しとしと雨が続き、うっとうしいですね。
晴耕雨読というわけではありませんが、積読本をまとめて読んでいます。
そのなかの1冊が『サイバーアンダーグラウンド』(吉野次郎著・日経BP刊)です。
この本は日経ビジネスの記者である吉野次郎氏が、ネットの闇に潜み、隙あらば罪なき者を脅し、たぶらかし、カネ、命、平穏を奪わんとする捕食者たちを追跡したルポルタージュです。
青年ハッカー、英国人スパイ、老人から大金を巻きあげる詐欺師、アマゾンにやらせの口コミを載せている中国の黒幕などなど...、ごく普通のインターネット利用者である私には知ることのできない、まさに「アンダーグランド」の姿を知ることができたのです。
「自分だけは大丈夫だろう...」という確証なき自信が一番の落とし穴だということを知りました。これはすごいリスクがあることです。
この本の中で吉野次郎氏は英国諜報部の元幹部・スパイのケネス・マレン氏(仮名)をインタビューしています。
インタビューのなかで、マレン氏が過激派組織のなかから内通者を獲得した経緯が書かれていました。
そのきっかけは「女装」だったのです。
-すぐに思い浮かぶ手柄はありませんか?
「ありますよ。ある過激派組織の幹邸宅内を盗撮器で監視していたときのこどは忘れられません。妻と娘が外出
しそうになると、男は突然そわそわし始めました。そして外出したのを確認すると、この屈強な男は別室に移り
、再び盗撮器の前に現れたときには女性の姿になっていました」
-女装したテロリストですか。なかなかの組み合わせですね。
「モニターを確認していた私はあぜんとしつつ、急いで録画を始めました。数日後、交通違反を口実にこの男を
警察署に呼び出し、女装姿の映像を本人に見せてやりました。『仲間に女装趣味をバラされたくなかったら内通
者になれ』という脅し文句の効果がてきめんだったのは言うまでもありません」
―女装趣味が仲間に知られたら、恥ずかしいかもしれませんね。しかし内通者になったことが発覚したら、裏
切り者として扱われます。女装趣味がバレる方がまだましだと思うのですが。
「そうですね。けれどもこの男は内通者になることを選びました。当然、密告はリスクを伴います。(以下略
)....」
女装子を愛する私としては、あまり愉快なエピソードではありません。
過激派組織の属性がインタビューでは明らかにされていませんが、もしかして「女装」という行為が禁忌とされている組織だったのかもしれません。
そこ、隠れた女装愛好者は組織より女装を隠すことを選んだのかもしれません。
Amazon、食べログの偽レビュー首謀者。未成年ハッカーは不登校児。金正恩の宿敵が命がけの暴露。英国人スパイの非情な戦争。16歳で詐欺師に堕ちた暴走族メンバー。世論を操るプーチンの懐刀。憂国の自衛隊・警察OB。黒幕を直撃、迫真ルポ。