窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

タカブシギ・1年ぶり

2019-08-13 16:14:51 | シギ・チドリ

タカブシギに久々に会えました。考えてみると1年ぶりです。春の渡りの時期にはなぜか

見つけられません。葦やミズガシワなどの芽が出てきていないせいかなと思っています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ◆  タカブシギ・1年ぶり  ◆

タカブシギは気風のいい、小粋なシギです。まず、姿がキリリとし、姿勢が抜群。背筋を

伸ばし、すいすい歩きます。時々、尾を上下に振り、前傾をして水の中の生き物を探します。

この歩き方が小気味よいのです。

くちばしの根元から目の上を通る白い筋が粋の良さを感じます。祭りの時のキリリと巻いた

絞り鉢巻を思わせます。

また羽の小紋がはっきりとして際たちます。羽根の模様が小石を並べているように見える

ことから、学名の種小名・glareolaが当てられています。小紋はくっきりして、着物小紋

にしてもいい幾何学的な模様です。

和名のタカブ、鷹の斑、鷹の羽根模様からということになります。背中、翼の上面の

小石を並べた模様では、鷹類の羽根と類似しているところはないのです。ただ飛んだ時、

尾羽の白地に黒帯の縞模様が似ています。鷹の尾羽の模様を鷹斑(たかふ)と言い、

家紋などに古くから取り入れられています。これからつけられた名前でしょうか。

今年は湿地の沼が雨が少なくて沼底が一部出てきたせいでタカブシギが入ってきました。

10羽以上が降りてくれ、1週間以上滞在してくれました。ヤゴや羽化したイトトンボを

しっかり捕って、鋭気を、栄養を蓄えたみたいです。

大雨が降ったら水位が上がり、旅立って行きました。

 


