは兵力に劣るものの火力で優勢のウクライナ軍が、何とかロシア軍と互角に戦う構図でした。
その火力におけるウクライナ軍の優位性が失われた部隊はロシア軍に対抗できず後退を強いられています。

陣地や要塞ではなく広い屋外で遭遇戦になるとロシア軍が圧倒的に優勢なのは、「Scalpel」による攻撃によるところが大きいと思います。

※航続距離が40kmですから、前線から40km以内にいるウクライナ軍の兵器は全部、攻撃対象になります。
つまり❓
ウクライナの戦場で最も効果的な155ミリ榴弾砲が前線から遠ざけられます=前線のウクライナ歩兵部隊が砲兵部隊の火力支援を受けられない・このような状況が起こります。砲兵部隊の火力支援を受けられるロシア軍は優勢になる・と言う構図です。

3月から量産を始めて、今ロシア軍に圧倒的な優勢をもたらしているのですから「Scalpel」の威力は抜群だと評価できます。

愚かで間抜けで無能力なロシアは、様々な兵器を開発して前線に送り込んでいます。

ウクライナの方も同じことをしてロシア軍に損害を与えていますが、ロシア軍がウクライナ軍に与える損害の方が大きいようです。

こんなことを見ても2022年の戦闘と2024年の戦闘は、全然違います。
より安く効果的な兵器(主にドローン)を開発して前線により多く供給できる側が勝利すると思います。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次④
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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