60年程前の話。
幼い頃からシャイな性格で、長じても、未だに治ったとも思えない。
初恋と言うのかも知れない。
当時北九州の中学2年。
相手から話しかけて来た。
少しずつ話し出したが、気の置けない程の仲にはなれずにいた。
半年位して、担任から彼女が転校すると発表があった。
突然の話に動揺もするが、なす術もない。
元の住まいが近所だった、すぐ後ろの席の女子に、彼女の住所を聞き出した。
今まで、そんなに親しく話す仲でも無かった彼女に、急に手紙など出しても戸惑うだけではなかったのか。
「急な転校でびっくりしたけど、寂しくなったから、手紙を出した」みたいなもの。
彼女は私が住所を聞いた女子に、経緯を話してどう対応すれば良いかと、相談していたらしい。(これは後日談)
にべも無く断れずに、当たり障りのない手紙が帰ってきた。
初めは嬉しかった。
その後数回に及ぶやり取りで、文通は途絶えてしまった。
私が途絶えさせてしまった。
結局は振られたのかな。
一方的に上げた熱が少しずつ冷めて行った。
初恋は実らないと言うが、スキルも無い子供に、相手が興味を抱く筈もないだろう。
思い返すから、甘酸っぱいのかも知れない。
幼い思い込みが生み出す、幼い感情なのかも知れない。
だから、初恋と言うのかも知れない。