【コラム:】
場違いだが、仕事で帝国ホテルに
行くことがある。
ところで、“和”と“洋”という
ちがいもあるが、旅館とホテルの
大きな相違点は、入口から入る者
をチェックする旅館と、
客室の前までは街の延長というホ
テルのありかたではなかろうか。
旅館では、入口に宿泊客を守るシ
ステムが設けられていて、通りが
かりの者が建物内に入ることをチ
ェックするシステムがある。
ホテルにはフロントがあるが、通
りがかりの人が館内へ入るのをそ
こでチェックする役目をおびた場
所ではない。
ホテル内には、レストラン、コー
ヒー、コーナー、バー、ショッピ
ングアーケードなどがあり、
入って来た人が入口から入ってど
こへ行くのを目的としているのか
は分からないのだ。
フロントは、誰かが用件を求めれ
ばそれに対応するものの、あくま
で受け身の立場をつらぬいている。
ロビーには、何層ものチェック機
能がほどこされているが、それは
何事かが生じたときに発揮される
のであって、ロビーの客たちに、
余計な緊張感を与えることはない。
このちがいが、客に対しての旅館
のあたたかい守りに対して、ホテ
ルのクールな守りというスタイル
を生んでいる。
帝国ホテルのエレベーターのなか
には、目立たぬ生花の一輪挿しが
あり、これはエレベーターへと
誘導するスターターのしつらえ
なのだが、
気づく客も気づかぬ客もあること
だろう。これは、クールのなかに
日本人らしい不思議なあたたかさ
を生んでいるケースだ。
帝国ホテルのドアマンが、一万
円札しか持ち合わせ客と釣銭に
困るタクシーの運転手のために、
つねに五千円札と千円札をポケ
ットに用意しているのも、クー
ルな空間であるホテルにおける、
無駄を承知の日本人らしいあた
たかさということになるだろう。
こうやって引きくらべれば、極
上の旅館(京都の俵屋等)にも、
極上のホテルにもクールさとあた
たかさが溶け合った、日本人らし
い気遣い、しつらえを見出すこと
ができるような気がする。
それが、日本人に特有の伝統的
もてなし流儀ではなかろうか。
野沢93番地十二町
ぴんころ地蔵通側
~柳田二助商店~
℡0267-62-0220
『創業120年』
場違いだが、仕事で帝国ホテルに
行くことがある。
ところで、“和”と“洋”という
ちがいもあるが、旅館とホテルの
大きな相違点は、入口から入る者
をチェックする旅館と、
客室の前までは街の延長というホ
テルのありかたではなかろうか。
旅館では、入口に宿泊客を守るシ
ステムが設けられていて、通りが
かりの者が建物内に入ることをチ
ェックするシステムがある。
ホテルにはフロントがあるが、通
りがかりの人が館内へ入るのをそ
こでチェックする役目をおびた場
所ではない。
ホテル内には、レストラン、コー
ヒー、コーナー、バー、ショッピ
ングアーケードなどがあり、
入って来た人が入口から入ってど
こへ行くのを目的としているのか
は分からないのだ。
フロントは、誰かが用件を求めれ
ばそれに対応するものの、あくま
で受け身の立場をつらぬいている。
ロビーには、何層ものチェック機
能がほどこされているが、それは
何事かが生じたときに発揮される
のであって、ロビーの客たちに、
余計な緊張感を与えることはない。
このちがいが、客に対しての旅館
のあたたかい守りに対して、ホテ
ルのクールな守りというスタイル
を生んでいる。
帝国ホテルのエレベーターのなか
には、目立たぬ生花の一輪挿しが
あり、これはエレベーターへと
誘導するスターターのしつらえ
なのだが、
気づく客も気づかぬ客もあること
だろう。これは、クールのなかに
日本人らしい不思議なあたたかさ
を生んでいるケースだ。
帝国ホテルのドアマンが、一万
円札しか持ち合わせ客と釣銭に
困るタクシーの運転手のために、
つねに五千円札と千円札をポケ
ットに用意しているのも、クー
ルな空間であるホテルにおける、
無駄を承知の日本人らしいあた
たかさということになるだろう。
こうやって引きくらべれば、極
上の旅館(京都の俵屋等)にも、
極上のホテルにもクールさとあた
たかさが溶け合った、日本人らし
い気遣い、しつらえを見出すこと
ができるような気がする。
それが、日本人に特有の伝統的
もてなし流儀ではなかろうか。
野沢93番地十二町
ぴんころ地蔵通側
~柳田二助商店~
℡0267-62-0220
『創業120年』