「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

アウデイーイウカ市街攻防戦の背景と結果、その後の郊外の戦闘<ウクライナ紛争2024.2.19

2024-02-19 19:59:29 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

(1)アウデイーイウカ市街攻防戦の背景と結果
2024.02.17
タルナフスキー准将、アウディーイウカ撤退時に多数のウクライナ軍兵士が捕虜になった
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/brigadier-general-tarnavsky-a-large-number-of-ukrainian-soldiers-were-taken-prisoner-during-the-evacuation-of-audiiivka/

他に言いようがないからウクライナ軍参謀本部は、「撤退」と言いました。
意味は、撤退できる部隊は撤退し撤退できない部隊は降伏するという意味です。
16日の段階で撤退は、かなり困難な状況であったと思います。
現実的に言うなら市街北部をロシア軍が突破し市街西の郊外まで突き抜けた時点で実質的な市街の包囲が完成しています。

ウクライナ軍参謀本部の計画は・・・・
急遽送り込んだ「第3独立強襲旅団」が、北西のコークス工場と市街北部の交通路を確保しているうちに撤退作戦を行う予定であったと思います。
しかしコークス工場の「第3独立強襲旅団」が対戦したのはロシア軍の旅団7個でした。自分の身を守るのが精一杯で市街北部の防衛までは、とても無理でした。
コークス工場とは別に市街北部を防衛していたウクライナ軍の5倍以上のロシア軍が一気に市街北部を攻撃したと思います。合計でコークス工場と市街北部の攻撃に投入されたロシア軍は、12個旅団以上の大部隊だと思われます。
だから守るのは不可能であったと思います。

17日に全てが終わり(逃げ遅れの部隊には降伏命令が出て)ました。大混乱の中ですから命令が伝わった部隊と伝わらなかった部隊があると思います。
余りにもロシア軍の突破と包囲が急激であったために「アレヨ!」と言う間の出来事でした。

市街の防衛を止めたのですから「航空万能論GF」の戦況略図のようになります。
アウデイーイウカ市街攻防戦の結果は、ウクライナ軍の全面撤退で終わりました。
戦況を考えるならどうにもなりません。

ロシア軍は、包囲作戦のタイミングを計っていたようです。上手くタイミングを捕えて一気に決着を付けました。
ロシア軍は、ウクライナの政争を見ていたと思います。最高司令官の更迭必至の政情を確認してから攻撃を開始しました。
https://jp.reuters.com/world/ukraine/DWNY6MX32FPXPACQLVKTVYXVXU-2024-02-08/
更迭が8日です。5日ごろからゼレンスキー氏が更迭を言い始めます。
そのタイミングに合わせて一気に市街北部の攻勢を強めました。ウクライナ軍の参謀本部が動けないのを見切って攻撃した訳です。
かなりの大兵力を一気に投入していますから1月の初めごろから攻撃用の部隊を編成してタイミングを待っていたのだろうと思います。
完全にロシア軍の作戦勝ちを言えます。
不意を突かれる形になったウクライナ側には、成す術はありませんでした。

今更良い悪いを言っても仕方がありません。
もう終わったことです。


(2)郊外での戦い
きれいに市街は全部放棄しました。
戦況略図「航空万能論GF」
https://grandfleet.info/wp-content/uploads/2024/02/Avdiivka_Front_2024_0217_03.webp

想定される第1次防衛ラインは、幹線道路O-0542沿いの防衛拠点で防衛することです。
北から順番に
ノボバフムテイフカNovobakhmutivka
ベルデイチBerdychi
セメニフカSemenivka
オルフリカ:Orlivka
ラストシュキネ:Lastochkyne
トネネキー:Tonen'ke
シエベルネ:Sjeverne
このような軍事拠点が南北に連なっています。
取り敢えずは、「ラストシュキネ:Lastochkyne」が次の攻防の中心になると思います。市街からO-0542を通って一番近い軍事拠点だからです。

この付近を突破されると第2次防衛ラインとして想定されるのは・・・
オケレタインOcheretyne
ノボバフムテイフカNovobakhmutivka
ソロヴィオーヴェSoloviove
ノボボクロフキーNovopokrovs'ke
ボセレフカ・ペルシャNovoselivka Persha
ウマンスキーUmans'ke
ネタラブNetailove

これも名称が不明ですが南北に通っている道路沿いの軍事拠点です。

アウデイーイウカ市街をロシア軍が制圧したと言っても郊外西には、ウクライナ軍の防衛拠点があり簡単に西に進撃できるわけでは、ありません。
どちらかと言うとロシア軍にとっては、政治的な意味合いの方が強かったと思います。
ドネツク市に近くなければ、大きな犠牲を払ってまで無理攻めはしなかったと思います。
ロシアの大統領選挙に向けての景気付けですね・・

ウクライナ軍にしても守れば犠牲の出るだけのアウデイーイウカ市街は放棄してしまった方が、今後の防衛計画は立てやすいと思います。といってウクライナ軍が進んで放棄するわけにも行かない土地です。
むしろ今後ウクライナ軍にとって問題になるのは・・・
アウデイーイウカ市街から北に延びている幹線道路の「H-20」です。その先に軍事拠点のコンスタンチノフカ:Костянтинівкаが、あります。
「H-20」を北上するであろうロシア軍を、どうやって迎え撃つのかの方が大事な事です。
地図を見れば分かり切ったことです。

今後のロシア軍の目標は、ドネツク州北部の・・・
バフムト西のチャシブ・ヤールChasiv Yar
その西のコンスタンチノフカКостянтинівка
そこから北にあるスラビャンスクСлов'янськとクラマトルスクКраматорськです。特にクラマトルスクКраматорськは大補給拠点です。
ここら辺を制圧されるとハルキウ州が危うくなります。

はっきり言ってアウデイーイウカ市街攻防戦は枝葉の戦いであり大勢に影響は、ほとんどありません。

大きく戦況に影響するのは、今後予想されるドネツク州北部の戦いであり、ハルキウ州クピャンスクКуп'янськでの戦いです。

だから、はっきり言ってアウデイーイウカ市街の防衛に拘り過ぎた、ゼレンスキー氏とザルジニー参謀本部は愚かだと思います。
兵員と軍事資源の浪費と言うしかありません。
兵員と軍事資源の浪費は極力慎み、大決戦の予想される戦場に備えるべきは、戦術の基本です。
基本を忘れて枝葉の戦いばかりしているから、ウクライナ軍は負け続けています。

シルスキー新総司令官は、ゼレンスキー氏を諫めて正しい作戦計画を指導できるかどうか❓
ウクライナ軍の今後の命運は、ここにかかっていると思います。この司令官で無理なら、ダメでしょうね❓

 

※私だけがこう言っているのではありません。

現地メディアによるアウディーイウカ戦の総括、教訓が何も生かされていない

https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/local-media-recap-of-the-audi-iuka-match-with-no-lessons-learned/




※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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