日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

今年は漢字一文字で? 2017

2017-12-28 19:05:40 | 日記
私も冬休みに入ることにしまして、いろいろできそうだけどと考えているところです。
去年は「ぐるっとパス」を使って、結構年末まであちこちの博物館を見に行っていたようでしたが、この冬はなんといっても学芸員資格課程のレポートを一つ書かねば。レポートを書く感覚も忘れつつあり、よろしくない状態です。

さて、日本漢字能力検定協会による今年の漢字は、「北」でした。
このブログでも去年、自分自身の漢字一文字について記事を書いており、今年も書いてみることにします。
ちなみに去年は博物館にたくさん行ったので「博」でした。

今年は、「始」かな、と浮かびました。

このブログのテーマである「日本史」とは直接関係があるわけではないのですが、今春、職場を異動し、教員になるときから、やりたいと考えていたことに、関わることができる環境に身を置くことができ、やっとこれからスタートだな、という思いがあるためです。いい歳をしてこれからスタートって?という向きもありますが、私にとってはいい頃合いかなとも思います。
いくつになっても、何かしらの新しいスタートって切れるものですよね。そうしていつもわくわくできたらいいですね。
自分自身が取り組んでいるものについて、満足のいく状態になるためには、何年もかかることですが、一歩一歩着実に進んで行きたいと考えています。1年目からすでに、ありがたいことが起きて、よい歩みができたかなという感じはしています。

日本史に関しては、久しぶりに、存分に日本史の授業を担当することができて、そういう意味でもよい年であったかなと思います。冬休み中も勉強して、3学期もよりよい授業ができるようにしたいと考えています。

さて、去年のこの漢字一文字の記事の折に、現役奈良大通信生の普通検索観音さんのブログ「奈良!奈良!奈良!ときどき京都」を紹介していました。

今年も同様に、最近、現役奈良大通信生の新たなブロガーさんとご縁ができましたので、こちらに紹介させていただきたいと思います。

「奈良大学通信まよい鹿」 

瓊花さんは、なんといっても奈良にお住まいということで、現地ならではのマニアックな情報もたくさんお持ちで、とても勉強・参考になりますし、現役の奈良大通信生の方には有益な話題でいっぱいです。ぜひ訪れてみてください。

さて、今年の写真ではないのですが、前回からの旅の続きで、長谷寺参詣の後、午後には奈良市内へ移動し、シカさんにシカせんべいを、そしてシカさんと紅葉の写真を・・・という目的で参りました。しかし、紅葉の観光シーズン真っ盛りで、観光客がこぞってシカせんべいをあげているものだから、おなかがいっぱいらしく、せんべいに見向きもしないシカさんだらけでした。いつもはせんべいくれくれと襲撃されるのに。
少し場所を移動して、やっとおなかを空かせたシカさんにも出会うことはできました。

せんべいをあげた後、もうないよ、と言っても、しばらくついてきた、人なつこい印象のシカさん。


シカと紅葉、という、まるで花札の絵柄のような・・・写真も撮ってみましたが、曇天だったため、いまひとつでした。しかし、紅葉の季節に初めて奈良を訪れることができたのはよかったです。

今年は、4月以降では奈良に1泊2日で行ったのみ。あとは2、3月に日帰りで奈良大へ科目修得試験を受けに行ったので、一応3回は行けたことにはなりますが、去年と比べると激減しました。
来年は、今年よりは奈良に行きたい、と考えています。夏には博物館実習に行けるかな?というのが一つ大きなポイントです。そのためにも目の前のレポート作成、がんばります。

長谷寺の観音様のおみあしをさする

2017-12-24 02:58:20 | 旅行
世の中はクリスマスとお正月準備の季節ですが、ここでは前回の続きで、去年の紅葉の季節(2016年11月23日)に長谷寺を訪ねた話題です。
前回までが吉野の記事でした。その夜は大和八木のホテルに宿泊しました。翌日の朝食は『飛鳥・藤原の朝ごはん』とのことで、古代米か何か出てきて(もう記憶がない)ちょっと工夫されたごはんでした。

朝のやや早い時間に長谷寺に向かいました。長谷寺来訪は、私は2回目でした。
少し早め(と言っても9~10時台くらい)だったので、観光客の出足はまだ少なめでした。参道を歩いていると、あちこちのお店から「おはようございます。」と声がかかりました。あるお店では、おばさまが小走りで駆け寄って来て、つくりたての温かい草餅をサービスで手渡してくれたりもしました。とにかくそんな感じで、町の雰囲気が朗らかで温かいのです。おはようございますとの声が多かったのは、朝早かったから、というより、そのように声かけをしましょう、と励行されているのかもしれません。しかし自然な感じで、明るい挨拶で、よい人たちの多い町なのだなと思わされました。
以前、長谷寺については記事を書きました。
「奈良県桜井市への移住はいかが?」
昨年2月、「桜井市魅力満喫セミナー」に参加した時の記事です。
そのイベントでは、この長谷寺界隈への移住も促進しているようでしたので、そういう取組みとのかねあいもあって、地域が一体となって、意識を高く持っていらっしゃるのかもしれません。
実際に移住するのは大変なことも多いと思いますが、よい所だと思います。


