東京は先日大雪が降り、降って数日経つのにかなり雪が解け残っています。寒いです。
机の上に、記事にするために積み上がっている資料を片付けたいので、2016年の7月に遡ってイベントの記事を書きたいと思います。
「発見・検証 日本の古代 古代史シンポジウム 2016」を観覧してきました(古くてすみません)。
開催日時:2016年7月30日(土)13:00~17:30
会場:紀伊國屋サザンシアター(タカシマヤ タイムズスクエア南館7F)
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20160603115500.html
これについては、以前に開催告知を記事にしています。
再掲のような形になりますが、開催の趣旨は以下のようなものです。
2015年に3回にわたって開催したシンポジウム「発見・検証 日本の古代」では、歴史学・考古学をはじめ多くの研究者が参画し、日本の古代国家形成について、新たな知見と発見と共に白熱した議論が展開されました。邪馬台国、卑弥呼の実像に始まり、騎馬文化の衝撃から古代国家の成立まで、大きな成果がもたらされました。今回、シンポジウムをまとめた書籍シリーズの第Ⅰ巻刊行を機に、改めて最前線の研究者による討議を行い、研究の新たな展開に挑戦したいと考えています。
○プログラムおよび登壇者
総合司会 上野 誠(奈良大学教授)
第1部「王権と都市と モノの移動が語る」
東 潮(徳島大学名誉教授)、武末純一(福岡大学教授)、寺澤 薫(桜井市纒向学研究センター所長)
第2部「人とクニ 古代国家の誕生」
白石太一郎(大阪府立近つ飛鳥博物館館長)、鈴木靖民(横浜市歴史博物館館長)、森 公章(東洋大学教授)
第3部「心と言葉 祭祀と言語の起源」
北川和秀(群馬県立女子大学教授)、笹生 衛(國學院大學教授)、田中史生(関東学院大学教授)
第4部「古代学の未来 "フミ"と"モノ"の知の結集」
登壇者全員
受 講 料:3,240円
「発見・検証 日本の古代」シリーズ第Ⅰ巻『纒向発見と邪馬台国の全貌―卑弥呼と三角縁神獣鏡』という書籍代が含まれていました。
全席指定で、私は結構前の方のよい席でした。紀伊国屋サザンシアターには初めて入りましたが、いろいろ演劇などの催し物が数多くあるんですね。また来てみたいなと思いました。
今までこのようなシンポジウム等で拝見したことのある寺澤先生、白石先生、講義を受けた上野先生はともかく、私が読む論文でよく見かける鈴木靖民先生や笹生先生もナマで・・・というところが興味の焦点でした。
シンポジウムの主な内容は、省略(笑)。研究は日進月歩なので、もう状況が変化しているかもしれませんし。
とはいっても、やはりメモを読み返し、自分の関心からごく一部だけ抜き出すと、
誰の発言かも定かでないのですが、
「8世紀の人は雄略天皇を始祖と考えている。万葉集も。雄略期は画期。断層がある。」
田中氏「文献史学的に(?)、雄略期は画期か。5世紀を前半期と後半期に分けて考える。考古学とも違わない。」
このあたりは興味深いです。私が奈良大通信の卒論で取り上げた、子持勾玉も、5世紀にしかみられません。文字の使用が微妙な時期でありますが、それでもなんとなく現代まで伝わってくるものがある、日本は、いや奈良はといったらいいのか、すごいです。
あとは、自分のメモから抜き書きしておきたい所だけにします。それは、上野先生が最後に各パネリストに尋ねた、「若い人は未来からやってきた留学生と言われるが、若い人はどういう分野に時間とお金を費やしたらいいか、学部の1年生にさとすように言ってほしい」という話題についてです。
以下、敬称略。
田中 文字文化を考えたい。祝詞も朝鮮半島から入ってきた。
笹生 おまつりの対象をどう考えるか(災害との問題で)
北川 『万葉集』『日本書紀』を熟読玩味しよう。「大王」という表記は歌の中、題詞は「天皇」で残っている。二重のスタンダードがある。
これは私も実践したいと思っていることです。
森 自分の好きなことをしなさい。自分達は律令国家や平安時代が主流だった。韓国語や中国語の学習も必要になる。
これも私は共感できます。私が学生の頃も律令制度の関係をやっていました。しかし、トレンドというか、は、動いているのが感じられます。私も勉強のために韓国語や中国語をほんのちょっとかじりました(かじっています)。
