日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

漢字検定と日本史

2012-10-28 20:53:47 | 受験
今日は、漢字検定(準1級)を受験してきました。
種類を問わず、受験をするということは数年ぶりでした。これに落ちたからといって大して実害はないのですが、受験というもの自体久しぶりだったので、ちょっと試験前から緊張しました。
少しは大学受験生の気持ちに近づくことができたかなと思いました。

試験の出来は、結構よくて、合格しているといいな、と思います。
準1級の合格率は、今年度第1回は3.8%だそうで、2級が24.5%、準2級が34.0%、と以下、だんだん合格率は高くなりますが、準1級は恐ろしく低いです。1級の方が7.1%とむしろ高かったようです。
受験生は、年配の人も多かったし、まあまあ若い人も多かったです。ただ高校生らしい年代の人はいませんでした。高校生は、こんなマニアックな勉強をしている暇はないのでしょう。逆に、小学生?っていう雰囲気の子供もごく少数でしたがいました。すごいですね~。
夏目漱石や中島敦などの文章からも出題されていますから、こういう時代の作家の文章にも親しんでいないと、難しい世界かもしれません。

問題は、私は解いていて面白かったです。自分で勉強した所がばりばり出たり、類推して勘で書いたら当たっていたり・・・逆に悔しいミスもありました。

注意書きに、
「見落としや早合点のないよう、くれぐれも注意してください」
と書いてあるのが私は妙にウケてしまいました。「早合点」なんていう言葉は、たぶん大学入試の問題用紙には書いてないでしょう。
実際、早合点したりしやすい問題なのです。よく見直すと、そういうミスに気付いたりしました。見直しは大切です。

日本史に関係ある言葉も漢字検定ではよく出てきます。
例えば、「文治」の対義語を考えなさい(ひらがなで選択できる言葉のグループがあって、そこから選んで漢字で書く)という問題が今回ありました。答えは「ぶだん」=「武断」になります。

ちょうど今、授業では、家綱や綱吉の時代にさしかかっていて、金曜日も「文治政治」のことをやったばかりでした。

他にも、
「俗臭の無いコウトウ的な作風である。」
の「コウトウ」を漢字で書きなさいという問題。
これはわかりますか?国語の文学史でもやるのかもしれませんが、日本史でも夏目漱石は「高踏派」に属するというふうに明治の文化で整理されます。というわけで「高踏」になります。

徳富蘆花の文章からこういうものも出ていました。
「僕が曽て欲しがって居た葡萄蔓をマキエにした手箱に、・・・」

この「マキエ」を漢字にしなさいというもの。これも日本史学習に関係ある言葉ですね。
答えは「蒔絵」です。

・・・といくつか書きましたが、正解をもらえたわけではないので、間違っていなければいいですけど。

日本史や国語など、学習する中身がどこかでつながっていたりする。それを引っ張り出して来れると楽しいです。ひいては、わが学年で時々やっているクイズ大会などでも正解が多くなるし、もちろんテレビなどのクイズ番組にも強くなります。
アンテナを高く張って、知的好奇心を持って、目に入るもの、耳に聞えるもの、すべてから、できる限りのことを吸収してほしいと願っています。まだ若い皆さんは、記憶力もすぐれているのですから、貪欲に知識を自分のものにしてください。

皆さんは、今日の模試や学習の成果はどうでしたか?時々ひと休みしながらも、たゆまず努力を続け、自分を高めて行ってください。
私は、この漢字検定の学習と受験の経験によって、受験生の皆さんの気持ちに少し近づけたというのが収穫の一つでした。これからも皆さんと一緒に受験に向けて走って行きたいと思います。

目の前のことにベストを尽くせ!

2012-10-27 21:19:29 | 受験
明日、模試を受けるという人も多いのかなと思います。皆さんが勉強をがんばっているのならば、私もチャレンジしてみようと急に9月の半ばくらいに思い立って、明日、漢字検定の準1級を受ける予定です。

大学時代、史学科のある授業の時に、私たちの学年の指導教官の先生が、就職時に史学科のメリットがあるのかどうかという話をし、もし面接で、史学科で勉強して何の役に立つのですか?と聞かれたら、
「はい、何の役にも立ちません。ただ、漢字には強いです(笑)。」
と答えなさい、と先生は言いました。まあそうなのかなあと苦笑しました。日本史を勉強したからといって、すぐに企業で役立つ知識を持っているわけではありません。このへんはいつか話題にするかもしれませんが。

とりあえず、漢字に強いかどうかですが・・・
日本史専攻、特に古代史専攻の私たちは、諸橋轍次の『大漢和辞典』という十巻以上もある漢和辞典と首っ引きで『続日本紀』(しょくにほんぎ)などの漢文を解読していました。
漢字に強いと先生はおっしゃいましたが、みんながみんなそうとは言い切れません。私も、漢字は嫌いではないですが、難しい漢字はあえて使わずひらがなで書く方です。

