私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

今は一体いつなのか?

2019-11-09 19:00:09 | 雑感
失楽園の翻訳は覚悟の上ながら難航しております。
そちらとは別に、今しがたTV中継で眼にした天皇即位を祝う国民祭典の映像について私見を記します。
皇居前に集った観衆による君が代の合唱につづいて、行進曲を背にして「天皇陛下万歳」と叫びながら旭日旗を振る人の集団を眼にして、私は自分が典型的な戦前の大日本帝国の映像のパロディでも見ているような悍ましさを感じました。心底からの熱狂ではなく、「いかにもそれっぽい」浅薄なシュミュラークル。個人的に、私は現皇后陛下の美しさや学識に憬れを抱いていますし、現に存続している皇室そのものを今すぐ廃止するべきだとは思っていません。しかし、それは、七十余年前に本来であれば終結するはずだった旧い社会の伝統が御しがたい偶然によって残ってしまった結果の、美しくはあってもいずれ消えてゆくべき過去の幻影のようなものだと思っています。君主制はかつての社会には必要なものであったにせよ、今はもう必要とされていない。それを無理やり存続させることは、かつて確かに美しく高貴であったものを醜悪かつ滑稽に貶めるやり方でしかない。そんな憤りを感じました。


コメントを投稿