それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

学校の責任

2017-11-03 12:01:57 | 教育

 

 かつて別のブログに、以下のような記事を投稿していた。
 このたび、広島大学の附属中学校の一つで、組み体操による負傷が原因で志望した生徒の保護者が訴訟を起こし、広島大学を訴えることになったという。すでに、組み体操の危険性は問題になっていたのであり、いまだに危険なことが継続して行われていたのかと愕然とする。
 しかも広島大学の前身の一つは、教員養成の歴史は長く、東京高等師範学校と並んで、わが国の教員養成の象徴的存在であった広島高等師範である(当該付属は、厳密には、高師付属ではなく、師範付属のようであるが、それは、今となってはどうでもよい)。何を考えているのか、というより、何も考えていないのである。教員養成系大学としては、リーダーシップを取って然るべき大学の一つが、この体たらくである。納得のいく対応を願うばかりである。

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危険な学校

 このところ、運動会での事故が話題になっている。
 「組み体操」なるものが原因で、多くのけが人を出し、障害が残る者も少なくないというのである。学習指導要領にも、組み体操を指導する指示はないというが、学習指導要領にあろうがなかろうが、命に関わるような事故を起こす危険性の高い種目を実施すべきでないことは明白なことである。
 学校の行事である運動会の一種目としてプログラムに載り、保護者等の見守る中で、一段でも高く積み上げようと競わせる競技が、それなりに面白いことは否定できないが、児童、生徒の中には恐怖を感じながら参加し、実際に負傷し、障害が残ることがあるとすれば、これは、学校による犯罪的行為である。学校の行事であるとするなら、児童・生徒は、参加を拒否することは難しかろう。危険な行為への参加を強制されているのであり、負傷や障害が予期できるということを考えれば、学校や教員は、重大な責任を帯びていることになる。死者でも出れば、殺人にも等しい行為である。
 「むかで競争」でも、年間四八〇人を超える骨折者が出ているということが報じられた。「一人が転ぶと、連動して他の生徒が転ぶので、骨折につながる」ようだということが研究結果として明らかになったそうだが、そんなことは研究しなくてもわかりきったことであり、危険性を予知出来ない学校、教員は、児童・生徒の命に対する責任能力が欠落していると言わざるを得ない
  役所であれ、学校であれ、多くの場合、事故が起こらないと、慣習化されたことを修正や廃止できない。修学旅行なども、こんな時代に本当に必要かどうか再考すべきである。学校や教員に多大の精神的、肉体的な負担を課せられるこの大移動。児童・生徒の保護者も少なからぬ財政的負担を強いる。何も起こらなくて当然とされる集団行動は、組み体操なみの危険を孕んでいると言えないか。