コ~ちゃんは、奥の座敷で着替えをし、
調理師見習から、普通の若者に変身し出てきました。
髪は短めで、7:3のGIカット。
ベージュのステンカラーのコートにベージュの綿パン、ローファの靴。
寂しそうな眼で、マサと僕の方を向き、
『ご免ね』とだけ言い、夕暮れの道に出ていきました。
寂しくて、返す言葉がありません、、、
次にコ~ちゃんと会ったのは、月末の給料日でした。
『元気でね』と、お互いに言葉を交わしたのが、別れでした。
『戻って来たよ!』と云う言葉を聴きたかったのに、、、
又一人、馴染んだ仲間が店を去りました。
コ~ちゃんが辞めた後、マサと僕は朝から夜まで仲良く仕事をしました。
コ~ちゃんが居た時のマサと今のマサは別人でした。
大柄で年上のコ~ちゃんがいる事で、安心感があったのでしょうか、
二人の仲は、夜までではなく、銭湯に入り、11PMを見ながら寝るまでです。
二人だけの若い衆は、1か月以上続いたと思います。