花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

南会津の秋色の駒止湿原を歩く、その3

2012年09月19日 | 登山

やがて背の高いヨシなどが生えていない場所に出る
「やっと湿原らしくなったね」
「ヨシを何とかしないと、乾燥化して湿原がダメに
なるんじゃない」
「だけど、ここは国の天然記念物に指定された湿原だから
切ったりして処分できないんじゃない。」などと会話
しながら歩く。

面白いもので、背の高い植物が無くなると、ウメバチソウも
エゾリンドウも丈が短くなっている。
「生存競争が厳しいよね」と花友は言う

そう言えばどこで見たか忘れたが、水芭蕉の場合、泥炭には
酸素が乏しいので、いったん地下に伸びた根が、細分化して
地表にユーターンして登り、地表から酸素を取り入れている
という。
全く植物の環境への適応のすさまじさに驚くばかりだ。


ツルコケモモの実

ツルコケモモの実群生、最初はミズゴケの色に紛れて判らなかったが
眼がなれてくると、あっちにもこっちにもツルコケモモの実があった

参考までにツルコケモモの花の写真を掲載します

このツルコケモモの写真は、2010年7月8日、
山形県の西吾妻連峰で撮影したもの。
花も良いが蕾もピンクで可愛い、湿原では他の草に紛れて
見逃しやすい。ツツジ科ツルコケモモ属の常緑矮小低
小さくても木である。


ウメバチソウの群生、湿原の白い点々は、ほとんどウメバチソウ
だった


イソノキの実、駒止湿原花パンフによれば、イソノキという
落葉低木らしいが、図鑑によると主に温帯に分布する植物と
書いてある。
クロウメモドキ科クロウメモドキ属で樹高は1~3メートル
花期は6~7月で葉のわきに緑がかった黄色の小さな花を
多数つける。秋に小粒で丸形の果実がつき、熟すと黒くなる
葉の形は、先近くが幅広くなる舟形と書いてある。

私は初めて眼にする木であった。


大谷地の風景


大谷地の風景


ヤマドリゼンマイとエゾリンドウ


ミズギクの残り花、後で調べたら駒止湿原のミズギクは
オゼミズギクだそうである(小林隆著 会津の花により)


ミズギクの残り花3


紺碧の空と白樺と
雲一つ無い青空を見上げると、郷土の歌人、石川啄木の
歌を思い出す。

不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸われし
十五の心


注 不来方(こずかた)とは盛岡城の事

盛岡城跡の草原に寝ころんで、空を見上げたら
15歳の私の心は、空に吸い込まれてしまった
と歌っているのだが、どことなく寂しさを感じるのは
私だけだろうか


大谷地の風景6


大谷地の風景、すでにウルシが真っ赤だ

その4につづく