
尾瀬の山の鼻にある「尾瀬植物研究見本園」で見頃の水芭蕉の群落6月13日撮影
6月13日、真夜中に自宅を出て、土砂降りの雨の中を尾瀬に向かって
車を走らせた。
定年退職した職場の、先輩であるNさんご夫妻と、Kさんご夫妻と一緒に
尾瀬の水芭蕉を見に行く約束が有ったからである。
戸倉温泉の宿に前泊して待っていると言うので、関越の沼田ICで降りて
国道120号線から鎌田で左折して国道401号線に入ると、江間章子さんの
夏の思い出のメロディがタイヤの音で鳴る。
誰が考えたか、タイヤの摩擦でメロディを奏でるとは、おもしろい。
しかもスピードが合わないと、うまくメロディにならないから、40キロ
で走ろうね。
前回行った袈裟丸山でも、メロディラインが有り、もしもし亀よを
歌った。
ちなみに江間章子さんは、幼い頃、母親の実家のある岩手で暮らした
ので、私の故郷岩手にゆかりがあり、岩手県西根町(現八幡平市)の
名誉町民第一号に選定されていると言う。
「夏がくーれば おもいだすー」などと口ずさんでいたら、雨が
小降りになってきて、戸倉温泉に着く頃には、雨がやみそうな気配
だった。
朝6時に出発する約束だったので、土砂降りで間に合わないかも
しれないと心配したが、宿の駐車場に着いたら5時30分過ぎだった。
登山の支度をしていると、Kさんが宿から様子を見に出てきた。
「途中、土砂降りですごかったよ」というと「こっちでもさっきまで
降っていたよ」という。
念のため雨合羽を着込んで、ザックを背負い、宿の玄関に入ると
みんな準備をして待っていてくれた。
宿で作ったお弁当をザック入れて、準備完了。
宿が手配したタクシーに乗り込んで、いざ出発!
帰りのタクシーは、テンマ沢についたら電話して迎えに来てもらう
手筈だという。
(尾瀬ヶ原は、携帯電話が圏外なので)

鳩待峠と山の鼻の間に沢山咲いていたエンレイソウ

延齢草=エンレイソウ、漢字のごとく、民間で薬草として使われたので
この名前がつけられたと言う。 ユリ科エンレイソウ属、丸みを帯びた菱形の葉が三枚輪生
花弁に見える萼片が3枚あり、雌しべの先が3つに別れる、雄しべは3の二倍の6本
3がらみの花である。萼片の色は変化が多い、ごく希に萼片の上に花弁が出来る事が有ると言う。
---------------------以上minoさんの知ったかぶり講座--------------
ワンボックス型の観光タクシーに乗り、清々しい緑の中を走って
鳩待峠に着く頃には雨が上がっていた。
駐車場の脇に、除雪した雪の山が、泥で汚れて積み上げられていた。
鳩待峠から尾瀬ヶ原の竜宮十字路までの間のトイレは、鳩待峠、山の鼻、竜宮小屋の付近の
三カ所しか無いので、出発前にすませておこう。
登山届けを探していたら、首から名札を下げた案内係の人が、尾瀬ヶ原に行くなら
届けはいりませんよと声をかけてきた。
先輩のNさんが「水芭蕉の見られる所は、どこが良いですか。」と尋ねると「植物研究見本園
は、日陰で雪解けが遅いので、そこに行けば良いですよ。
尾瀬ヶ原は、日当たりが良いので、もう見頃のピークはすぎていますよ。」という。
入口の種子落としマットで、私が靴底をこすっていると「尾瀬も外来種が入り込むので
外来の種が入らないように、靴底をこすって入ってください。」と案内の人が説明している
鳩待峠から尾瀬ヶ原の入口の山の鼻までは、下りの道で標高差でおよそ200メートルを下る
(鳩待峠の標高は1591メートル、尾瀬ヶ原は、ほぼ平坦な湿原で標高1400メートルに位置する)
鳩待峠の由来については、以前のブログで紹介したので、今回は省略
昨夜来の雨で濡れた石の階段状の登山道をゆっくりと降りていくと、エンレイソウが
沢山咲いている。
遠くでカッコウが鳴いて、霧の立ちこめた林の中に吸い込まれている。
名前も知らない小鳥が、雨上がりを喜ぶ様にさえずっている。
霧に巻かれて白い花の「ムシカリ」がかすんで見えた。
「あの花がムシカリで、虫が好んで葉を食べるので、虫食われがなまって
ムシカリと名付けられたもので、オオカメノキとも呼びます。」と私が
説明すると、先輩のNさんが「ああオオカメノキか」と言う。
どうやら「オオカメノキ」で覚えていたらしい。
花には、元々の名前の他に、別名と呼ばれる名前があり、片方だけを
覚えていると、花を間違えてしまったかと思うときがある。
オオカメノキは、葉の形と葉脈の模様が、亀の甲羅に似ているから
名付けられたと言う。
ムシカリという名前も、虫に好まれると言うことで「虫狩り」と呼ばれて
名前がつけられたという説も有る。(JTBの樹木観察ハンドブック)
同じような勘違いを私もしてしまった。

