ワインを前に考える。

一人でワインを飲みながら、チーズを食べている。
幸せなひとときだ。

本でも、読もうと思い、何かいい本はないかなと、本棚に目をやると、嫌われ松子の一生が目にとまった。
熊本に来て、初めて買った本だ。
初めの数日はホテル暮らしだったので、夜は一人、お酒を飲みながら、その小説を読んでいたのを思いだした。
内容も鮮明に覚えている。
仕事に行っても、熊本のことが、右も左もわからなかったので、正直、つらかった。
そういう時、本を読むと、自分が経験しているかのように、頭の中を映像が通り過ぎていく。
あれから５年。
少しでも成長した？駄目になった？
酒を飲むと、そんなことを考え始める。
正直、わからない。
短所は減ったものの、長所は退化したような気がする。
要するに、小さくまとまってきたような気がする。

大胆さがなくなり、無難に無難に行動するようになった気がする。

大人にやっとなれたのかもしれない。

それもまた、悲しい。
松子のような生涯はおくりたくないが、波乱に満ちた人生もまた、興味深い。

もう、一勝負する時が必ず来ると信じている。

お金持ちになるのが目標ではない。
何か、みんなができないことを成し遂げるのだ。
細かいことはできるにこしたことはない。
が、それができはじめると、それが全てのような感覚に陥る。
大きなことを見失ってしまう。
もう一度、日本人が幸せを感じるために何が、一番大切なのか、考える必要がある。
僕は、必ずたどり着いて、それをつかむつもりだ。

働きながら、勉強しながら、お酒を飲みながら。