この登廊の雰囲気がとても好きです。紅葉も見えてまた格別でした。

長谷寺は、真言宗豊山派の総本山。わらしべ長者の話が私は好きですし、万葉集にも「初瀬」という言葉がたくさん出て来ますし、三輪山の真東にあり、さらに東に室生寺があり、さらに東に伊勢神宮の元伊勢?斎宮跡?があり、この位置関係について個人的に興味があります。

上記の「桜井市魅力満喫セミナー」における長谷寺の東京出張所の所長さん(お坊さま)のお話から再掲しますと、

「伊勢神宮ができる前に、アマテラスは長谷寺の建つ前の土地に住んでいた。そこに観音様を造った。」

という話が興味深かったです。
長谷寺と近くの與喜天満神社には共通点があり、太陽信仰と関わりがある記事を読んだことがあります。ここではあまり掘り下げないことにします。

ちょうど、「長谷寺大観音特別拝観」というのをやっていて、観音様の足をさわって、お願い事をすることができるとのことでした。せっかくですので入ってみました。

入口で、手を出してください、と言われ、ごく少量の、香りのする粉を手のひらにいただきました。塗香(ずこう)といって、それを両手に塗り広げることで、体を清めるらしいです。後で売店で買ってみましたが、独特の香りがします。伽羅、白檀、鬱金などが調合されているそうです。また、五色の紐を撚り合わせた太さ5mmくらいの紐を手首につけられます。これで観音様とのご縁が結ばれるとか。ネットで改めて確認すると、「結縁の証」の五色線というようです。長谷寺HPによると「せっかく結縁しましたので近くに付けて頂けると有難いです。」左腕につけるそうで、「毎日腕につけて頂いても良いのですが、根付にして鞄や車につけて頂いても良いでしょう。」とのこと。机の引き出しの取っ手に縛り付けていましたが、もうちょっと場所を考えましょうか。

中に入ると、やがて薄暗い中にすっくと立つ大きな観音様の足元に到着します。願い事をしながら観音様の足をさすってください、と言われたような気がします(1年前なのでもうあまり覚えていない)。見上げれば、観音様のお顔も見えます。観音様の背の高さは10m18cm。大きいです。
観音様の足はつやつやしていました。あまりごしごしさすってがつがつお願い事をするのもなんかな、と思って、控え目に足をさわらせていただきました。
http://nara.jr-central.co.jp/campaign/hasedera/special/sp_jyu.html
(うましうるわし奈良HP)
観音様は、座っているのではなくて、立っていらっしゃるのですね。長谷寺では、観音様の足元は一般の拝観ルートからは見えません。
その一般の拝観ルートに戻って、正面から観音様を拝見させていただいたり、広いお堂の中を見回したりしてきました。私はこのお堂の雰囲気も好きです。



お堂の天井にこんな方角を示す盤が吊り下げられていました。

撮影不可の像の中で、雨宝童子(赤精童子)というものがあって、初瀬山を守る八大童子の一人とあり、解説の最後に「伊勢神宮の御神体である天照皇大神(あまてらすおおみかみ)としても崇められる。」と書いてあったことに私は反応しました。そういった太陽信仰、アマテラスとの関係など、今後も考えていくうえでこうした像の存在も心にとどめておきたいと思いました。
上記のリンク先の記事にも、「本尊は天照大神の本地仏」との文言があり、そもそも観音様がアマテラスであったりするようです。観音様は磐座の上に立っている、というのも興味深いです。

紅葉も、盛りは過ぎていたようですが、きれいでした。清水の舞台のような張り出したスペースがあって、いい眺めです。


以前来た時は6月でした。また違う季節に来てみたいと思います。ちょっと奈良市内からは遠いので、なかなか来れませんけれども。

まだまだ昨年の出来事で書いていないものがたくさんあります。やっと仕事も年内は一段落しましたので、こちらの更新と、学芸員資格課程のレポート作成に精を出したいと思います。
ある生徒に、「先生冬休み何するんですか?」と尋ねられ、「うーん、勉強。」と返事しました。学芸員資格を取るためのレポート書かなくちゃ、と生徒にも言いましたので、有言実行です。2本くらい書ける??さてどうなるでしょうか。

吉野よく見よ・・・

2017-12-09 16:55:06 | 旅行
前回の続きで、去年の紅葉の季節に吉野・長谷寺を訪ねた時の話題です。
2016年から運行を開始した、近鉄の「青の交響曲(シンフォニー)」という名前の観光特急列車があります。大阪阿倍野橋を出て橿原神宮前を通り、吉野までのルートです。1日に2往復しかないのですが、時間が合うからもしかして空席ないかなと窓口で当日尋ねたのですが、空いていませんでした。まあそうですよね。