鈴木 好きなことをやれといっても職がない。津田左右吉など『日本書紀』を暗記していた。これからの歴史学は、地球規模で日本の歴史を考えることが求められるだろう。留学の必要性も。
これもそのとおりで、私も『記紀』のどこに何が書いてあるかがわかるくらいに内容に精通したいものだと思っています。思うだけでなかなか難しいのですが。
白石 古代学、パレオロギア。文献史学と考古学の総合。それぞれの学問の方法を尊重しなければならない。
これも私は強く同感します。私は最初の大学で文献史学をやり、次の大学で考古学をやり、それぞれの分野だけでは足りない面があり、「古代学」という考え方は必要と以前から考えていました。
寺澤 何か一つ、自分のやりたいことを徹底してやれ。その後で、政治学でも植物学でも二つ目三つ目を作れ。
武末 留学してほしい。古墳時代の研究は古墳中心になってしまうが、集落研究もやってほしい。弥生時代も集落研究が中心。
東 フィールドワークのすすめ。
最後に上野先生が、
「70年前は考古学は未発達。70年後はこうしたシンポジウムには遺伝学の先生が半分以上並んでいると思う。私は70年後も司会をやりたい。」
と言って笑わせました。
せっかく学部の1年生向け的な貴重なアドバイスのオンパレードだったのに、観客は、高齢の人が多かったような。大学生はほとんどいなかったのでは?
上野先生は、ノーネクタイ、猫背で登場し、うまくシンポジウムをさばいていました。ご自分の意見などはほとんど言わず、司会に徹しているところは立派です。こういう感じだと、司会業のお仕事は次々やってくるのかもしれません?
各先生方の学部生へのアドバイスは、なるほどと思うものばかりです。私も奈良大での勉強をきっかけに、なんとなく考古学に足をつっこんだわけですが、時代的に、自然ななりゆきだったのかもしれません。
こういう流れを踏まえて、私も、学校で関わる生徒に、これから探求するといいかなという分野について紹介できたらと思います。誰か、考古学者になってくれないかなあ??私、発掘現場に差し入れに行きますから(笑)。
机の上に、記事にするために積み上がっている資料を片付けたいので、2016年の7月に遡ってイベントの記事を書きたいと思います。
「発見・検証 日本の古代 古代史シンポジウム 2016」を観覧してきました(古くてすみません)。
開催日時:2016年7月30日(土)13:00~17:30
会場:紀伊國屋サザンシアター(タカシマヤ タイムズスクエア南館7F)
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20160603115500.html
これについては、以前に開催告知を記事にしています。
再掲のような形になりますが、開催の趣旨は以下のようなものです。
2015年に3回にわたって開催したシンポジウム「発見・検証 日本の古代」では、歴史学・考古学をはじめ多くの研究者が参画し、日本の古代国家形成について、新たな知見と発見と共に白熱した議論が展開されました。邪馬台国、卑弥呼の実像に始まり、騎馬文化の衝撃から古代国家の成立まで、大きな成果がもたらされました。今回、シンポジウムをまとめた書籍シリーズの第Ⅰ巻刊行を機に、改めて最前線の研究者による討議を行い、研究の新たな展開に挑戦したいと考えています。
○プログラムおよび登壇者
総合司会 上野 誠(奈良大学教授)
第1部「王権と都市と モノの移動が語る」
東 潮(徳島大学名誉教授)、武末純一(福岡大学教授)、寺澤 薫(桜井市纒向学研究センター所長)
第2部「人とクニ 古代国家の誕生」
白石太一郎(大阪府立近つ飛鳥博物館館長)、鈴木靖民(横浜市歴史博物館館長)、森 公章(東洋大学教授)
第3部「心と言葉 祭祀と言語の起源」
北川和秀(群馬県立女子大学教授)、笹生 衛(國學院大學教授)、田中史生(関東学院大学教授)
第4部「古代学の未来 "フミ"と"モノ"の知の結集」
登壇者全員
受 講 料:3,240円
「発見・検証 日本の古代」シリーズ第Ⅰ巻『纒向発見と邪馬台国の全貌―卑弥呼と三角縁神獣鏡』という書籍代が含まれていました。
