爺さんが伝えたいこと

寡黙に生きて来た爺さんが、一つの言葉ででも若い人達の役に立つならば、幸いです。

信頼関係を築く

2022-01-14 17:50:04 | 日記
人は100%の善を持っていない。

また、100%の悪も持っていない。

人はみな、善と悪の二つの種を持って生きている。

ただ「人が利己的な欲望に向かって、突っ走れば必ず破滅する」…これは二宮尊徳の言葉である。

彼は若い頃から「論語」「大学」「中庸」や仏教・禅・神道など、広く東洋や日本の伝統を学んで、自分自身の人間学を確立しているが、決して現実を忘れず、貧しい生活に悩む町人や農民の為に、優しい言葉で分かりやすく、常に真心を込めて、人生の生き方を説いた。

彼は人を思いやる愛と誠の心があれば、社会は明るく幸福になると、主張し続けた。

そして、貧しい農村を救う為に、全身の汗を絞りきって働いた。

高い理想など、一つも掲げなかった。

いつも身近に起こってくる現実の問題を、どうやって解決するかに奔走し、貧困と飢饉にあえぐ多くの藩や村を救済した。

尊徳の名の通り、天徳を尊び人をこよなく愛し救った彼こそ、仁の人であった。

ここで考えなくては、ならない事がある。

二宮尊徳がいかに「仁」の人であっても、彼の努力が若い頃から、実った訳ではない。

彼が成功を収めた唯一の理由は、村の人が徳化した二宮尊敬を信じたからである。

彼の思いやりの心も民への愛も、市民の信が有って初めて、実現したのである。

「民信無くんば立たず」

政治家がいくら良い政策を打ち出したとて、国民が政府を信じなかったら、絶対に実らない。

尊徳も市民の信頼を得るまでは、すさまじい苦労をしている。