随分前だが立川談四楼さんのインタビュー時、自分が咄家を目指した切っ掛けを語ってくれた。
「私は談志の鼠穴を聞いて体が震えたんですよ。これは凄いと。咄家に成ろうと決めたのは談志の鼠穴のせいですね」
談四楼さんとはほぼ同じ年代なので彼が聞いたのは恐らくNHKの長講一席というラジオ番組ではなかろうか。
45年以上は前の番組で水曜の午後九時から十時まで、タイトル通りに長い演目を取り上げていた。
勿論落語以外にも講談や浪曲も掛かり私は落語以外には殆ど聞かなかった。
そんな中に談志の鼠穴があったのである。
当時は確か中学生で布団に入り電気を消して聞き入っていた。
これは一体どうなるのか?希望があるのかそれとも絶望か?
まあ聞き終えた時の感覚は今でも覚えている。
感動というのか鳥肌ものというのか放心状態というのか。
談四楼さんも同じような状態に陥ったのだろう。
実に良く解る。
今年襲名で多いに名を売った今を時めく神田伯山、彼が話芸の道へと進むきっかけがやはり鼠穴を聞いたからだというので驚いた。
年齢はかなり違うから恐らくリアルタイムの放送ではなく何かの音源だろう。
あの時の噺の出来はかなり良かったと思う。
談志の何時もの口調が聞こえてくるようだ。
「どうだ、あの時の俺の鼠穴を聞いたか!」
っとね。
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