ルーブル美術館の周辺はいつもごった返しており、バスやタクシーが頻繁に走っ
ていた。私たちのバスは美術館の地下駐車場に潜り込み、ここから一階に出て入
場する。美術館は玄関先にあるピラミッドを中心に幾つかの展示ゾーンに分かれ
ている。今回は有名な彫刻や絵が展示されているデノン・ゾーンを見学する。超
人気の美術館だからここも兎に角、人・人・人
『スリに注意して下さい』ガイドさんの話は先ほどのパスポート盗難騒ぎが脳裏に
残っているから、持ち物管理の厳重さを倍増させる。ここはフラッシュをたかなけ
れば写真撮影は自由、それならと一眼レフでフラッシュ・オフの機能を選択したの
が運のつきだった。普通のフラッシュをオフにした機能ではなく、内容はよく分か
らない初めて使ったものだったが、結果としては手振れの写真ばかりになってし
まった。ここのゾーンには有名な、ニケ、ミロのビーナス、モナリザなどが展示され
ており、美術に素人から興味深く見る人まで誰でも知っており、一度は見てみた
い作品だ。全く興味のない人には首のとれた天使のような、腕の折れた美女の
彫刻など見ても仕方なかろう・・・となってしまう。ミロのビーナスは私が高校生の
時、京都で展示されたのを観に行ったのだ、だから大凡50年ぶりの再会になる。
その時は多分、日本初公開だったろうから、すごい人で長い列は流れたまま観賞
だから像を見る時間は1分~2分もなかったように思う。待った時間は覚えていな
いが数時間だったことは間違いない。しかしここでは結構ゆっくりと見ることが出来
しかも時々、人波が途切れることもあり、その前で記念写真を撮ることもできる。そ
れは人気のあるニケのところでもそうだった。こうして撮った写真を後で見ても、作
品に位負けし写真に納まっている自分が間抜けにみえるし、意味のある写真には
思えなくなった。最初は記念になると思って、こうした像の前で撮っていたが残念
ながらなのか、幸いなことか手振れできれいに撮れていなかった。
そして案内されたのが超人気のモナリザ、絵から2~3mの所にロープが張られてい
て人波が滞留しないよう係員が時々、移動することを促していた。一番前まで出て
観ていたが時間にして2~3分はそこに居ることができた。ここでも写真を撮りまくっ
たがピンボケ、手振れでろくなものが撮れていなかった。モナリザは3重ガラスの額
に入れられているからなのか、光の加減で目に見えないけど写真にすると反射光
が映り込んでいた。スリは朝から晩まで人気のある所でたむろし隙を狙っている。警
備員もそれを知っているが声をかけると『私はこの作品が好きで一日中でも見てい
たいから』と答えるそうだ。だから怪しいと連れ出すことも出来ないのだとか。
2時間ほどの滞在で一杯の名作を叩きこまれるから、消化不良を起こしている、これ
が本当のところだろう。ではもっとゆっくり時間をかけて名作漬けなら、それでいいの
かと問われてもすぐyesとは言い切れない。
私のような凡人には名作も程々が丁度いいのかな。ここのゾーンを見終えて中央部
のピミッドのようなとこで再び注意事項を聞いて30分の自由行動になり、私たちは座
りたかったからカフェでコーヒーを飲むことにした。
ここの土産店では絵や彫刻のレプリカや携帯ストラップ、栞などがポピュラーだ。私た
ちはコーヒータイムにしたので通り過ぎるだけのチラ見で十分だった。
美術見学を終え外に出てやっと人ごみから解放され新鮮な空気にありつけ、広い館
内を移動して再びバスに乗り込んだ。
夕暮れ近くになりセーヌ川沿いを走るとストリートビューで確認したポンヌフの駅やシテ
島が見える。自由行動の日ここに来る予定であり、事前準備はパーフェクトだ。レスト
ランに行き夕食を頂いたら、すっかり夜の街になっているが日本のようにネオンサイン
や光物でギンギンの明るさはない。
日本はヨーロッパと比べると特殊な国だろうか。不要、無用に明るい。ガソリンスタンド
は原発が停止していて電力不足と騒がれていても昼間にギンギン照明、パチンコ屋、
自販機・・・・えーい、皆クレージーだ。
エッフェル塔横から出るセーヌ川クルーズに向かう中心街も、おしゃれな街に似合っ
た町明りとでも言えばいいのか、けばけばしさがなく心地いい。
モナリザの前はスリの稼ぎ場所、注意喚起の立札が2枚も
ルーブル美術館と周辺1
ルーブル美術館と周辺2
ルーブル美術館の館内は美術作品の鑑賞の場なのに、人が多いから結構うるさい