2023年3月15日 14:06
シリコンバレー銀行(SVB)の経営破たんは、普通に倒産させれば新興企業の資金繰りが行き詰まり連鎖倒産と信用不安が拡大する恐れが大きかったので、預金全額保護と言う法律違反の預金者救済処置がとられました。
しかし、これは明らかな「モラルハザード」であり、やってしまった以上、他の銀行が倒産しても預金者の預金全額を保護しなければならないことになります。
しかも、シリコンバレー銀行の親会社は、保有株を大量に売却していました。インサイダー取引である疑いがあります。従業員の話を聞くと、計画倒産の可能性すらあります。
これと同じではなくても、似たようなことが出来ると言うことです。
更に問題もあり、「主に小規模から中規模の銀行」に同じリスクがある可能性を指摘する識者がいます。
「預金者が少なく、有価証券の含み損を多く抱え、資産を時価で売却すれば資本金が吹き飛んでしまうような地方銀行」
シリコンバレー銀行と同じ実質債務超過の銀行は、あるかもしれません。その原因は、急激すぎたFRBの金利引き上げです。それまで銀行が保有していた有価証券の時価が下落し、預金者には預金金利を引き上げなければならない。貸付債権の金利は、急には引き上げられません。だから、低い金利の貸付債権の価値も下がります。
特に収益力の低い中小銀行は、もろに逆ザヤ状態に陥ります。そのような銀行が表面化すれば、取り付け騒ぎが起きるだろうと言う指摘です。
大手銀行は、資本金の積み立ても厚く収益源は多彩です。
資産運用にしても、利上げを想定して資産の組み換えをしているでしょう。だから大手銀行には不安はありません。
中小銀行に内在するかもしれないリスクを、シリコンバレー銀行の倒産は、明らかにしました。
モラルハザードの問題は、仮に高金利を売り物にしてそこそこの預金を集めます。運用に失敗して倒産しました。しかし、実際はその預金の多くがどこかに消えていました。残っているのは預金債権だけです。それもアメリカ政府が全額保証しなければならない事になります。今後、こんなのが出てくるかもしれません。
また、別の国でも似たような問題を抱えた銀行があります。
「ヨーロッパに少なくとも1つ、歴史的に資本不足の問題を抱えてきた金融機関がある。この金融機関は、これまでに何度か資本注入を受け、不良債権を抱えている可能性や、証券の含み損を抱えている可能性がある」
「もしもこの金融機関に何か問題が生じれば、もっとシステム的に重要な問題になるだろう。その資産規模はシリコンバレー銀行の4000億ドル程度とは異なり、何兆ドルにものぼるからだ」
これどの銀行だか分かりますか?
銀行倒産の引き金を引きたくありませんから、書きません。話としては、有名な話です。
経営再建中のスイスのクレディ・スイス銀行も株価が暴落しました。
実は、ヨーロッパにも問題を抱えた危ない銀行は結構、あるかもしれないのが大きなリスクです。
金融緩和を続けじゃぶじゃぶ各国政府が、資金を出し続けて来ました。その仕上げが、コロナ対策で盛大にばらまいたコロナ支援対策です。
それをいいことに、放漫経営をしてきた金融機関がないとは、言えないでしょう。金利が安いのですから、大抵何をやっても儲かります。薄利でも分量を多くすれば、利益が得られます。ところが、金利が急激に引き上げられれば、薄利など吹き飛んでしまします。
これが、今回露見したリスクの本質です。
シリコンバレー銀行と似たような事をやっている銀行は、他にもあると考えるのが普通でしょう。氷山の一角であり、これが全部ではないと言うことです。
モラルハザードの意味は、その預金を倒産するたびに全額保証していたら、天文学的な金額になります。そんなの出来っこないでしょう。今回のアメリカ政府の預金保護は、麻薬と同じなのです。そもそも法律違反ですから。
これを敢えて日記の方に書いたのは、問題の根が非常に深いからです。それを、どうするのかは各国政府のすることです。
そこから得られる教訓は?(昨日、書いた通りです)
銀行を、十分吟味して選ぶ
預金は、複数の銀行に分散する
銀行に関する噂話を信用せず、自分で調べる
などです。
今回、大問題に発展した理由は新興企業の経営者たちが、それを全部、守らなかったからです。正反対のことをしていました。シリコンバレー銀行は全米16位の大した銀行ではありません。倒産が大問題になったのは、世界中の新興企業経営者が現金をこの銀行に集中預金していたからです。そうしていなければ、単なる中堅銀行の倒産に過ぎなかったと思います。
金融危機を予測したルービニ教授が世界規模の危機を警告
2023年3月14日(火)17時59分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/03/post-101100.php