漢字検定の準1級の問題をざっと本屋さんで見て、このくらいなら太刀打ちできるかな?と判断し、受けてみることにしました。1級はとてつもなく難しく、ちょっと無理かも?時間をかけてどうだろうか?という印象でした。

しかし、突然思い立ってから試験まで1ヵ月半くらいしかなく、突貫工事での準備でした。そんなに勉強に時間を割けるわけでもなく、電車の中で眺めるくらいの日が多く、平均しても1日20分もやったかどうかです。
これと決めた問題集1冊を、繰り返しやりました。完全にわかった問題はつぶし、繰り返すスピードを早めていきます。勉強のやり方は、大学受験でもあまり変わらないと思います。
1冊を1ヵ月強で5回くらいはやったのではないかと思います。

皆さんも、1冊の問題集をしつこく繰り返し3回以上はやれるように計画してほしいです。
1周もしないで本番を迎えてはいけません。

漢字検定では、四字熟語もたくさん覚えなければなりません。その中で、印象に残ったものを紹介します。

「玩物喪志」・・・無用で珍奇なものに熱中して本来の志や本業をおろそかにすること。

うちの、受験生というのにいまだにゲームに興ずる某君たちを思い出してしまいました。少しは息抜きも大事ですが、学校に持って来てまでやるのはやめてほしい。周りにも悪影響だし、この熟語の意味の通り、自分の将来を自分の手で滅ぼしているようなものです。休み時間などのすき間時間をうまく使って、単語を一つでも多く覚えれば後で楽になるんです。

「沈魚落雁」・・・絶世の美女。魚は恥じて沈み隠れ、雁は見とれて落ちるほどの美女。

こっちはうちの女子(笑)。

いろいろ含蓄のある四字熟語を知って勉強になりました。

日本史の中でも四字熟語は出てきます。
日清戦争の後、ロシアが(      )と(      )を誘って、(     )半島を返せと三国干渉をしてきました。日本はその時はロシアと戦う力もなかったので、やむなく(     )半島を清に返還しました。この時に、日本ではロシアへの対抗心を抱いて、今に見てろよ、ということで、スローガン「臥薪嘗胆」が唱えられました。
色のない文字は、スマートフォンだと色なしで見えるのでしょうか?四字熟語部分は色なしで書きましたので色を反転させてください。(    )部分は答えを入れませんでしたがこのくらいは受験生ならすぐわかりますよね。

長くなってしまいましたが、明日模試を受験する人は、要領よく、今日から明日にかけての時間を使い・直前の休み時間まで粘って、既習部分を全部おさらいできるようにしてみてください。教科書を全部読むとか一問一答をやるとかいうのは試験当日や前日だけでは無理ですから、ノートや要点整理的なものを使ってざーっとポイントをおさらいしてください。
ということで、一瞬一瞬、一つ一つの機会を大切に、ベストを尽くしてください。
「言い訳は成長の敵」です。言い訳しなくて済むようにやるだけのことはやろう!
さて、私もまだ勉強しよう。

インゲン

2012-10-22 21:08:16 | 江戸時代
中間考査の試験問題の中に、「黄檗宗」を答えてもらう問題がありました。かなりの人が正解できていました。これは、山川の教科書では欄外(p.165や177)に小さく書いてある程度ですけれども、ここは大事だから出すかもしれません、と私がわざわざ言ったのを覚えていた人も多かったかもしれません。

黄檗宗は、それを伝えた僧・隠元隆の名前とともに、江戸時代に唯一伝わってきた仏教宗派(禅宗)という意味で、よく試験に出ます。
問題集『ゼミナール日本史』の中にも問題として出ている箇所がありました。ただ寛永期の文化の所で出ていたようで。それから宿題で出していた部分のテーマ史「来日外国人の歴史」の中にも出てきていましたね。また、授業でおすすめしたZ会の『日本史100題』でも、黄檗宗と隠元隆を答える問題があります(仏教史の問題)。一問一答にも必ず出てきます。

教科書を自分で読んでいるだけだとしたら、黄檗宗は欄外に小さく書いてあるだけなので、読み流してしまうでしょう。しかし、問題集を何種類か解いていると、黄檗宗・隠元隆に関わる問題が出てくることに気付き、実は重要なのだということがわかります。

問題を数多く解いている人は、それに気付きますが、もし、それがまだ進んでいない人は、私の授業の中で、欄外であってもマーカーをひくように言ったり、プリントで答えを入れながら強調したりした箇所をよく聴いて、頭にも銘記してください。

