宇宙のモノサシ「天尺」の善悪の見分け方は、まことにサッパリしている。
人間みんなの生命が、宇宙の生命である事を自覚し、深く宇宙に感謝する。
宇宙の生命を生きている多くの人を、真心込めて思いやり、みなと手を取り合って楽しく明るく生きている人…これが徳人であり、善人である。
みんなの生命の元が大自然であり、大宇宙である事にまったく無関心で、いま自分の頭に浮かんだ事が、絶対であると考える。
常に自我の考えを人に押し付け、相手がそれを認めないと、すぐに攻撃的になって他人を大切に思わず、痛め付けている人…これが不徳の人であり、悪人である。
人がどんな良い考えをもった処で、いずれはその良い考えに裏切られて、破滅する場合が多い。
その良い考えをよく検討すれば、良い考えとは単に自分にとって「良い」だけだったのである。
大徳はエゴイストには、手を貸したがらない。
宇宙は人を思いやり、他人に喜んで尽くす徳のある人を、裏切る事はない。
「不仁を悪む者は、其れ仁を為さん」と孔子は言う。
思いやりのない人を、天は悪む。
では、天が悪む思いやりのない人とは、どんな人なのか。
何よりも、まず自己中心的で人に負ける事、人に遅れる事が絶対に嫌だと想っている。
自分の発言した事が、人にどう影響するかに、まったく気が回らずに、大声で怒鳴り散らす。
言いたい事があると、時や場所をわきまえて我慢する事が出来ず、憎まれ口をきく。
人とよく衝突する。
常に過剰な競争心を持つ。
欲張りな上に見栄っ張り…。
こういう人には、天は「仁」の心を持って欲しいと、願っているだろう。