仲間内の最高齢者である「大御所」だが、足の不調で農作業は冬眠状態だ。最後に目撃したのが確か師走の初旬位だったかと思う。足が痛むのなら作業は困難だろうと、案じつつも遠目に見守っていた。それが彼の畑を注視すると何やら作業の痕跡が。彼の耕地は数ヶ所に分断されているが、サトイモ畑に異変が生じていたのだ。画像でお解りのように雑草が伸び放題で蔓延っていたのだが綺麗に焼却されていたのだ。彼が出動して見苦しいので焼き払ったのだろうか。それにしても今は大寒の真っ最中だ。寒さは足にこたえるはず、こんなタイミングで出動とも考えにくい。
近くで作業中の「長老」にも問うてみたが、存じないようだ。何とも不思議な現象。フト思い出した。余りの雑草に見かねて大御所に、草刈りしましょうかと支援の申し出を行ったが、丁重に辞退されたのだ。有り難いが自分でやれるので大丈夫だよ、と。つまり本人自身で取り組む意欲満々だったのだ。
冬場とあって繁っていた雑草類は枯れて乾燥している。下手に草刈りするより焼き払った方が早いだろう。もしかしたら大御所はこの事態を読み取り待機していたのだろうか。かって山間部では「焼き畑農業」が行われていた。山に火を放ち残った灰を肥料としてソバなどの栽培を行うのだ。彼の実施とすれば雑草の処理と肥料の作成との一石二鳥を狙ったものと思われる。申し出を断ったのもスケジュールが想定されていたのかも・・・・・・・ですね。
それにしても令和の時代に焼き畑農業の痕跡が見られるとは、何ともはや。五木の子守歌で歌い込まれるような脊梁山脈地帯であればともかく、都市近郊の山村で表現されるとは思いも寄らなかった。大御所の仕業とすれば歴史的な遺産を我々に提示して見せてくれたのかも。