太宰府木うそ保存会

木うその技術伝承と原木育成を目的とした会です。木うその歴史や会の活動内容などを紹介します。

太宰府木うそ保存会発足15周年記念シンポジウム その3

2014年04月09日 | 太宰府木うそ保存会
「創り継ぐ ~伝統文化の継承と課題~」と題したパネルディスカッションは前段の講演会
での内容を受けての討論となりました。ここでは内容を抜粋して、紹介いたします。


コーディネーター役の太宰府市文化財課山村係長;
森先生のお話で、鷽かえが太宰府天満宮の歴史と関わりが深いことがあらためて認識できました。
太宰府天満宮は明治時代の廃仏毀釈以前には安楽寺天満宮でした。そこで行われていた正月の仏教
行事の修正会と鷽かえ、鬼すべとの関わりがはじめて位置づけられるということが分かりました。
修正会の罪・穢れを懺悔するという行事の本質は、木うそを交換する行為に通じるように感じまし
た。そのあたりを森先生、再度お話しいただけませんか。


森先生;
天満宮の修正会は薬師悔過として行われました。社僧は薬師如来に懺悔することによって罪障を消
滅し、災厄を祓い、この年の「風雨順時」「五穀成熟」「国家安泰」を祈るのです。
庶民にとっては満願の7日夜に行われる鬼すべ、鷽替えが、その年の招福を願う行事として非常な
賑わいをみせました。
鷽替えは、木鷽を替え合うことによって、嘘を天神さまの誠に替え、その年の幸運を招こうという
行事として、太宰府天満宮を発祥の地として、全国に広がりました。


山村係長;
石垣調査官は文化庁の調査技官として全国の事例を俯瞰され、一方で日本民具学会に属する研究者
としての視点で、太宰府の鷽替えや木うそについて、どのようなご感想をお持ちでしょうか。


石垣調査官;
今回、森先生と柳さんの発表を聞いてよかったなあと思う点は、
一つは、木うその起源について、森先生のお話にありましたが、民具や民俗の研究者の中では木う
そはケズリカケだと言われていました。柳さんの発表にあった木うその変遷や森先生発表の牛王杖
の事例などを見ますと、ケズリカケだとしているところを再考する必要があると認識しました。

つづく…
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