花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

濃霧の郡界尾根は花だらけ

2011年06月01日 | 登山


霧の郡界尾根に咲くシャクナゲ 5月31日撮影・後袈裟丸山郡界尾根にて


郡界尾根登山口

三等三角点のある八重樺原に着いたのは、丁度12時だった。
笹原の続く八重樺原の尾根は、袈裟丸山の好展望地として知られているが
あたり一面真っ白な霧が立ちこめて、袈裟丸山は影も形も見えなかった。

霧に覆われた八重樺原

白い霧の壁の奥から、野太い山鳩の声が谷間に流れている。
テデッポッポウ、デデッポッポウと聞きなしを聞かされて育ち
私の山鳩の声と言えば、デデッポッポウである。
(聞きなしと言うより、鳴き真似に近いが)

風が無いから、霧も流れない。
まばらに木が生えているだけで、笹原に覆われたたおやかな尾根は
右は深い谷に落ちている。
左は、白樺やツツジなどが交わる雑木林の斜面で、奥は霧のベールに
包まれていた。
台風の影響だろうが、登山道には無数の小枝が散らかり、谷間からは
岩を噛む水の音が、どこまでも追いかけてきた。

登山口から長い階段を上り詰めて、荒くなった息を整えていると
尾根の向こうから、中年のご婦人が二人、なにやら楽しそうに降りてきた。

道の脇に寄って、「シャクナゲが咲いていましたか」と尋ねると
「良かったわよ、白八汐も咲いているし、もう最高、早く行き」と言う

私が「この天気ですからね」と言うと「天気なんて、もう最高よ」
「ご主人、早く行きんしゃい、行きんしゃい!」
二人でこもごもに薦める。後には笑い声だけが響いた。

もうこうなると現金なもので、足の痛さも忘れて先を急ぐ。
やがて左の林に、一面に咲き誇るシロヤシオの群生が目についた。
それからは、次から次へと白八汐の花か続き、「またまた白八汐」
などと思わず声が出た。

倒れても尚満開の花をつけた白八汐に圧倒される。



やがて八重樺原の奥のピークに達すると、東国三葉ツツジが混じり
霧に浮かぶ白八汐と薄赤紫の三葉ツツジがトンネルとなり
幻想的な登山道となっていた。



やがて右に「つつじ岩」とかかれた石柱が立つあたりになると
文字通りにツツジの花が入り乱れて咲いているのだった。



 


いくつか大岩を迂回して登ると、シャクナゲの群落となる。
遠くカッコーが鳴いて、ザックの鈴がチリリンと鳴った。







シャクナゲの枝をかき分けるようにして登ると、石の祠がある。

祠の先の平坦な尾根で、太い根っこを腰掛けにして食事にした。
何気なく足下を見ると、鹿の丸い糞が沢山転がっていた。
この辺も鹿の生息地なのかもしれない。
斜面を見下ろすと、ムシカリの白い花が霧と戯れてかすんでいた。
谷間の水音以外、何も聞こえず、一瞬時が止まったような静けさだった。
こんな時は、暖かいコーヒーが飲みたいと思った。
荷物を軽くするため、ポットもカップも車に置いて来たのを後悔した。





足下にはアカヤシオの花が無数に散らばって、今年がいかに当たり年
だったかを物語っている。



見晴岩のあたりには、まだ咲き残りの赤八汐が有った。
「ぐんま百名山」の上毛新聞社に、見晴岩の場所はどこなのかと
メールで問い合わせたら、親切にも著者の方から手書きのコース図で
場所を教えていただいた思い出の地である。


5月31日 下見で登った後袈裟丸山の郡界尾根コースのGPS軌跡図
赤のポイントは、ガイドブックなどに出ている地点、下から登山口、三等三角点、つつじ岩、
石の祠、見晴岩、後袈裟丸山山頂である

青い色は、私が勝手につけたポイント名、つつじなどの花が多い場所
登山口から山頂までの歩いた距離 片道4.387Km (トリップメーター読み)

「 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)
数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)
数値地図50mメッシュ(標高) 及び数値地図10mメッシュ(火山標高) を使用した。
(承認番号 平22業使、第446号) 」


参考の為、登山口に建つ案内板からコース図のみトリミング

これに寄れば、登山口から石宮まで2.7Km
石宮から山頂まで1.7km 合計で4.4kmのコースなので、トリップメーターと
ほぼ一緒である


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