浅草橋のビジネスホテルのことを書いていましたら、思い出しました。
20年前に隣の馬喰町を舞台にした女装小説を書いていたことを。
馬喰町は浅草橋から南に浜町に向かって橋を越えたところにありる衣料問屋街です。
今回、北京のBくんのアテンドでバタバタしていて馬喰町には行きませんでしたが、ここも変わっているんでしょうね。
いまから20年前、携帯もネットもあまり普及していなかった時代の女装小説です。
ご笑覧ください。
のぞみは大学一年生。学部は文学部で女の子が多い上、身長も160cmくらいだし、髪も長くしているから、女の子とよく間違われるらしい。そんな彼女とはインターネットで知り合った。彼女の希望は「女装をしてみたい」だけど、でもランジェリーや化粧品はまったく持っていないということ。自宅から大学に通っているので家では無理なんだって。そんな彼女に「クラブの合宿に行く」といって、外泊許可を取らせてのデートにこぎつけた。待ち合わせは総武線・浅草橋駅東口。なんでこんな場所なのかというと........
昔、テレビ東京でやっていたASAYANは、最初は浅草橋ヤング洋品店という番組名だった。ルー大柴が司会をしていたけど、基本はファッション番組。何で浅草橋というかと浅草橋には繊維問屋の町・横山町があるからだ。ここに女装初体験希望ののぞみを連れて俺はやってきた。彼女はフェイクレザーのジャケットにパンツというモノセックスな服を着ているけど、おれはジャンバーにクラッチバツクという地味な格好をしてきた。
「あ、おはよう」
「あっ、おはようございます.....」
「浅草橋なんてはじめてかな?」
「ええ、総武線も秋葉原からこっちはきたことないですから....」
まあ、それはそうだろう。
「まっ、今日はのぞみに思う存分お買い物させてあげるからさ」
浅草橋駅を下りると早速いろいろな衣料品問屋が軒を連ねている。もちろん婦人衣料が多い。店頭にストッキングやスパッツを並べ、奥には女性下着というのが大抵のパターンだ。その店の前を通る毎にのぞみは目を輝かせて覗きこんでいる。
「いいよ、入ってきて。待っててあげるから」
「えっ、でもはずかしいから....」
とどうも敷居をまたげないらしい。
浅草橋から浜町に向かって京葉道路を越えると、そこが横山町となる。店の両側はもう問屋さんばかりだ。洋服だけではなく、靴下、タオル、寝具、販促物などなど町の洋品屋さんが商売するために必要なものは何でも売っている。初めてくるひとはこの光景にびっくりするらしい。原宿や新宿がリテールの町とすれば、ここはホールセールの町なのだ。
仕入れを終えて大きな紙袋を抱えた小売店のおじさん・おばさんが忙しそうに地下鉄の馬食横山駅に入っていく。
横山町の中心といってもいいエトワール海渡の大きなビル。この女性アパレルの大手卸も取引先証がなければビルの中には入れない。
「ここだよ」
おれがのぞみを連れてきたのはエトワール海渡ビルの手前にある井田商店だ。ここは女性下着の専門店で卸だけど小売もしてくれる。店は3階建てになっていて、そこにオーソドックスなものから、大人のおもちゃ屋で売っていそうなセクシー下着まで取り扱っている。
そしてなによりもいいことは、男がここで女性下着を買っても何にもいわれないし、変な目で見られることもない。みんな仕入れに来ていると思われるからだ。だから俺は小売店のオヤジさんの定番であるジャンバーを着てきたのさ。
