暮らしと古民家

折々の暮らしの中気が付く大切なこと

自然

2018年03月26日 | 古民家

 古い建物に使われている引き戸のガラスは表面が波打っています・・・

当時のガラス製造技術では、今のような平滑なガラスは作れませんでした・・・・

当時は。貴重なガラス・・・歪んでいてもそれが当たり前で・・・

ガラスの質もあまり良いものでは無いのか・・・不純物も混じっているし・・・

気泡も入ったり・・・段差のような線が入ったものまでありました。

水廻りの壁に張ってあるタイル・・・

目地の部分を見ても、隙間が均一でタイルのゆがみも無く・・・・

品物の寸法精度も正確で、施工の技術もすばらしいと思いますが・・・

ヨーロッパなどのタイルは、手造り感が強くて・・・正方形でもなく歪んでいて・・・

厚みも均一ではありません・・・当然張ればガタガタ・・・

目地の隙間も細かったり・・・太かったり・・・でも味があってよいのです・・・

工場生産の商品は、ある程度の品物をたくさん作って・・・多くの方に使ってもらい・・・

いかに安く出来るかだと思います。

車を一般の人達にも乗ってもらえるように考え出された製造方法が・・・

「移動組み立法」です・・・(それ以外にも製品の単純化・規格化・工場の専門化などがあります)

古民家も伝統技術で造られ・・・使う材料や規模などが立派な建物は、一部の富裕層しか建てられませんでした。

それでも柱や梁の仕上げは「手斧」や「槍鉋」・・・手仕事で仕上げてあって・・・

均一に見えて、少しづつ幅や段差の違う表面が、独特の雰囲気を表しています・・・

板の間も機械で削ったような表面ではありません・・・板同士の隙間もそれぞれ違います・・・

それが大量生産にはない触り心地なのか・・・見た目の柔らかさなのか・・・

特別な人しか手に入らなかったモノが誰でも手に入る社会・・・

否定するのではありません・・・・それでも少しづつ「オンリーワン」を望む社会にもなってきました・・・

勤勉・まじめ・繊細・・・日本人の良さでもありますが・・・

いい感じに・・ゆるい感覚・・・

現代の住まい方に、もっと取り入れてもよいかと思います。

 

 

 

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身分で

2018年03月24日 | 古民家
細かな所まで、繊細に考えられている…と思うか…
そんな所まで気にしなくて良いのでは…と思うか…

地域ごとの造り方だったり、季節ごとに変化するような納まりだったり…
使う人の職業や人数…年齢による違いにもそれぞれに合わせて変化させて来た日本の職人技。
身分の違いがすぐ解るような社会の仕組みは国ごとにいろいろいろあって…

皆さんもご存知の様に、江戸時代…日本でも、人は生まれた時から職業が決まっていました…
武士の中での身分制度もなかなか面白くて…
格式高い天井は 格天井(ゴウテンジョウ)と言って、格子状に組んだ木の桟の中には派手な色彩画か描かれていて…
普通の天井より一段、高いのでですが、お殿様や、天皇さまが鎮座する場所はさらにもう一段高く、2段になっています。
ついでに、畳も一段とたかくなっています…
壁や襖に描かれた絵も、虎や鷹、松など威圧感のあるようなものにしたり…
とても解りやすい表現ですが、そんな事までして身分の違いを誇示したいのかな?と、思ってしまいます。(現代の感覚で判断してはいけませんね)

古民家の造りも年代や、職業で多少違いますが…
茅葺に瓦屋根が少しあったり、門があったり、表玄関があったりで、建築された時代や身分が解ります。
使われている、柱や梁の材種、カタチ、大きさでも見て取れることがたくさんあって…
贅沢な材を使っている建物なのか?そんな判断にもなります。
身分の格差社会が良いか悪いかは別として、そんなところから、読み解く古民家の姿も面白いと思いませんか?
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法整備