橿原神宮前駅のホームでその「青の交響曲」に遭遇しました。車内にはすてきな明かりが灯り、何やらおいしそうなものを食べている乗客たち。ホームでそれを見ていたお客さんが「喫茶店やな。」とか話していました。

吉野駅に着いた時にも、ホームにその列車はありました。いい雰囲気ですね。大阪から吉野に遊びに来る人には特にいいかもしれません。

吉野駅は近鉄吉野線の終点になるわけですが、私は、飛鳥までは電車で来たことはあっても、その先は未知の領域で、車中、とてもわくわくしました。寂しいくらいの里山にどんどん分け入っていく感覚・・・京都や奈良といった都から、こんな遠くまで、天武天皇、持統天皇、藤原道長、源義経、後醍醐天皇、豊臣秀吉・・・まだまだいますがおびただしい歴史上の人物が、訪れ、滞在してきた場所なんだなあ・・・と、不思議な気持ちになりました。秋でもあるし、寂しい風景も途中に見られますが、昔から多くの有名無名の人々が往来した地域であり、歴史の積み重なりを感じられるような空気が漂っている気がしました。
「吉野駅」に降り立ってみて、改めて「吉野」という地名の風雅さを感じました。

「よき人のよしとよく見てよしと言ひし吉野よく見よよき人よく見つ」

今書きながら、こんな歌があったよな、と心に浮かびましたが、これは天武天皇が吉野宮に来た時に作った歌だそうですね。『万葉集』の巻1(27)にあるようです。

「昔のりっぱな人が、よき所としてよく見て『よし(の)』と名付けたこの吉野。りっぱな人である君たちもこの吉野をよく見るがいい。昔のりっぱな人もよく見たことだよ。」

吉野は、紅葉が散り始めていて、平日だったので人も多くなく、のんびりと、風情を楽しむことができました。途中でおそばを食べたりしましたが、やや混雑してました。桜の季節や休日はもっとごった返して大変なんでしょうね。

金峯山寺については前回も少し書きましたが、巨大な蔵王権現さんの「特別御開帳」をやっていました。仁王門は国宝だそうですが、修理していました。この仁王門の修理勧進のための御開帳でした。オリンピックがあるから化粧直しなのか、奈良などのかなりのお寺では、改修工事をやっています。どこもかしこも・・・という感じ。長谷寺もそうでしたし、東大寺も少し前に行ったらそうでした。


蔵王権現の御開帳は、料金がちょっと高めでしたが、お守りの木札と「特製エコバッグ」をいただきました。何しろ蔵王権現さんは、ものすごく巨大です。写真は不可でしたのでありませんが、像の前の畳スペースに座って、見上げるようにしてしばらく拝観させていただきました。濃い青の、憤怒の表情で迫力があります。こんな山の上にこんな大きなものが・・・と感銘を受けます。一見の価値はあります。

また、その権現さんの足下に障子で仕切った小さいスペースがいくつかあって、お寺の方に誘導してもらってその中に一人ずつ入ってお祈りするような場所がありました。名前を忘れてしまったのですが、面白い名前でした。懺悔の部屋みたいなもののようでした。権現さんに心を打ち明けて祈る場所です。お金は別料金だったのか、よくわかりませんでした。


「南朝皇居 吉水神社」という看板に導かれて、そちらにも立ち寄りました。この「皇居」というのも正確なのかわかりませんし、境内に音声がスピーカーで流れて有料エリアにお客さんを呼び込むような感じなどが違和感ありました。宮司さんなんでしょうか、気さくな感じでご自分でお札などを売りさばいたり、入場料を受け取ったりしていました。
中には義経や秀吉などのゆかりの品が展示されていました。


室内から遠くに望む金峯山寺が、とても美しく見えて、他のお客さんも声をあげていました。
春には「一目千本」の桜を見渡せる場所がありました。
吉水神社前の坂の紅葉もきれいで(以前の記事にも掲載)、そこの途中の狛犬さんも、一眼レフ効果でなんとなくよさげに撮れたので載せておきます。


吉野はまだまだ後醍醐天皇ゆかりの寺など奥深くにたくさんあるようでしたが、我々はほんの少し歩いただけで戻って来ました。いつか桜の季節にでも宿泊するなどしてゆっくり来ようと思います。

戻る途中で、「静亭」という、義経の彼女の静御前にちなむお店に入りました。静御前が舞を舞ったという勝手神社の前にあります。
http://www.yosino-sizukatei.sakura.ne.jp/index.html
ここで、吉野といったら「くず」だよな、と、くずの甘味をいただくことにしました。


確か、くずしることくず餅のセットだったと思います。もちろんおいしかったですよ。

気候も穏やかで、静かで、秋の吉野の空気をゆっくり味わうことができました。良き、吉野の旅でした。

とりあえず今日はこんなところで。次は、長谷寺のことでも書きましょう。