おれはのぞみの耳元でささやいた。
「いいかい、この店ではね、『俺は仕入れに来たんだぞ』という大きな顔をしていればあやしまれることはない。どうどうと下着を手にとってチェックしていいよ。女性客が来てもそれは小売店のご同業だ。ただ、あまりひとつの商品を買おうか買うまいかと迷っていると商売の邪魔になると嫌がられるから、パッパとカゴに入れてしまうこと。なに、値段はすごく安いから安心していいよ」
「...、は、はい...」
「大丈夫かなぁ、顔が赤くなっているよ。ちょっと見たところじゃ、のぞみはMサイズ、ブラは80Aでいけるとおもうよ」
「.....」
「じゃ、いってらっしゃい。好きな下着、欲しい下着を思いきり買ってきてね。おれは後ろでみているから」
わたしはポーンとのぞみの背中を押して店の中に入らせた。
一時間後、のぞみのお買い物が終った。買い物カゴがいっぱいになっているよ。
・フェミニンな刺繍レースの入ったブラとショーツセット(クールピンクでかわいい)
・ボディスーツ(若ければ必要ないと思うのだがどうしても欲しかったそうだ、色はベージュ)
・ティーン用のシンプルなブラ(高校生が使うようなもの、色は当然白)
・ショートガードル(ソフトタイプで、色はチャコールグレー)
・コットンショーツを10枚(これはいろいろ、おとなしめから大胆まで)
・Tバックショーツ(冬だったていうのに冷えたらどうするんだろ)
・サニタリーショーツ(もう何もいいません、色はブルー)
・ミニスリップとキャミソール(色はイエロークリーム)
・ストッキングとタイツ(ブラウン・黒・ベージュなどなど)
・そしてアウターとしてニットのミニワンピース(色はグレー)
ま、これだけ買えば井田商店さんも気をよくしてくれるだろう。ジャンバーの俺が支払を済ませて、適当な店の名前を言って領収書を切ってもらった。もうのぞみはルンルンだ。そして浅草橋駅の近くにあるディスカウントショップで口紅・ファンデーション・アイライナーを買った後、レンタカー屋でシビックを借りて箱崎から首都高速に乗った。
この後は東北道を走り、ふたりは山奥の温泉宿で愛の交歓をすることになります。
このブログでは、まあここまでにしておきましょうか....。
20年前に隣の馬喰町を舞台にした女装小説を書いていたことを。
馬喰町は浅草橋から南に浜町に向かって橋を越えたところにありる衣料問屋街です。
今回、北京のBくんのアテンドでバタバタしていて馬喰町には行きませんでしたが、ここも変わっているんでしょうね。
いまから20年前、携帯もネットもあまり普及していなかった時代の女装小説です。
ご笑覧ください。
のぞみは大学一年生。学部は文学部で女の子が多い上、身長も160cmくらいだし、髪も長くしているから、女の子とよく間違われるらしい。そんな彼女とはインターネットで知り合った。彼女の希望は「女装をしてみたい」だけど、でもランジェリーや化粧品はまったく持っていないということ。自宅から大学に通っているので家では無理なんだって。そんな彼女に「クラブの合宿に行く」といって、外泊許可を取らせてのデートにこぎつけた。待ち合わせは総武線・浅草橋駅東口。なんでこんな場所なのかというと........
