北都留森林組合blog

森林組合の毎日を日記でご紹介していきたいと思いますのでお楽しみに!

森林療法は地域づくり

2005年12月17日 | Weblog
森林療法は、山村地域づくりにも役立つというお話です。
全国林業改良普及協会のメルマガをご紹介します。
北都留森林組合管内である小菅村でも森林療法を中心とした自然療法を研究す
る団体「小菅村エコセラピー研究会」が立ち上がっています。
<小菅村エコセラピー研究会blog>
http://blog.goo.ne.jp/ecotherapy/

多くの方が森と友達になり、やさしく癒され頂きたいと願っております。
我々林業従事者だけでは「もったいない」!
森林組合もまた都市の方々と自然(森)とのインタープリターとしてお役にた
てればと思います。

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  1. 森林療法は「地域づくり」の視点からも注目されています。
      『事例に学ぶ森林療法のすすめ方』 編集担当 本会・宇佐美均
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 ●性急に結果を求めない
  早く出版してほしいという全国からの声に応えて、今年10月にようやく
 発刊できました。
  全国の森林療法活動家が執筆した実践的な事例集だけに、そこで語られて
 いる内容には説得力があり、全国の自治体の方、地域づくりのリーダーなど
 からも反響の声が寄せられています。

  ある県では、山村部の少子高齢化の進行、後継者不足等の課題解決に向け
 た重点施策の一つとして森林療法モデル事業を掲げ取り組みを開始していま
 す。ここでの特徴は、横断的な態勢をつくり、地域リーダーらと連携して住
 民自治の芽を育てていこうとしていることです。全国では、もっと小さな町
 や村でも、独自に検討会や研究会をつくり、地域ならではの特徴を創出しよ
 うとする姿勢が見られるようになっています。

  最近の動きとして、「癒しブーム」という雰囲気に流されるきらいがな
 いわけではない中で、編著者・上原巌さんは各地の講演などで、「うまくい
 っているところは、目的・目標が明確であり、多種多様な人材がおり、行政
 主導というよりは、住民自らの活動や学習が盛んであること、そしてリピー
 ターがいること、逆にうまくいっていないところは、「行政のみが先走り傾
 向にあり、まず先に遠大な計画ありきで、リーダーや人材が不在」と述べら
 れています。
  上原さんが常々強調されているように「あまり性急に結果を求めず、一
 時の流行などで森林保養地が形成されるものではない」ことを肝に銘じるべ
 きようです。
       
 ●地域からの活動-森林療法研究会・静岡
 森林療法研究会・静岡については、同事務局の清水光弘さんに本書で執筆
 いただいています。同研究会は、「NPO法人森林インストラクターしずお
 か」の有志を発起人に平成16年4月に設立されました。
  現在会員は、小児科医・精神科医・整形外科医・森林インストラクター・
 林業家・自然体験指導員・環境教育指導員・点字ボランティアと多彩な人材
 で構成されています。

  これまで医師との綿密なコミュニケーションのもと、自閉症や発達障害、
 不登校などに苦しむ子どもたちなどを対象に森林療法を行ってきました。森
 林を熟知した森林インストラクターなどが、危険が伴う野外活動にあっても
 とてもきめ細やかな対応を行い、複数のプログラムを用意するなど、試行錯
 誤を重ねながら活発な活動を継続しています。結果として、リピーターの増
 加につながっています。
  ある発表の場で、主治医(小児科医)の勧めで発達障害のお子さんととも
 に森林療法に参加したお父さんが、「子どもが生き生きするだけでなく、室
 内に閉じこもりがちであった家族、とくに妻も救われたのです」と語ってい
 たのが印象的でした。

 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
   好評発売中■「事例に学ぶ 森林療法のすすめ方」 上原巌 編著
       定価3990円 ISBN-88138-159-8
   http://www.rinka.info/click_mag/t_serajirei.html
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  2.森林療法の共同研究に参加して 小川 洋(森林療法研究会・静岡)
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 (森林療法研究会・静岡のスタッフで、森林インストラクター・小川洋さん
  からのお便りを紹介します)

 ●森林公園での森林療法
  天竜病院(浜松市)に隣接する県立森林公園で森林療法の共同研究が一年間
 行われました。
 この公園は、私がガイドウォークなどをしているフィールドの一つであり、
 歩き慣れた場所でした。この森林公園は、天然のアカマツ林を主体に多様な
 動植物で構成され、四季の変化を楽しませてくれます。園内には大きな池が
 あり、河川も大小何本も流れています。地形をうまく利用した散策路は、よ
 く整備され四方に延びています。

  森林療法は、精神科医が付き添い、週3回午前中、2時間半ほど公園内の
 散策を中心に行われました。対象者は、10代の小学生から50代の成人まで
 の精神科の病棟で生活している総勢25名の人たちでした。私は、楽しく散
 策できるようにとガイド役に専念しました。

  散策コースは、前日と異なるコースになるよう設定しました。可能な限り、
 前半は勾配があり後半は平坦になるよう変化に富んだコースとし、トイレの
 場所は必ず通過しました。
  散策中は、対象者全体に目を行き届くようにしながら、時々自然観察をし
 ました。自然観察によって森の中に興味をもってもらい、森の雰囲気を全身
 で感じられるようにしました。常設のアスレチックは時々利用し、自然の恵
 みの木の実・草の実を少しいただくことも楽しみの一つとなり、長さ150m
 の吊り橋を渡ることは刺激的体験の一つでした。
  休憩は適宜とり、お気に入りの場所があればそこでも休憩しました。散策
 の終わりの頃、心地よい疲労感が漂い、昼食の話題がでるようであれば、そ
 の日の散策は成功だと思いました。

 ●体力の回復とともに、表情も豊かに
  森林療法により、見違えるようになった対象者2名について紹介してみま
 す。

  高校生の男の子は、森林療法初期のころ、体力がないのかすぐにしゃ
 がみこんでしまいましたが、残暑の中、黙々と一生懸命歩いてくれました。
 そして、いつのまにか、しゃがみこむこともなくなりました。徐々に秋の気
 配が感じられる頃、日常のことをよく話してくれるようになり、顔つきが変
 わりいい顔(引き締まった顔)になりマイペースで散策できるようになりま
 した。3カ月後には無事退院しましたので、私自身とてもうれしかったもの
 です。

  高校生の女の子は、森林療法を始めた秋のころ、誰かが支えていない
 とひとりで立っていられないような状態で、感情を表にだすことがありませ
 んでした。散策は、グループから大きく遅れながらも誰かに付き添われて最
 後まで歩きました。そのうち、自分から積極的に声を出したり、アスレチッ
 クをしたりし、かわいい笑顔を見せるようになりました。年が明けてからは、
 散策グループの先頭を歩くようになり、顔の表情が明るく豊かになりました。
 彼女の青春はこれからだと思いました。
 
  おおむね対象者の体力がつき始めたころ、顔の表情、行動の様子や会話か
 ら精神面にも変化が出ているのではないかと感じられました。(良い臨床結
 果が得られている)。

  森林療法は、森のつくりだす空気の中で、気持ちよい汗を流し、小さな感
 動をたくさん重ね楽しみながら心身を健全にしていくものだと実感しまし
 た。長期間連続して森林療法を実施する時には、散策コースが単調にならな
 いように、ある程度広い面積の森林が必要だと思います。
  対象者は予想以上に個人差が大きいので接し方に課題を残しましたが、こ
 こが私たちスタッフの腕の見せどころでもあると考えを新たにしました。

コメント
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