食後、修道院までのシャトルバス乗り込み移動すると、島まで道が整備され陸続き
になっている様子が目に入ってきた。それは島に行くための一本の道ではなく完全
に陸続きになっていた。かつては海上に浮かぶ島だったから、干潮のある日だけは
歩いて渡れるという神秘的な場所だった。
人は自然破壊の名手だ。観光客を多く受け入れ・・・・なんて考えた結果だろうか、
一本の道をつけたら潮の満ち引きを繰り返す内、砂を運び込み島と陸とは繋がって
しまった。
それではあんまりだと、砂を取り除き新たに橋を架けることで景観を取り戻す試みが
進められている。無粋な建設重機がガラガラと大きな音をたてて、工事中だ。私たち
が見た時、沖合に海水が見えたから干潮だったようだが、素人目にみても大工事で
数年、十数年はかかるのではないか思わせた。人が壊した自然を元に戻す時間は、
壊し方に指数関数を掛けた長い々ものを必要とする。
私たち観光客のためにやったことで、もしそれがなかったら私たちは、ここを見学す
ることはできなかったのではあるが。
島の入口までシャトルバスで行きここから10分くらいは徒歩で島にたどり着く。風は
強く吹いているがドピーカンの天気、歩きながら眺めるモンサンミッシェル修道院の
姿は、この辺りがベストシーンのようだ。
修道院の中は観光用として残されており建屋の見物が主体となるので、ドイツのビ
ース教会のようなものではないから、視点を変えて見物して欲しいとガイドの説明。だ
から内部構造に興味のない人は外観をたっぷりと堪能しないと、修道院内のお土産
や散策が目的になってしまう。内部を歩きながら説明を受けたが、空中庭園と上から
眺める周囲の海の景色の方が印象に残っている。つまり修道院そのものに興味を魅
かれるのではなく、島に浮かぶあの修道院の姿そのものを観るのが主目的なのだ。
解散後、沢山ある土産物屋をうろついてみたが、主な土産物は買ってしまっているし、
ゆっくりと買い物をするほどの時間はなかったから50セントのトイレに行き集合場所の
大砲に向かう。帰り道も名残惜しげに何度も何度も後ろを振り返りながらモンサンミッ
シェルに別れを告げた16時40分。美しい青空に浮かぶ修道院は本当にきれいなシ
ルエットを描いていた。帰る道すがら夕食のレストランに寄る。造りがユニークで大き
なワイン樽を部屋に仕立そこで食事を頂く。そうした趣向が珍しいのと特産のリンゴジ
ュースに美味しいワインが名物らしいが、名物でなくても結構、グラスワイン・プリーズ。
私たちはあちこちと出掛けている方だったので、よく質問されたのが『今までで何処
の国が一番よかった?』と聞かれる。何時も『日本』と答えるからそっ気ない。
『帰国して最初に食べるご飯、沢庵だけでも美味しく食べられるし、綺麗な所も沢山あ
り、しかも安全だから日本が一番だと思う。だけど海外の方が割安感がするから出掛
けるの海外の方が多い』この回答で皆さんも納得。
行った国々の夫々いい所は沢山あるし、風景、文化、食、人等々、比較する対象も様
々だから、どこが一番とは言えない。好き嫌いは勿論あるが二度と行きたくない国はな
い。食後は満腹状態でパリまで、ゆるり・ゆるりの旅、ホテルには21時30分に到着、明
日はOPツアー後にドゴール空港から上海までのフライト、いよいよ最終章を迎える。
モンサンミッシェル修道院写真