深夜一時、仕事から車で帰宅していると、ラジオから、カーペンターズのスーパースターが流れてきた。
満月の光の中、カーペンターズを聞きながら運転していると、15年前の記憶が甦った。
当時、僕は今の会社の日向の地の新入社員で、10時半になると、必ず、カーペンターズのイエスタデイ ワンス モアを流すことになっていた。それが流れると、生徒は全員帰らなければならなかった。
全てがよき思い出で、今と同様、一生懸命だった。
まだ二十代半ばの僕は、今から考えると右も左も分からない状態であった。
ただ一生懸命が伝わったのか、生徒には人気があったと思う。
その時の上司の名を海老原研一という。
先生は激しく怒鳴る反面、異常に優しかった。認めてくれる上司がいつも、近くにいてくれるだけで、どんなに忙しくとも、頑張ることができた。
2年目に責任者になり、それから数年は他社員との仲がうまくいかなかった。出社の時、何度も建物の周りをまわり、中に入るのに踏ん切りがつかないことが多々あった。生徒だけが心の支えだった。
そして、5年ほど前、熊本に配属になった時、その時の熊本全校の長が海老原先生であった。教室は違えども、久々に再会して、心踊ったことを思い出す。
残念ながら、先生は二年前、宮崎に戻ってしまった。
責任者が長い今でさえ、海老原先生にとって、僕は新入社員のむままで、いつまでも頭が上がらない。
今、同じ職場に一緒に一生懸命、働いてくれる素敵な社員がいる。本当にありがたい。
ただ一つ思うのは、もう数年、海老原先生のような素晴らしい上司のもとで働いていたら、もっといい仕事ができるようになっていたかもしれないということだ。
そんなことを考えようが、時は戻らない。目の前にあるものに全力を注ぐしかない。
音楽は全てを思い起こさせてくれる。
また明日もラジオに耳を傾けよう。
懐かしい自分に会えるのを期待しながら…