上の花を私は「シロバナエンレイソウ」と説明していたが
山の鼻のビジターセンターに行ったら、開花情報に「ミヤマエンレイソウ」
と名前が出ている。
しまった間違えて説明したと思い、みんなに「ミヤマエンレイソウ」でしたと
訂正した。
ところがである。帰って図鑑を見ると、シロバナエンレイソウは別名
「ミヤマエンレイソウ」とも呼ぶと出ている。
なんと言うことだ、シロバナエンレイソウで正しかったのだ。がっくり。
それに「ミヤマエンレイソウ」の別名を「シロバナエンレイソウ」と
説明している図鑑もある。
知ったかぶりは、時には代償が高くつくのだ(泣)あーあ。
脱線ついでに言うと、ミヤマエンレイソウは、下の薄緑の3枚が萼片で
上の白い3枚が花弁である。
こちらには花弁が付いている。本当かどうかは、自分で調べてね。(笑)
やがて登山道は木道に変わる。
木道の歴史は、昭和9年に朝鮮の最後の王「李王殿下」が尾瀬を
訪れた時に始まったと言われる。
最初は、ぬかるみを避ける為だったが、その後、湿原を守る役目に変わり
現在では、尾瀬に65キロに渡って木道が施設されているという。
初期の頃は、尾瀬で切り出した木を、雪のある冬場にソリで運んで
いましたが、現在では、国産の唐松材をヘリで山麓から運びあげている
そういった費用で、1メートルの木道を施設するのに、およそ12万円が
かかっているという。
それでも木道の寿命は10年ほどだと言うから、維持するのは大変である。
現在試験的に、新しい素材で作った木道が使われているのをご存じ
ですか。鳩待峠と山の鼻間で、使われています。ほんの一部ですが
(木ではないので、木道と呼んで良いのか?ですが)
ところで最近尾瀬には、熊が頻繁に出没しているという。
案内係の人は、登山道の脇に熊よけの鐘が有るので鳴らしてください
と言っていた。
と言うわけで、熊よけの鐘を思い切り鳴らして通った。
登山道の谷川で、樋で流している水は全部飲めますと、係の人は言っていたが
福島原発事故以来、疑り深くなっている私は、飲まずに手を入れてみた。
雪解け水の冷たさが、体に伝わって気持ちが良い。
イタリアでは、国民投票で原発を廃止に決定したという。
振り返って吾が日本はどうか。
福島では、牛飼いの酪農家が、牛の乳を捨てる辛さのあまり、前途を
悲観して首つり自殺したという。
原爆を体験した日本で、何故安全神話がまかり通ったのか、今一度
考えてみようではないか。

登山道の脇には、オオバキスミレと思われる花がたくさん有った。
思われる花と書いたのは、尾瀬の「オオバキスミレ」は、変種の
「ミヤマキスミレ」に近い花が多いという理由からだ。
JTBの「大人の遠足BOOK」の「尾瀬の植物手帳」で、著者の猪狩貴史
さんも判定が難しいと書いている。
一般的な違いで見分けるには
オオバキスミレ------葉は互生で卵形、先端が尖る
ミヤマキスミレ------茎葉が3枚、輪生しているように見えるほど
接近している。
と言われている。

この写真は、13日に木道脇で撮影した「オオバキスミレ」だが
3枚の葉が輪生状に付いているようにも見える。
素人泣かせの難しい花である。困った。
続く
昨日、竜宮十字路で休んでいたら、よそ見したのか足を踏み外して
池塘に落ちた方がいました。(下半身ずぶ濡れになられた)
中高年の方は、バランス感覚が低下して、少しのことでも転倒します。
お互いに注意したいものですね。