そういう意味でも、これから先の授業も未習部分なわけですから、受験で日本史を使う人は、授業中に他のことに気を取られたり、内職をしたりしないで、よく話を聴いていてほしいと思います。授業を聴いておけば、黄檗宗のようなポイントも、大事だということがわかりますが、授業を聴かずに自分でやろうとすると、そのポイントがわからずに通り過ぎたり、理解に時間がかかったりします。まして聴いていないと、なんと読むのかわからなかったりします。私なりに経験から、重要な部分を強調してお伝えしていますから、ぜひ、聴き逃さないでください。

京都には、「黄檗駅」という名前の駅があります。その駅からほど近い所に、黄檗宗の総本山の萬福寺があります。
京都や奈良などに住んでいる人は、教科書に出てくるような文化財、遺跡などがたくさん、ごく身近にあって、理解もしやすいのでしょうね。うらやましいですね。
そういえば、私の実家の方に黄檗宗のお寺があり、祖父のお葬式をそこで行いました。お葬式ですがお坊さんは華やかな色の衣を来て、リラベルのような形の、よい音の楽器をチリーン、チリーンと鳴らしながらお経を唱えていました。

隠元隆は、その名前からも想像されるように、インゲンマメを明から日本に伝えた人とされていて、その名前をとって、インゲンマメと呼ばれているそうです。
今日は、帰り道、この黄檗宗や隠元の話を考えていたので、インゲンを食べようと思いたち、スーパーで買って帰宅しました。
では今日はこのへんで。


採点終了

2012-10-20 00:01:57 | 旅行
採点を終わらせてしまいました。
早く帰ろうと思っていたのですが、途中でやめられなくなって。帰宅は結局20時前。
平均点は、2クラスがほぼ同じで59点台、1クラスが57点台で、あまり差はありませんでした。
よい人は限りなく100点に近くて、見事ですねえ。

後半の試験も、情けない点で終わらないように、がんばってください。
土日は受験のための勉強も進めてください。

さて、個人的に旅に出たいなあと思いながらもなかなか実行できません。震災の後、レジャーも控えたいような気分も漂っていて。

過去の写真を、テストも兼ねてアップしてみます。



奈良の飛鳥に2010年に行った時のもの。
私は大学で飛鳥・奈良時代を中心に勉強していましたので、「飛鳥」と聞いただけでわくわくしてときめいてしまう人間だったのですが、今は聞きなれてそのときめきも薄れてしまったような・・・いけませんねえ。
そういう私ですから、飛鳥へ、20年前くらい?に、出張帰りに一人で行った時、近鉄線の飛鳥駅に到着して、駅表示板で「飛鳥」と大きく書かれている文字を見て、どーっと感動しました。
その時と、駅の様子はだいぶ変わってしまいましたが、いずれにせよ、シンプルで美しい名前の駅だ・・・と私は思うわけで、2010年に行った時に駅前の写真を撮っておきました。
そういうわけで、私は「飛鳥」とは縁があるなあと思っている次第です。

もう1枚は、2006年に訪れた岐阜県白川郷。



合掌造りの集落を、小高い丘の上から撮りました。

どうも、私は書くと長くなってしまうので、今日はこのへんで。

いくらか解放感・・・

2012-10-18 22:44:02 | 日記
今日の分と明日の2年生の分の試験問題を作り終えて、やや解放感にひたっています。
昨日は、20時過ぎに試験問題の封筒詰めを終え、帰宅したのは22時くらい。通勤距離が長いとつらいです。何時間寝たのかよくわからない。いつも眠いです。
今日は20時台に帰宅。

今日の試験の出来はどうだったでしょうか?
私の方では、ちょっと問題を作りすぎ、整理できないまま無理やり完成してしまった感じです。
毎日試験が1、2科目しかないのでしたら、受験勉強も並行してやってください。日本史なら、ゴロゴロしながらでも一問一答をやったり、教科書読んだり、できると思います。
とにかくしつこく繰り返しやる執念を。

今から131年前の今日(1881年)は、自由党が結成された日だそうです。党首は?→ 板垣退助(携帯電話でなくて、PC画面で見ると、文字の色が、実際の指定の通りに見られるので、この答えの部分は、白くて見えなくなっていて、カーソルを置いて色を反転させると答えが出てきます。できるだけ、PCでこのブログを見てください。)
また、大隈重信が襲われた日(1889年)でもあるようです。玄洋社の人(右翼)に爆弾を投げつけられたのでしたね。

さて、私は眠いのでこの後寝てしまうと思います。
今夜も1科目の勉強だけではもったいない(2科目の人もいるか)。時は金なり、光陰矢のごとし、で、時間を惜しんで、自分に必要な勉強をしてください。日々、ベストを尽くしましょう。

コメントがぼちぼち来ていますが、個人情報が含まれるものは、公開にしませんので、そのあたりは考えて、お願いします。