窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

かつかつの生活

2021-02-10 18:48:35 | エゾジカの四季

雪が降り、積雪が多くなると野付半島に棲むエゾジカの生活も苦しくなります。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

            ★ カツカツの生活 ★

野付半島は根室海峡に突き出た半島です。冬季、ここを通過して行く低気圧は

等圧線を狭くして強力な風を作り出します。陸上で風速10㎞であっても海

は30㎞を超すことは普通にあります。

そのため降った雪が地面を這うように走り、凸凹の地形で吹き溜まり、締まり

ます。圧縮したような積雪になり、表面はすこぶる硬くなります。

枯れ草を掘り起こし食べるエゾジカは前足で雪を掘り起す作業がきつくなって

きます。サラサラからカキンコキンの雪になっているからです。

それができなくなってくると雪面に出ているハマナスの木を食べ出します。

木には棘があり普段は食べることはないのですが、腹に背は変えられません。

枝先の柔らかい茎や芽を前歯で齧り切り、むしゃくしゃ食べています。

この10年、狩猟期間になると多数のエゾジカが逃れ、退避してきたせいで

それまで繁栄を誇ってきたハマナスが冬季に食べられ減少しだしました。

食物圧と言ってしまえば終わりですが、エゾジカが入り込んできたせいで

相当食べられました。

植物相にとり食べつくされそうになり消えかけている種がたくさん出てきま

した。食害ですが、野付半島は牛や馬の放牧が長い間行われてきたので、エゾ

ジカの増加は自然な出来事として見ていくのが普通かなと思います。

厳しい季節は2月の半ば過ぎれば、緩んできます。それまで頑張るべ。