2018年03月24日 | 古民家

 1920年(大正8年)に建築基準法の前身の基準「市街地建築物法」が制定されました・・・

1950年(昭和25年)には「設計震度改定」として今の建築基準法として始まりました・・・

日本は木の文化・・・と言われますが、火災による災害の歴史背景は忘れる事が出来なくて・・・

そのための町造りや、法整備も行われて来ました・・・

もう一つ重要なものは・・・地震です・・・

地震大国として、その基準法改定は今でも災害が発生するとその都度、見直されてきました。

法隆寺は築1300年・・・・一般建築とは造りが違うので基準にはなりませんが・・・

木の文化を表わす意味でも、日本の伝統の面でも大切な技と言えます。

民家で古い建物は「箱木家住宅」で、築約1200年です(増築や移築など行われてはいます)

昭和52年頃までは普通に暮らしていたそうなので・・・人が住んで生活をしていれば・・

定期的に手直しをする事で、伝統工法の木造住宅は住み続けることが出来ます・・・

戦後の法律改正や憲法の発足で、日本の建物は「在来工法」へと変わってしまいました・・・

1300年も続いた「伝統工法」で建てた建物は、火災にも弱いし、地震にも弱いと・・・

国が認めない建物になってしまいました・・・。

冬の死亡率が高いと言うデータから、高気密工断熱の家を推奨して・・・

これからの省エネルギー住宅として、長期優良住宅・ZEHを推奨して・・・

でも・・・そんな流れは少しづつ変わってきています・・・

気付かせてくれるのは、固定観念のない人・・・

文化の違う人達です・・・

どんな暮らし方が贅沢かは人それぞれですが、いざと言うとき・・・大変な状況の時にこそ・・・

本当に大切なものとは何か・・・?

不謹慎な話で申し訳ありませんが・・・災害や事件がおきた回数だけ、気付きの時・・・

変わるタイミングはあったのだと思います。

 

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既存不適格

2018年03月23日 | 古民家
伝統建築は、伝統技術を継承して来た人達の考え方で基準が決まっています…
感覚だけではない、蓄積された経験と知識とで成り立っていますが…
それを標準的な数値に置き換えるのは簡単な事ではなく、そもそも数値に置き換えるものでもなかったのですが…
四角四面な基準でないと認めてくれない方々は、伝統建築を既存不適格…として、規格外扱いとしました。
ある一定の基準を超えて改修工事をすると、現代建築の基準に合わせないと工事出来ない法律になっています。

大きな大学の、その道の権威のような大先生が来られると、国や役人から費用を捻出してもらい、今時の工法でなんちゃって耐震改修、なんちゃって外観補修をしてしまいがちです。(あくまでも個人的な意見です)
文化財申請もすぐにしてしまうようで…。

伝統文化の継承とは、恥じることの無い技術を後世に残すこと、先人から教えられた技術を残すこともそうですが、残そうと思う次の担い手を育てる事も大切です。

当時の技術では難し かしかった基準も、技術も楽ではありませんが、現代の科学で負担が少なくなっているところもあります。
古い住まいのリフォームの費用が、フラット35の適用にされそうだったり…
既存不適格の建物の改修工事の時には、建築基準方、適応除外となったりと、いろいろ体制も変わって来ています。
悪いことを考える方も多いので、規制は作られ続けますが、大切なものを守る為の基準が、不正を抑制する基準で歪められることがないようにして頂き、正しい規制作り、基準作りへ向かって欲しいと想います。
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古都

2018年03月22日 | 古民家
中学生には歴史、文化なんてそこまで興味もなく…
勉強しなくていいのと、知らない場所に行けるのと、友達と遊べるくらいの感覚でしかなかった修学旅行…
大人になって、見える景色と、受け取る感情はやっぱり違うのだと思います。

建築に携わることすら考えていなかった幼い感覚と、良いか悪いのか、それなりに大人の社会に染まった感覚の違いに気づくと、少し妙な感じで…
同じ場所には何度も行くほうが良いのか、一度だけ行って、その時受けた感性を大切にした方が良いのか…?
そんなどうでも良いことまで思い巡らしてしまいます。
都があって、伝統があって、文化もたっぷりあるようですが、古民家の解体、空家などの問題も多いようで…
街並み保存…日本らしい街並みとしての誇らしさが年々失われて来ているそうです。
地域の人が、地域の物で、地域独自の文化を誇りに想う事が、それらを魅力と受け取ってもらえるのだと思うのですが…

近くにある、大切なものを見失いがちになるのが人の常…
年代の関係ない、感性を養える自分でいたいと思います。
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