先週、勤務先でLGBT研修がありました。
「参加するように」と年下上司の命がありましたので、まあ興味津々で大会議室へ。
講師は人事部の若手社員。
一生懸命リハーサルしたんでしょうね。
90分ですが、しっかりと話をしていました。
私と言えば、「へぇ、そうなんだ~」という初心者顔(どんな顔なんだ)でちんまりと聞いておりました。
冒頭、彼が「電通の調査ではLGBTの方は100人に7人いるのです」と胸を張って言いました。
ふーん、7人もいるんだ....とその時は納得しました。
しかし、自宅に帰って三橋順子先生の新刊を読むと、この数字の信ぴょう性が大いに揺らぎました。
以下引用です。
「LGBTは3人に1人」というキャッチ・コピーを聞いたことがある人、いらっしゃると思います。これは「電通ダイバーシティ・ラボ」が2015年に公表した「LGBT調査」の結 果、7・6%の逆数です (100÷7.6=3・2)。
私はこの数字をニュースで聞いたとき「多すぎる!」と思いました。それは私だけでなく、 長年、性的マイノリティとして生きてきた多くの人たち共通の感想でした。
なぜ、こうした現実感覚と離れた数値が出てきたのでしょうか?「電通ダイバーシティ・ラボ」はこの3年前の2012年にも同じような調査をしています。
それと比較してみると、わずか3年の間にGは0・61.8%で3倍、Lは0・21・0 %でなんと5倍になっています。「電通」は「同性愛に対する社会的理解が広まった結果」と説明していますが、いくらなんでも増えすぎです。「理解が広まった」というのならTはどうでしょうか。4・1→0・7%で3年間で6分の1になっていて、激減です。この3年間にトランスジェンダー大虐殺が起こって6分の5のTがいなくなってしまったのでしょうか? もちろん、現実にはそんなことは起こっていません。
さらに、2012年の調査にはなく2015年の調査で現れる「その他」とは何でしょう?? しかもそこに3・8%という全体 (7.6%)の半数に当たる大きな数字が入っています。この頃から目立つようになった「Xジェンダー」 (215ページで説明)でしょうか? このように2012年の調査と比較すると、変動幅が大きすぎて、実態的にあり得ない結果 であることがわかります。
こうした量的な社会調査では、その調査方法(対象、カテゴリー設定など)が妥当であるか 検証されるべきなのですが、「電通ダイバーシティ・ラボ」は詳細な調査方法を公開しておら ず、検証不能です。つまり、結果的にも方法的にも問題があり、学術的には使えない、一種の 「プロパガンダ」(広報・広告)として理解すべき数字だと思います。
ここで留意すべきは「電通ダイバーシティ・ラボ」は学術調査機関ではなく、「電通」という巨大な(日本最大手、世界6位)広告代理店の調査機関だということです。広告代理店の仕事はプロパガンダですから、数値が学術的な正確性より、ブロパガンダ的性格を帯びるのは当然のことなのです。
実は、「電通」の2015年調査の翌年、2016年に業界2位の広告代理店「博報堂」が 8%という数字を出しています。数値をプロパガンダと考えた場合、「電通」の2015年の 調査より下の数値ではインパクトはありません。「博報堂」としてはライバル社を上回る数値を打ち出す必要があったのだと思います。
その時、私は予言しました。「つぎの電通の調査は、必ず博報堂の上をいく」と。2018 年の「電通」の調査結果は、「博報堂」の数値を上回る8・9%でした。子言的中です。こうしたプロパガンダの繰り返しの結果、日本は世界一 「LGBT」の比率が高い国になりました (まったくのフェイクですが)。
むしろ、そうしたブロパガンダの数字を真に受けるマスメディアや、企業研修会で開口一番「私たちLGBTは3人に1人もいます!」と叫ぶ時流便乗のLGBT系NPOに問題がある (不見識)と思います。
出所
『これからの時代を生き抜くためのジェンダー& セクシュアリティ論入門 』三橋順子著 辰巳出版 2023年
確かに社会調査はその標本の取り方、質問方法などがオープンにされています。
しかし電通調査はうやむや。
エビデンスとしては使用することができないかもしれません。
そして性的少数者も広告キャンペーンのために不可思議な調査を行いあぶりだしていくという広告会社の長期戦略に驚くばかりでした。