日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

大正ロマン漂う駅舎「白河駅」がダイハツCMに登場

2020-11-08 17:42:40 | 大正時代
ぼんやりと、もしかしたら寝ぼけまなこでテレビを見ていたら、CMで、私の実家のある福島県白河市の、白河駅が映っている・・・?車のCM=ダイハツのCMでした。
後で思い出してネットで調べてみたら、「ムーヴ キャンバス」という軽自動車のCMらしいです。

ニュース記事も載っていました。

ひそかに話題!全国放送の軽乗用車「CM」 JR白河駅が登場
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20201108-555509.php

今月から全国放送されているダイハツ工業の軽乗用車「ムーヴ キャンバス」のCMに白河市のJR白河駅が登場し、ひそかに話題となっている。
CMは何げない生活の一場面がいつの日か彩り豊かな大切な思い出となる―とのメッセージを込めた「COLORING LIFE 駅」編(15秒)。歌手藤原さくらさんがカバーした名曲「君は天然色」に乗せ、駅の夕景と制服姿の女の子を迎えに来る1台のキャンバスが収められた。
白河駅は大正時代に建築され「見た人の記憶にあるかもしれない趣のある駅舎」としてCMの舞台に選ばれた。ツイッターでは「見覚えがある」などの投稿が寄せられている。


そうなんです。私も過去に何度かこの白河駅のことは書きましたが、大正時代に建てられた木造の駅で、三角屋根が印象的な、ステンドグラスがはめ込まれていたりするおもむきのある駅なのです。私も高校時代はこの駅を使って通学していました。
今の駅舎は、1921年に改築されたものとのことですから、来年で100周年になるのでしょうか?

原宿駅もとうとう古くからの駅舎がなくなってしまった?のでしたっけ。そういう中で、白河駅が100年前のたたずまいのままこのように残っているのは、新幹線の停車駅にならなかったからというのも大きいと思います。新幹線の停車駅は、隣の「新白河駅」になっています。
新白河駅前には大きなショッピングセンターなども立ち並び、新興住宅地も周辺に開けて、そこから東京まで新幹線通勤している人たちもたくさんいます。一方で、もともとの中心市街地である白河駅前は、少子高齢化などもあり、今ではいつも閑散としていて、白河駅の利用者も、新白河駅より少ないです。

私は、子供の頃、白河駅から徒歩20分ほどのところに住んでいて、このCMのように、時々父親に車で迎えに来てもらっていました。
身近に使っていると、そんなにその駅のおしゃれさ・良さというのはよくわからなかったのですが、うちのだんなが結婚してから白河に折々に来た時に「この駅気に入ってるんだ。」というのを聞いて、なるほど、言われてみれば、と、見直しました。

ダイハツ公式のYouTube

https://www.youtube.com/watch?v=mCfm4Rmu8Jk

動画を見てみました。夕闇迫る白河駅をバックに、女子高生?らしい女の子が、迎えに来た車に乗り込んでいきます。
しかし、実際には、あのような所にベンチはないし、迎えに来たなら、車は駅の出口に止めるし(CMでは白河駅を向かい側に見ている)、森のような木が生えていて、雰囲気がありますが、あのような木は実際はありません。あったらすてきですが。合成なんでしょうか。
また、あのようにあか抜けた後ろ姿の女子高生は、白河にはいないなあ(笑)。

震災後、福島県を応援するために、訪れてくれる人が増えました。白河駅にも、そんな旅人が降り立って、駅舎を眺めている、そんな姿を何度か見かけました。100年も残っている駅舎、これからもずっと残ってほしいですし、この駅を訪れてくれる人が増えてくれたらうれしいです。

でも、白河って、観光地としてはあんまり、なんですよ。白河駅のホームからお城が見えたり、白河ラーメンがちょっと有名だったり、南湖という、松平定信が作ったという日本最古の公園とか、白河の関もありますけど、車がないと移動しづらいです。近隣の観光地を周ったついでにでも、立ち寄っていただければ、という感じでしょうか。とても静かで、落ち着く、ということは、間違いないです。

司馬遼太郎さんが『街道をゆく』で白河も訪れていて、そこには「野バラの教会」として、聖ハリストス教会のことも書かれています。私にとっては、とてもよくわかる、こじんまりとした野バラがフェンスにからまった教会です。この野バラのからまった感じが、白河に似ていますね、とたしか書いてありました。本当にそんな街です。

白河駅は、東北の駅百選に選ばれ、「ステンドグラスのある赤瓦の屋根の大正ロマン漂う駅舎」ということになっているようです。CMで見かけたら、注目してやってください。来年で100年になる?駅舎です。



これは私が過去に撮った写真ですが、結構CMと角度が似ているかな。

過去の白河駅に関する記事

「歌枕」白河の関

手前味噌の話題でお粗末さまでした。

「歌枕」白河の関

2012-11-04 03:35:13 | 大正時代
先日の中間考査で、古典の試験監督をしていたら、私の実家である福島県白河市にある「白河の関」のことが試験問題になっていたのに気が付きました。
松尾芭蕉が行きたくて焦がれた「奥の細道」の玄関口です。古くは、能因法師が

「都をば霞とともに立ちしかど 秋風ぞ吹く白河の関」

と詠んだ場所です。京の都を出発した時には、春だったのに、白河の関に着いた時には、秋になっていた、というわけですね。それだけ白河の関は遠いという。
しかし、現代では白河から京都まで、修学旅行でも新幹線で行けば数時間で着いてしまいます。
白河から東京まで毎日新幹線通勤している人もいます。

とにかく、おそらく授業で白河の関のことをやったのでしょうが、多くの人が白河の関を歌に詠んでいると。そういう場所を漢字二文字で?何というか、という設問があったと思います。私は、ちょっと考えて、ああそうか、と答えがわかり、皆さんの答案をざっと見たのですが、ちゃんと答えられている人があまり多くなかったようです。答えは、たぶん「歌枕」ですよね。覚えてくださいよ~。

白河は小さい地方都市ですが、史跡がたくさんあります。日本史の教科書にも、これから学習する部分で「白河」は出てきます。




この写真は、白河駅です。あまりいいお天気ではない日に撮ったのでさえませんが。大正時代に建てられた駅舎がそのまま残っています。これだけ古い駅舎は日本中でもなかなかありません。だいたい、建て替えられてしまいますからね。

今、東京駅では改修を終えて、大々的にイベントが行われ、見学するお客さんがたくさん押しかけているようです。東京駅舎は来年2013年で100周年となるそうです。1914年に竣工したので東京駅も大正時代の建物になります。白河駅は、東京駅よりも6年ほど遅い1920年にできたようですが、同じく大正時代で、東京駅と白河駅は同時代の建物ということになります。

白河駅舎は、ステンドグラスがはめ込んであって、木組みが美しく、しっかりした造りをしています。
大正ロマンを感じる駅としてファンも多いようです。

この駅には新幹線は停車せず、隣の新白河駅が新幹線の駅になっています。地理的な問題などさまざまな理由から、新幹線の駅は新白河になり、市街地にある白河駅は在来線の駅のまま、駅舎を改築されることをのがれて、今に至っているのです。白河駅が新幹線の駅にならなくて本当によかったと思います。奇跡的に、今、ひっそりと白河の街にたたずんでいます。
これからも、火災で失われたりすることがないように、しっかり建物を保存してほしいと願っています。

ちなみに、私の実家は、この駅から歩いて15分くらいの所にあります。

白河も、震災でお城の石垣が崩壊したりして、沿岸部ほどではないにしても、さまざまな被害を受けました。今も、石垣は崩れたままです。白河の話は、また後日。