地元の図書館にいったら、松本侑子の「性遍歴」がありました。
ここに入っている「女装七変化」は女装子の悲恋物語でラブシーンが感動的です。
ちょうど1年前にも紹介しましたが、またアップしてもいいですよね。
彼が指定したのは、新宿西口にある高層ホテルのバーでした。飲んだ後、どうなるか……。Kさんに女として抱かれるかも・・・・という期待に身震いします。
約束は夜だというのに、昼から女装部屋になっているアバートヘ出かけました。
まずシャワーを浴びて体を隅々までよく洗い、シャンプーします。体臭はありませんが、仕事着や髪に染みこんだ男の匂い、編集部でついたタバコ臭さを消すのです。
続いてバスルームでは、毛をそります。顔だけでなく、腕、足、脇の毛もそり落とすのです。大変なので、時々、エステで永久脱毛しようと思いますが、昼は男としての生活があるもので踏み切れません。
というのも、男のあごにに青いヒゲのそり跡がなくて、すべすべしていると、世間は、虚弱だと見るのです。あごだけでなく、腕や足が無毛でつるつるしていても軟弱だと見ます。窮屈な考えですが、二重生活をまっとうするには、普段は世間並みの男らしい外見を保つしかありません。
シャワーから出ると、下着を身につけます。白いブラジャー、レースのパンティー、が-ターつきストッキング、透けたシュミーズ……。人目につく表だけスカートにして、見えない肌着はブリーフでもいいじゃないかと思われるかもしれません。でも女装とは、自分の憧れるかれんな女の子になりきる自己満足の幻想です。下着からすべて女の子でありたいのです。(中略)
自分の色香に陶酔しながらお化粧です。つけまつげ、アイライン、マスカラ、アイシャドウ、マニキュアも手足の爪に塗ります。眉毛は、本当は細く形を整えたいのですが、編集者でいるとき、そった跡があるのは不自然ですからね、太めのままにしてカツラの前髪を垂らして隠します。
今夜は抱かれるのだと官能の予感に浮き立ちながら服を選びました。色っぽいけれど品のいい黒いワンピースに金のネックレス、絹のスカーフを首に巻きました。