昔、テレビ東京でやっていたASAYANは、最初は浅草橋ヤング洋品店という番組名だった。ルー大柴が司会をしていたけど、基本はファッション番組。何で浅草橋というかと浅草橋には繊維問屋の町・横山町があるからだ。ここに女装初体験希望ののぞみを連れて俺はやってきた。彼女はフェイクレザーのジャケットにパンツというモノセックスな服を着ているけど、おれはジャンバーにクラッチバツクという地味な格好をしてきた。
「あ、おはよう」
「あっ、おはようございます.....」
「浅草橋なんてはじめてかな?」
「ええ、総武線も秋葉原からこっちはきたことないですから....」
まあ、それはそうだろう。
「まっ、今日はのぞみに思う存分お買い物させてあげるからさ」
浅草橋駅を下りると早速いろいろな衣料品問屋が軒を連ねている。もちろん婦人衣料が多い。店頭にストッキングやスパッツを並べ、奥には女性下着というのが大抵のパターンだ。その店の前を通る毎にのぞみは目を輝かせて覗きこんでいる。
「いいよ、入ってきて。待っててあげるから」
「えっ、でもはずかしいから....」
とどうも敷居をまたげないらしい。
浅草橋から浜町に向かって京葉道路を越えると、そこが横山町となる。店の両側はもう問屋さんばかりだ。洋服だけではなく、靴下、タオル、寝具、販促物などなど町の洋品屋さんが商売するために必要なものは何でも売っている。初めてくるひとはこの光景にびっくりするらしい。原宿や新宿がリテールの町とすれば、ここはホールセールの町なのだ。
仕入れを終えて大きな紙袋を抱えた小売店のおじさん・おばさんが忙しそうに地下鉄の馬食横山駅に入っていく。
横山町の中心といってもいいエトワール海渡の大きなビル。この女性アパレルの大手卸も取引先証がなければビルの中には入れない。
「ここだよ」
おれがのぞみを連れてきたのはエトワール海渡ビルの手前にある井田商店だ。ここは女性下着の専門店で卸だけど小売もしてくれる。店は3階建てになっていて、そこにオーソドックスなものから、大人のおもちゃ屋で売っていそうなセクシー下着まで取り扱っている。
そしてなによりもいいことは、男がここで女性下着を買っても何にもいわれないし、変な目で見られることもない。みんな仕入れに来ていると思われるからだ。だから俺は小売店のオヤジさんの定番であるジャンバーを着てきたのさ。
おれはのぞみの耳元でささやいた。
「いいかい、この店ではね、『俺は仕入れに来たんだぞ』という大きな顔をしていればあやしまれることはない。どうどうと下着を手にとってチェックしていいよ。女性客が来てもそれは小売店のご同業だ。ただ、あまりひとつの商品を買おうか買うまいかと迷っていると商売の邪魔になると嫌がられるから、パッパとカゴに入れてしまうこと。なに、値段はすごく安いから安心していいよ」
「...、は、はい...」
「大丈夫かなぁ、顔が赤くなっているよ。ちょっと見たところじゃ、のぞみはMサイズ、ブラは80Aでいけるとおもうよ」
「.....」
「じゃ、いってらっしゃい。好きな下着、欲しい下着を思いきり買ってきてね。おれは後ろでみているから」
わたしはポーンとのぞみの背中を押して店の中に入らせた。
一時間後、のぞみのお買い物が終った。買い物カゴがいっぱいになっているよ。
・フェミニンな刺繍レースの入ったブラとショーツセット(クールピンクでかわいい)
・ボディスーツ(若ければ必要ないと思うのだがどうしても欲しかったそうだ、色はベージュ)
・ティーン用のシンプルなブラ(高校生が使うようなもの、色は当然白)
・ショートガードル(ソフトタイプで、色はチャコールグレー)
・コットンショーツを10枚(これはいろいろ、おとなしめから大胆まで)
・Tバックショーツ(冬だったていうのに冷えたらどうするんだろ)
・サニタリーショーツ(もう何もいいません、色はブルー)
・ミニスリップとキャミソール(色はイエロークリーム)
・ストッキングとタイツ(ブラウン・黒・ベージュなどなど)
・そしてアウターとしてニットのミニワンピース(色はグレー)
ま、これだけ買えば井田商店さんも気をよくしてくれるだろう。ジャンバーの俺が支払を済ませて、適当な店の名前を言って領収書を切ってもらった。もうのぞみはルンルンだ。そして浅草橋駅の近くにあるディスカウントショップで口紅・ファンデーション・アイライナーを買った後、レンタカー屋でシビックを借りて箱崎から首都高速に乗った。
この後は東北道を走り、ふたりは山奥の温泉宿で愛の交歓をすることになります。
このブログでは、まあここまでにしておきましょうか....。