斎藤薫さんは美容エッセイストです。
私は彼女の書くエッセイが好きです。
それは背筋をきちんと伸ばして、正しいことを分かりやすくそして読者に伝えてくれるからです。
斎藤さんのエッセイを読むと、自分の人生や日常の態度を改めて振り返り、そしてそれを正すことができます。
最近読んだ本が『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』です。
さまざまな気づきを得ることができました。
そのすべてを紹介したいところですが、ひとつだけ、これは自分への戒めでもあるのですが、「人の心の向き」をご紹介します。
たとえば自分の心の向きを、人はあまり気づいていない。
もちろん自分が前向きな人間な 後ろ向きな人間なのかには自覚があるはずだけれど、意外に気づいていないのが、もっ ともっと日常的なさりげない会話の中で、人の気持ちを上に向けるタイプか、下に向けるタイプか。
人はそこに気づいていないのだ。
言ってみれば、自分自身は大いに前向きな性格なのに、人との関わりの中では人の心を下 向きにしてしまう…そういう人ってじつは少なくないのである。 しかも、そういう人ほど、 自分が人の心を下向きにする人間だなんて夢にも思っていない。 そこが問題なのだ。
たとえば人と一緒に食事をする時ワインがまずい。 料理が出てくるのが遅い。この料理 は塩辛い。あのスタッフ、感じが悪い。 そんなふうに文句ばかり言っている人がひとりいた ら、みんな心が下向きになる。
逆にこういうワインこそ好みだし、料理の味も悪くない。い い感じの店で気分がいい······そう思えた人の心までくまなく下向きにしてしまう。
他にいい 話をしていても、たった今、相手が口にしているものを美味しくないと口に出 すことが、どんなに相手の心を下向きにするのか、それ自体に気づいていないのだ。
誰かとテーブルを共にする時、そこにネガティブな要素を持ち込んでは絶対にいけない。食事がまずくなるのはもちろん、会食はみんなの心を上向きにするためのも という本来の意味に思いっきり反してしまうから。 従って、ワインがまずくてもまずい と言わない。1カ月後に「あれはまずかったね」と笑い合うのは構わないが。
同様に人との会話において、相手が言ったことをひとまず否定してみる癖のある人も、一 刻も早くそれに気づかないと。
ましてや、誰かがめた物事を否定するのは、やって はいけないこと。
でも取るに足らない世間話だと、自分が何でも否定していることにうっかり気づかないものなのだ。 なんらかのテーマをテーブルにあげて、みんなでちゃんと議論を するならば、反対意見を出すのは一向に構わないが、それこそもっともっと日常的な会話の 中で、あのドラマ面白かった、あの俳優はいい俳優、あのタレントはいい感じ・・・・・・そういう 他愛のない話題でもって、自覚のないまま、相手の言ったことにいちいち反対意見を持ち出 す人は少なくないはず。
つまり親しい者同士の会話でこそ、やってしまいがちなミスなのだ。
他愛がなさすぎて本人は気づかないのかもしれないが。
この機会に考えてみてほしいのだ。 一人の心を下向きにしていないか? その、ついうっかりで、自分自身を不幸せにしていないかと。
もちろん基本的に誰もそのことを指摘してくれないから、そういう癖は知らず知らずエス カレートしていってしまう。
誰もそんな人と会話したくないし、ましてやご飯も食べたくな い。
そういうふうに自分の知らない自分が、幸せになれない原因だとしたらどうだろう。
だ からこの機会に考えてみてほしいのだ。
あなたは、ついうっかり人の心を下向きにしていな いか?
その、ついうっかりで、あなたは自分自身を不幸せにしていないかと。
出所:『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』
食事の時、ネガティブな話題は出さないようにしていますが、自分では意識せずにそれを出してくる人は多いですね。
会話の時、人の話の腰を折って、でも・だって・そんなことないよ、と反対意見を言ってくる人は多いですね。
そういう人とは食事をしよう、会話を楽しもうとはしたくないですね。
女装子さんと女装子愛好男子の会話もこれと同じでしょうか。
せっかくの逢瀬ですから、お互いの心が上向きになるような食事と会話と房事を楽しみたいものです。