全席指定で、私は結構前の方のよい席でした。紀伊国屋サザンシアターには初めて入りましたが、いろいろ演劇などの催し物が数多くあるんですね。また来てみたいなと思いました。
今までこのようなシンポジウム等で拝見したことのある寺澤先生、白石先生、講義を受けた上野先生はともかく、私が読む論文でよく見かける鈴木靖民先生や笹生先生もナマで・・・というところが興味の焦点でした。
シンポジウムの主な内容は、省略(笑)。研究は日進月歩なので、もう状況が変化しているかもしれませんし。
とはいっても、やはりメモを読み返し、自分の関心からごく一部だけ抜き出すと、
誰の発言かも定かでないのですが、
「8世紀の人は雄略天皇を始祖と考えている。万葉集も。雄略期は画期。断層がある。」
田中氏「文献史学的に(?)、雄略期は画期か。5世紀を前半期と後半期に分けて考える。考古学とも違わない。」
このあたりは興味深いです。私が奈良大通信の卒論で取り上げた、子持勾玉も、5世紀にしかみられません。文字の使用が微妙な時期でありますが、それでもなんとなく現代まで伝わってくるものがある、日本は、いや奈良はといったらいいのか、すごいです。
あとは、自分のメモから抜き書きしておきたい所だけにします。それは、上野先生が最後に各パネリストに尋ねた、「若い人は未来からやってきた留学生と言われるが、若い人はどういう分野に時間とお金を費やしたらいいか、学部の1年生にさとすように言ってほしい」という話題についてです。
以下、敬称略。
田中 文字文化を考えたい。祝詞も朝鮮半島から入ってきた。
笹生 おまつりの対象をどう考えるか(災害との問題で)
北川 『万葉集』『日本書紀』を熟読玩味しよう。「大王」という表記は歌の中、題詞は「天皇」で残っている。二重のスタンダードがある。
これは私も実践したいと思っていることです。
森 自分の好きなことをしなさい。自分達は律令国家や平安時代が主流だった。韓国語や中国語の学習も必要になる。
これも私は共感できます。私が学生の頃も律令制度の関係をやっていました。しかし、トレンドというか、は、動いているのが感じられます。私も勉強のために韓国語や中国語をほんのちょっとかじりました(かじっています)。
鈴木 好きなことをやれといっても職がない。津田左右吉など『日本書紀』を暗記していた。これからの歴史学は、地球規模で日本の歴史を考えることが求められるだろう。留学の必要性も。
これもそのとおりで、私も『記紀』のどこに何が書いてあるかがわかるくらいに内容に精通したいものだと思っています。思うだけでなかなか難しいのですが。
白石 古代学、パレオロギア。文献史学と考古学の総合。それぞれの学問の方法を尊重しなければならない。
これも私は強く同感します。私は最初の大学で文献史学をやり、次の大学で考古学をやり、それぞれの分野だけでは足りない面があり、「古代学」という考え方は必要と以前から考えていました。
寺澤 何か一つ、自分のやりたいことを徹底してやれ。その後で、政治学でも植物学でも二つ目三つ目を作れ。
武末 留学してほしい。古墳時代の研究は古墳中心になってしまうが、集落研究もやってほしい。弥生時代も集落研究が中心。
東 フィールドワークのすすめ。
最後に上野先生が、
「70年前は考古学は未発達。70年後はこうしたシンポジウムには遺伝学の先生が半分以上並んでいると思う。私は70年後も司会をやりたい。」
と言って笑わせました。
せっかく学部の1年生向け的な貴重なアドバイスのオンパレードだったのに、観客は、高齢の人が多かったような。大学生はほとんどいなかったのでは?
上野先生は、ノーネクタイ、猫背で登場し、うまくシンポジウムをさばいていました。ご自分の意見などはほとんど言わず、司会に徹しているところは立派です。こういう感じだと、司会業のお仕事は次々やってくるのかもしれません?
各先生方の学部生へのアドバイスは、なるほどと思うものばかりです。私も奈良大での勉強をきっかけに、なんとなく考古学に足をつっこんだわけですが、時代的に、自然ななりゆきだったのかもしれません。
こういう流れを踏まえて、私も、学校で関わる生徒に、これから探求するといいかなという分野について紹介できたらと思います。誰か、考古学者になってくれないかなあ??私、発掘現場に差し入れに行きますから(笑)。