若きタンチョウ、のんびり

2019-08-10 19:43:58 | タンチョウのいる風景

8月に入るとタンチョウの若たちが野付半島の干潟で堂々と餌取りをする姿を見かけます。

翼の先に黒い斑が付いている、首が薄汚れている、頭があまり赤くない、そんな特徴を

持った若きタンチョウたちです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

            ◆  若きタンチョウ、のんびり  ◆

野付半島には4、5つがいの成鳥が夫婦が縄張りを持っています。初春からヒナが小さな

時期は夫婦はなわばりに入ってくる他のタンチョウには攻撃的で、見つけ次第急襲します。

それは激しい攻撃です。

ときどき3~6羽ほどの若いタンチョウが夫婦の監視が薄い場所にやってきてエサを捕っ

ていることがあります。彼らはおどおどしながら番いの巣から遠くて見つかりにくい草原

や人の気配が多い干潟、草原に降りていることがあります。

多くは1週間以内にいなくなるので、その間に見つかってしまうのです。

ところがヒナが大きくなる8月頃になると夫婦はヒナに寄り添い、懸命に世話を焼きます。

警戒心が強くなり、人からも遠ざかります。子育てに失敗した夫婦はのんびりとした雰囲気

が出て、若きタンチョウがやってきても以前ほどは攻撃的にはなりません。

そんな気配を知ってるのか、若きタンチョウの滞在期間が増えるようです。

のんびりとゆったり潮が引いた干潟に出てきて、餌取りに励むタンチョウたちを見る機会

が増えだしました。

#タンチョウ #野付半島 #野鳥


クイナ

2019-08-08 13:31:09 | 山野の鳥

クイナのヒナを初めてみました。野付半島の湿地で繁殖しているのは確認していました。

道路で出会ってもすぐに葦の中に逃げ込むので、観察時間2秒的な一瞬です。警戒心が

とても強く、観察するのを諦めていました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

              ◆  野付半島のクイナ  ◆

ところが別海町が湿地の沼のそばに野鳥観察用のハイドを作ってくれました。管理して

いるボランティアの方々が観察がしやすいように沼のそばの葦を一部刈ってくれました。

おかげで水辺にやってくる野鳥が見やすくなりました。今まで隠れていた視界が開け、

水辺を使うクイナの姿が少し垣間見られるようになったのです。

以前からシギ・チドリを観察しているときに、沼の上を飛んでいく姿をちら見しては

いました。ほんの一瞬です。

そして出てきたのです。黒っぽいドブネズミくらいの大きさの鳥が。黒褐色をし、黒い

土に紛れてしまう姿。短い尾羽を上にピンと立て、頭を下にし、前傾姿勢で歩いてきます。

くちばしは上と下が黒い。成鳥は下の嘴が赤っぽくて目立つので間違いなくヒナです。

すでに体格は親鳥に近く、生後2週間以上にはなっています。

初物はいつも感激です。45年ほど前、厚岸湾の沖合に浮かぶ大黒島を訪ねた時を思い

出します。ゼニガタアザラシの生態調査をしていた新妻昭夫(種の起源をもとめて・

ダーウインに消された男・ウォーレスの著者)が塒にしていたキャンプの周りでクイナ

の声を一晩中聞いたのです。ブヒブヒという豚の声に似た鳴き声、これに感激したな。

巣を見つけ、20個以上ある卵を発見。もしかしたら共同抱卵してるのかと思った

くらいです。

あれ以来、じっくり見ました。葦の中からでてくると警戒しながら餌を捕りだします。

道路に車が来るとすぐ葦の中に入ります。密集する葦の茎の間をするすると入って

行くのです。

横から見るとずんぐりむっくり、太めに見えます。でも正面から見ると幅が薄いのです。

毛の中を移動するノミ見たいです。狭いところを素早く移動できる体形に進化して

来ているのです。葦の中で生活するのには超便利です。

開けた水面に入ると周囲を気にし、素早く移動して行く持って生まれた警戒心。

なかなか目には触れるころができにくいクイナの生態です。

葦が生えてる中州では親と兄弟がちょろちょろ姿を見せていました。


ショウドウツバメの虫干し

2019-08-06 19:30:59 | 山野の鳥

ショウドウツバメの巣立ちヒナ300羽以上が野付半島にやってきました。8月に入ると

対岸の海岸段丘で繁殖していたショウドウツバメがこぞって湿原にやってくるのです。

羽化した水生昆虫の成虫が目当てです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

           ◆  ショウドウツバメの虫干し  ◆

その日の天候に寄りますが、彼らは高く飛んだり、低く葦の上や草原の上を軽やかに

飛び回ります。気温が高くなると、湿地の上は上昇気流が起こり、たくさんの昆虫が

飛び上がるには好都合です。

それを狙い鳥たちが集まります。ハリオアマツバメアマツバメ、ショウドウツバメ

など周辺で繁殖している鳥たち、さらに旅の途中で立ち寄るツバメチドリ、ハジロクラ

ハラアジサシ、クロハラアジサシなど。

どれも飛びながら昆虫を捕食することが上手い鳥たちです。中でもショウドウツバメが

いちばん多い。そのほとんどが幼鳥です。

幼鳥は背中の羽毛の羽縁が淡い褐色で縁取られ、ウロコ模様になっています。くちばしの

角がまだ黄色で弱弱しく見えます。

彼らは電線や船を止めるためのロープに止まって休憩します。一列になり止まり、時には

一斉に飛び出し、すぐに集まります。せわしく繰り返します。

そんな彼らが時々地上に降ります。凸凹の砂地を好み、まったりします。日が当たって

地面の温度はかなり高くなっています。体を傾け、翼を引き付け、胴体の羽毛が陽の光に

当たるようにしています。虫干しです。亀のように甲羅干しみたいにも見えます。

地面温度は40度以上あるはずです。くちばしを開けてハアーハアー呼吸をしてます。

羽毛をすべて立て、熱い空気を取り込みハムシやダニを振り払おうとしています。

湿気の多い土の洞で育てば寄生する虫はたくさんいます。カビ菌だってはびこります。

直射日光は彼らを追いだし、殺します。体の衛生を保つ大切な作業です。

気持ちよさそうでした。


オオジュリンとイトトンボ

2019-08-05 20:21:20 | 山野の鳥

砂嘴と砂嘴の間にできた湿地。この中に沼があります。沼は葦に縁どられています。

夏鳥としてやってきて繁殖するオオジュリンの好適地になっています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

          ◆  オオジュリンとイトトンボ  ◆

オオジュリンは湿地の氷が融けるころにやってきて、雪で押しつぶされた葦の

茎の中で越冬している昆虫や幼虫、卵をとりだして食べています。

夏季に入ると沼から出てきた水生昆虫やイトトンボ、ヨシにつく虫の幼虫など

捕りにやってきます。

捕食効率がいいのか頻繁にやってきます。葦の中で見ていると近くに止まって

周りを気にして、採餌して行きます。この時期に大量に発生するイトトンボは

比較的簡単に見つけることができ、子育てには役に立っています。

とくに早朝によくやってきます。おそらく水の中から出てきたヤゴが葦の茎に

上がり脱皮し、飛び立つまでの時間に捕っているようです。

ハクセキレイもたくさん集まりますが、彼らは空中を飛び回るイトトンボを

狙て捕っています。オオジュリンとは全く違う戦術です。

近くに来るオオジュリンを撮ろうとレンズを向けますが、葦の葉がいつも邪魔

してなかなかチャンスに恵まれません。それでも何度も捕りに来るうちに慣れて

くれて彼らの姿を収めることができました。

これからイトトンボが大量に出てきて、メスをめぐって水面で団子状態になる

ことがあります。おそらくオオジュリンが食べきれないほど、羽化しに上がって

くるヤゴが増えます。

ヒナたちにとり安心してお腹を膨らませる場所、それが葦原です。